采女 なぞの古代女性 地方からやってきた女官たち (歴史文化ライブラリー 605)
- 吉川弘文館 (2024年8月21日発売)


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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784642306058
作品紹介・あらすじ
律令で定められた古代の女官、采女(うねめ)。地方エリート層出身の女性が「天皇に献上された美女」や遊女へとイメージが形成されていったのはなぜか。外交の一端を担い海を渡った采女や『天寿国繍帳』銘文に見える「大女郎」など、歴史書や文学作品の記述をもとに律令前史における宮廷女性の実像に迫り、従来のゆがめられた〈采女幻想〉から解き放つ。
感想・レビュー・書評
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幽玄の采女像
采女の「姧」と雄略天皇:
胸方神への派遣と姧
天皇の使節となった采女
神事でのタブーと姧
大悪天皇・雄略の怒り
采女の「貢」とは何だったのか:
贖罪の采女日之媛の物語
貢された采女・日之媛
律令の「貢」と地方出身女官
海を渡る采女:
吉備上道采女大海の物語
将軍と采女
古代の女性外交官と采女適稽女郎
東アジアの女郎と采女:
敬称としての女郎
日本の女郎と采女
『天寿国繍帳』の采女と大女郎:
中国王朝の采女
『天寿国繍帳』をめぐる推古と采女と大女郎
采女の虚像と実像:
矛盾する采女像
書き換えられた采女像
幻想を乗り越えて -
古代の女官である采女について、記紀を始めとした史料を批判的に検証し、歴史的に形成された虚像を剥がし実像へと迫る内容。漢字の語義や東アジアを含む範囲での用法から辿る手法が興味深かった。
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短気ですぐに激昂する雄略天皇には1ミリも興味がないのだが、雄略天皇と采女のエピソードが多すぎて、この本の尺も大幅にそこに割かれている。
日本独自のかな文字がまだ発達していなかった時代、少ない記録に残っているのは漢字で書かれた漢文由来の“記録”しかない。否が応でも反映される中国の男尊女卑的思考や、厳密にはやまとことばとニュアンスの異なってしまう表記から、ジェンダーバイアスや中国の価値観を排除して史料を精読することの大切さはよく分かった。 -
武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000285271
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/719071
著者プロフィール
伊集院葉子の作品





