水洗トイレは古代にもあった―トイレ考古学入門

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  • 吉川弘文館
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642080309

作品紹介・あらすじ

古来、人々はいったいどうウンチを処理していたのか。最新の発掘成果と文献・絵画をもとに、縄文から戦国まで各時代のトイレ事情を解明。これまでなおざりにされてきた日本の排泄の歴史を科学する「トイレの考古学」。

感想・レビュー・書評

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  • ここはトイレかな?と思ったら・・・
    土壌分析だそうだ。排泄行為の痕跡そのもの(つまりウンコ&オシッコ)を見つけるのは難しいが,土のなかにはトイレの仲間が残っている。糞虫(ふんちゅう)やハエの蛆などのトイレ特有の昆虫,消化しきれなかった種や魚の骨などの食物残渣(しょくもつざんさ),回虫などの寄生虫卵などである。

    特に寄生虫卵は「水や土壌をよりどころにして子孫を増やすというその拡散戦略からしても,土壌に埋もれた地価の遺構内には残りやすい。」(p32-33)また,回虫はその種類によって宿主が人なのか犬や猫なのかなどがほぼ限定できる。

    この寄生虫卵が日本で初めて見つかったのは奈良県藤原京跡の土からである。それまでトイレ遺構を証拠付けるために土壌分析という方法をとらなかったからかもしれないが,1992年に発見された。

    ポピュラーだった水洗式トイレ・・・
    816(弘仁6)年の太政官符に平安京内の水洗式トイレについて書かれたものがある。官符には「『京中の諸司,諸家,あるいは垣をうがち水を引き,あるいは水を塞(ふさ)いで途を浸す。宜(よろ)しく諸司に仰せ。みな修営せしむべし。流水を家内に引くを責めず。ただ,汚穢(おわい)を墻外(しょうがい)に露(あらわ)すを禁ず。よってすべからく穴ごとに桶を置き水を通すべし』とある。これは平安京内にある役所や邸宅などが,条坊側溝の水を水洗トイレに利用しようと競って敷地内に引水したため,溝が排泄物で汚れたり,溝肩が大きく損なわれたことへの対策」とみられるそうだ。(p64)

    官符がでるほど,あちこちの溝が水洗トイレの影響をうけていたようだ。

    水洗式トイレは藤原京跡や平城京跡でも見つかっている。「平城京の例でも取水口付近には溝肩に崩れが見られ,数本の杭を打ち込んで護岸している様子がうかがえる。取水による支流の乱れが,路肩に影響を及ぼさないための工夫」であるかと思われている。(p64)

    これらの都では土坑(汲み取り)式トイレも同じく広く利用されていた。

    絵に登場するトイレ風景・・・
    1.みんなのトイレ風景
    『餓鬼草紙』-「平安京の路上において排泄する老若男女の姿,その周囲に散乱するウンチ・クソベラ(籌木)・紙,そして画題の主人公である食糞餓鬼たちが」リアルに描かれている。(p103)

    2.法然上人のトイレ風景
    『法然上人絵伝』(弘願本)-「トイレで排泄する上人の姿が描かれている」。 どうしてこの場面を描いたんだろう~

    3.食べられたウンチ
    絵巻物の中には「台所から出る残飯整理のみならず病人の嘔吐物を口にし,さらには人間の死体まで食べる犬の姿」がある。(p108-9)犬は鳥とともに町の清掃役であったようだ。排泄物に関しては,縁側で下痢する人の下方に犬の姿が描かれていたり,排泄する人の傍らに排泄物をねらうように待つ犬が描かれていたりと,人間の排泄物が餌になっていたようすも描かれている。

  • 2010.01.17 朝日新聞に紹介されました。
    古代遺跡でトイレ跡を調査!

  • 100117朝日新聞書評

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