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Amazon.co.jp ・本 (270ページ) / ISBN・EAN: 9784642080965
作品紹介・あらすじ
歴史の楽しさを若い人たちに味わってもらうべく、奈良時代の歴史を九つのエピソードに分けて平易に語ったユニークな歴史講義。皇位継承をめぐる事件、官人たちの出世競争、正倉院に残る休暇届、外交官の苦労など、歴史教科書とは一味違う古代史の魅力を、独自の視点でいきいきと再現する。時代の雰囲気が体感でき、新しい奈良時代が見えてくる。
みんなの感想まとめ
奈良時代の歴史を九つのエピソードに分けて、平易に語る本書は、歴史の楽しさを若い世代に伝えることを目的としています。著者の巧みな文章が際立ち、読者は歴史を知ることの面白さを存分に体感できます。大学の講義...
感想・レビュー・書評
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まだ最後まで読んでいないのだが、この本は奈良時代史を知るために本当に素晴らしい。それにはとくに、著者の文章のうまさが光っていることもあるだろう。この本で奈良時代のことが全部わかるわけではないが(そのことは著者も巻頭に書いている)、歴史を知ることの面白さを存分に味あわせてくれる名著と断言できる。
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読み返す必要があるな(自宅に一冊欲しい本)
天皇の位を継ぐこと①兄弟相続②持統天皇の決断③不比等の黒作懸佩刀④長屋王⑤聖武天皇の苦悩⑥仲麻呂⑦称徳女帝⑧桓武(王朝交代)
日本の中心①平城宮の内部②大極殿
支配のしくみ①律令国家②税のしくみ③地方支配のありかた
みやこぶとの世界①平城京人口10万人②五位の壁③官人の生活・群像
歴史のタカラモノ①正倉院
歴史の材料
東アジアの中で①聖徳太子対等外交②日本成立③朝鮮外交 -
『若い人に語る 奈良時代の歴史』
寺崎保広
吉川弘文館
二〇一三年(平成二十五年)十月一日 第一刷発行 OIC
ISBN978-4-642-08096-5
はじめに
第一講 天皇の位を継ぐこと(一)――平城遷都――
1 兄弟相続と父子相続 天皇の権力/家督の相続/壬申の乱
2 持統天皇の決断 天武天皇の後継者/大宝元年という年/元明即位
3 藤原不比等と聖武即位 黒作懸佩刀/聖武即位
第二講 天皇の位を継ぐこと(二)――聖武天皇の時代――
1 天平の日々 長屋王の変/祥瑞と災異
2 苦悩する聖武天皇 聖武の彷徨/聖武の後継者問題/三宝の奴
第三講 天皇の位を継ぐこと(三)――奈良時代のおわり――
1 藤原仲麻呂 人物の評価/仲麻呂の権力確立/仲麻呂の政策
2 称徳女帝 上皇という地位/道鏡が天皇に?/「中継ぎ」の光仁天皇
3 「王朝の交替」 桓武天皇即位/新王朝の自覚/新たな課題
第四講 日本の中心――平城京と大極殿――
1 平城京の内部 宮の構造/築地塀と門/内裏と朝堂院/曹司
2 大極殿とは 大極殿での儀式/藤原宮で成立
3 大極殿の復元 平城宮大極殿の発掘/復元のデータ/藤原宮大極殿との関係/唐・含元殿との関係
☆平城宮を歩く
第五講 支配のしくみ ――律令国家という時代――
1 律令国家の成立 律令国家とは/官僚制の成立
2 税のしくみ 養老令の構成/調の制度
3 地方支配のあり方 国司と郡司/国庁での儀式/国司の作る文書/律令は「理念」なのだ
第六講 みやこびとの世界 ――平城宮の官人――
1 平城京の人口 二〇万人説/一〇万人説
2 五位のカベ 位階と官職/考課と選叙/五位の待遇
3 官人の生活 宅地班給/勤務の実態/休暇と病気
4 官人の群像 モーレツ事務官の出世/長生き貴族の念願/高級貴族の跡取り息子
第七講 歴史のタカラモノ――正倉院宝物――
1 東大寺の正倉院 正倉院宝物を見たい/東大寺の成立
2 由緒正しい正倉院宝物 聖武天皇の品々/正倉院宝物の伝来
3 正倉院文書のウラオモテ 戸籍の裏面/造東大寺司のメモ
☆東大寺境内を歩く
☆正倉院宝物の世界
第八講 歴史の材料――史料と木簡――
1 古代史の史料 史料とは/史料の区分/出土文字資料
2 『続日本紀』の魅力 続日本紀/天平三年条を例に
3 木 簡 発掘調査/日本木簡の特徴/木簡の発掘と内容/長屋王家木簡を例に
4 編纂物と生の史料 残そうとした史料と残った史料/木簡はウソつかない
第九講 東アジアの中で――古代の外交――
1 聖徳太子の「対等外交」 中華と外交/聖徳太子の外交/国書の紛失
2 国号「日本」の成立 大宝の遣隋使/年号と律令
3 朝鮮諸国との外交 意識の違い/新羅征討計画
あとがき
