アメリカ素描

  • 読売新聞社 (1986年4月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784643743609

感想・レビュー・書評

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  • 著者が1980年代前半のアメリカを旅行した時の考察だが、40年後の現代にも通じる普遍的な視点もあって、思ったよりも新鮮な感覚だった。

    まず、多様性を意識した描写が印象に残る。アジア系住民の姿から彼らの母国がたどった歴史や、差別の実情にまで踏み込む。その描写は独特で、目に映る風景や人物について活写しながら、突然話題を自分の歴史観や文化文明論に移す。一通り論じた後にまた目の前の風景に戻る、という内容が繰り返されるところが面白い。

    同性愛については、思い切った踏み込み方にインパクトがある。法的整備を強く主張する彼らの様子には40年の隔たりが感じられない。著者自身の率直な考えがそのまま文章に綴られていて貴重だと思う。

    後半は日本との比較、民族同士の比較が興味深い。様々な名著が紹介され、著者の博識を見せつけられる思いだった。また、言葉の使い方が独特で、音読したら味わい深いだろうなあと感じるところがたくさんある。「ぜんたいに、すくなくとも、おわり、ひとびと、おもう…」といった平仮名で書かれた言葉については、一般書では漢字を使う場合が多いと思う。平仮名を使うことで、平易な印象になる。一方、「苛烈、沈毅、迂遠」といった漢字検定に出てきそうな、意味を考えてしまいそうな熟語も頻繁に使われる。アンバランスな言葉の連なりが独特の抑揚を生み、それを見ているうちにいつしか眠くなって…。

    家の片隅で見つけた本。しばらく手元に置いておきたい。

  • 彼はやはり物書き屋だわ、いいね

  • 街道を行く「ニューヨーク散歩」では物足りなかった司馬遼太郎のアメリカ観について知りたいと思った。前半の主題は、文明と文化について氏の持論としているものが、アメリカという逆順の国でも通用するかを確認、確証するための思索が中心となっている。途中からアメリカを全体的な観念から捉えるのではなく、その地に住む人との対話から少しずつアメリカにおける文化というものが、通常の国家、民族が持っている文化とは異なる形で定着しているのではないかと感じ始め、後半は主にその文化の源泉を確かめる方向に変わってくる。

  • 文化と文明。
    ぼくが来たのと同じ時期にアメリカを垣間見た司馬遼太郎さん。
    あらためて読んでみても、この国は基本的には変わってはいない(25年で変わるわけもないが)。
    今、アメリカを見るのに古く新しい視点を与えてくれた。

    棲み暮らしながら感じる違和感、疑問……。
    そんなことを解決ましくはヒントを与えてくれる一冊だった。
    短期間でこれだけのことを感じ、観察し、消化・昇華できる。
    すごいことだ。
    司馬さんの作品というよりもその姿勢に感銘を受けた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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