史料が語る 三井のあゆみ 越後屋から三井財閥

  • 株式会社 吉川弘文館 (2015年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (154ページ) / ISBN・EAN: 9784642082778

作品紹介・あらすじ

江戸の豪商・三井高利に始まり、近代の三井財閥時代まで、日本経済の巨人・三井の歴史を、貴重な史料を読み解きながらわかりやすく概説する。後発業者の追い上げや不況、幕末明治の動乱などの困難な時代をいかに乗り越え成長発展を遂げたのか。その革新性や巨大組織の運営方法とは。豊富な図版と五〇のテーマで描き出す、三井三五〇年のあゆみ。

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたが伝説の三井のすずちゃん」で、おなじみの三井。




    歴史をたどると江戸時代までさかのぼる。




    幕末、太平洋戦争後の混乱した時代などを生き延びて今がある。




    そんな三井の歴史をコンパクトにまとめたのが今回の本。




    公益財団法人三井文庫が、開設50周年を迎えた記念事業の一環で出版されたものだ。




    三井を語る上で欠かせないのが、三井高利だ。伊勢国松坂で8人兄弟の末子として、1622年に生まれた。




    14歳で江戸に出て修行の後、一度松坂に戻ったあと、52歳で江戸と京に店を開いて、成功した。




    三男の高治(たかはる)が記した「商売記」には、高利の言葉を多数載せている。



    ○平和のありがたさ



    乱世では金銀や荷物も運びがたい。家を建てるにも地ならしが第一だ。平和を保つ天下人への感謝を日々忘れてはいけない。



    今だと重身を感じるなあ。



    ○新法を工夫すること




    商いの道では、どんなことでも、新しい方法を工夫すべきである。




    SMBC日興証券の場合、工夫しすぎて目を付けられ、お仕置きされることになったなあ。高利の言葉を知っていたかどうかはわからないが。





    三井、三菱、住友の「3大財閥」は、昭和4年の時点で、系列企業が日本の株式会社上位100社の総資産額に占める割合が28%にのぼった。





    こういうところが国民や軍部から不満の矛先を向けられることになった。




    企業の歴史も振り返るといろいろなことがあり、興味深いなあ。

  • 東2法経図・開架 B2/Mi64//K

  • 恵贈に与る。一般向けと専門家向けの中道をいく本を書くことは難しいとされているが、この本はそれを見事に達成している。圧巻なのは、掲示した文書資料に、翻刻文と現代語訳、そしてさらに解説までつけていること。これは非常に労力と「勇気」のいることなので、ただただ拍手。マニアックなツボを一点紹介すると、三井家の歴史編纂事業は、実は江戸時代から始まっているんですよ、と、さらっと書いているところ。それも家内で揉め事が起こっていた時期に、家の歴史を振り返ろうとした点に触れた上で、「危機的状況において立ち返るべき原点として家の歴史を考えることは、近世社会では広く見られる傾向であった」と結ぶあたり、執筆者のセンスをビシビシと感じます。

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