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b120823.html
P16 …六九〇年七月には天武の子、高市皇子が太政大臣となり持統天皇を支えることになりましたが、彼自身は卑母の子ですから、皇位継承可能性はほとんどありません。その後、六九六年七月に高市皇子が亡くなると、ようやく正式な皇位継承者を決める会議が開かれました。その時の状況を『懐風藻』という八世紀に完成した漢詩集に引用された葛野王(彼は壬申の乱で敗れた大友皇子の子にあたります)の伝記で次のように伝えています。
皇后(持統天皇)が主な官人たちを集めて、次の皇位を継ぐべく人に誰がふさわしいかを議論させた。すると、めいめいが個人的な意見を述べて議論がまとまらなかった。そこで、葛野王が進み出て次のように発言した。
「我が国では神代以来、子や孫があいついで天皇位を継承してきています。いまここで兄弟に継がせれば、すぐに争いが起こることになりましょう」と。
皇后は、この葛野王の発言によって草壁皇太子の長男である軽皇子が皇位継承者と決まったことをほめたたえた。
P145 考課と選叙
この頃の わが恋力 記し集め 功(クウ)に申さば 五位の冠(カガフリ) 万葉集巻十六
P180 光明皇后が献納してから後、平安時代まで、何度か虫干しを兼ねて中の宝物のチェックが行われてきました。これを「曝涼」と言います。その時々の記録も残っていて、品物のどれとどれがどういう状態で存在しているか、が細かくわかります、さすがに他の倉とは違った厳重な管理がなされていたわけです。ただし、平安時代の前半頃までは、宝物に一切手を付けてはいけないということではなく、天皇の許可があれば時々、品物の出し入れはあったようです。奈良時代後半では、献納された薬や武器が必要に応じて取り出されて実際に用いられていますし、平安時代初期には天皇が見たいというので、貴重な書がもち出され、とうとう戻らなかった、という例もありました。
たとえば、四世紀の中国の書家・王羲之の書。彼は「書聖」つまり書道の神様と言われ、東アジア各国の書道に多大な影響を及ぼしました。唐の太宗(李世民)は王羲之の書をことのほか愛し、当時中国各地に残っていた原本を収集し、亡くなる時には有名な『蘭亭所』を自分の墓である昭陵に一緒に埋めさせたというほどでした。ところが、その後の戦乱などによって王羲之の書は失われ、現在、王羲之の自筆の書は世界に一点も残っていません。わずかに、当代以降に複製したものと、石碑に模刻したものの拓本だけなのです。ところが、聖武天皇は王羲之の書をもっていて、それが「東大寺献物帳」のリストにも入っているのです。もしこれが今に伝わっていたならば、それこそ「世界的な宝」となったでしょうね。ところが、平安時代にその書が東大寺から借り出されたまま戻っていないのです。「犯人」はわからないのですが、書道の達人でもあったあの…
第八講 歴史の材料――史料と木簡――
1 古代史の史料
○史料とは
ある時代の歴史を考えるにあたって、最も基本となる材料が資料です。史料とは、「その時代の人が書き残した文字資料」ということで、これが何より大切です。その史料にどんなことが、どのように書いてあるのか、という事をまず読み解き、それによってさまざまな事実を知り、たくさんの事実をつなぎ合わせ、組み立てながら歴史の動きを考えてゆく、というのが歴史学の方法だからです。日本史の場合、ほとんどの時代の史料は漢文で書かれていますから、これを本格的に学ぼうとすれば、漢文を読む訓練は欠かせません。P200
○史料の区分
一つの史料を読むにあたっては、常に5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、どのように?)を頭の片隅に置いて読んでいきますが、ひとくちに史料といっても、さまざまな種類があり、その内容も性質もまちまちです。そこで、それぞれの史料がどのような特徴を持っているのかを押さえておくことが重要となります。 -
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00195899 -
若い人っていうか高校生向け。わかりやく親しみやすく、と気を遣って書かれているので奈良時代が覚えられない高校生と、覚えられないままなんとか大学に入れてしまった大学生諸君は読むといいと思う。巻末には「参考文献」ではなく「推薦図書」が挙げられているあたりもそういった層に親切。
日本には冊書の木簡がないというのは初耳だったなあ……と食いついた直後の小見出し「木簡はウソつかない」は不意打ちで思わず笑った。
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