我輩は施主である

  • 読売新聞社 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784643970883

感想・レビュー・書評

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  • 赤瀬川原平さんが有名な自邸「ニラハウス」ができるまでを綴ったエッセイ。
    さすが前衛芸術家で作家、文章がめちゃくちゃうまい。するすると読めるし、それぞれの登場人物にしっかり血が通っているから、文章を読むというより彼らのお喋りを聞いているような現場感があって楽しい。

    ニラハウスの設計は今を時めく藤森照信さんですが、当時はまだ2軒を手掛けたばかりの時期で、しかもそのうち1軒はニラハウスの話が出てからできあがった藤森邸・タンポポハウス。
    斬新な設計を手掛ける藤森さんなだけに、作中でも赤瀬川夫婦が藤森さんからFAXで届いたスケッチを見てざわざわするなどしています。


    「ここにも点々があるよ」
    「本当だ、知らなかった」
    「うちにはタンポポをやるって聞いてないよね」
    「聞いてないわよ。うちは普通の家にするって、この間もいってたもの」
    「うん、でも気になるなあ。この点々……」
    何かが繁殖している気配がする。まさかタンポポではないと思うが、F森教授の脳内で、跳ね橋のほかにも何かが蠢いている。


    そして、藤森さんはのちに言う。
    「それからね、屋根はニラにしましょう」

    予感的中です。
    しかし、藤森さんはただの奇人ではなく、ここに至るまでに登場人物の「藤森照信さん」が生き生きと彼の哲学を語っているので、「そうか、ニラか…」とこちらも不思議な納得をしてしまいます。

    藤森さんの哲学で面白かった話は、建物の緑化について「共存という幻想があるから失敗する」とバッサリ切った一節。「緑との共存というけど、どうも嘘くさい。緑をやっつけたのは致し方ないとしても、その後工業化した人間が緑を絶滅寸前にまで追い込んでおいて、それで緑との共存というのはあまりにも偽善的でいけません」と。以前から屋上庭園を都市の緑化といわれるたびにあった違和感がすとんと落ちて、なるほど、と。

    また、ところどころに挿し込まれている赤瀬川さんの素描もこの本の魅力のひとつだと思います。

  • 芥川賞作家、赤瀬川原平さんが自宅のニラハウスを作る話。おもしろい。土地探しから東大 藤森教授による家の設計。素敵な丘陵地の土地を探すところも良かった。夢がありますね。眺めの良い丘陵地の家、憧れます。

    途中で出てくる藤森教授の講義も良かった。この方、タンポポハウスで有名ですが、緑の建物への寄生、というコンセプトがあるのですね。都庁などのビルを蔦で覆いたい、というコンセプトはおもしろいです。

  • 読んでると「家を建てる」というのがとても楽しそうに思えてくる。「地鎮祭」なんて今や誰もが体験できるものじゃないもんね。

  • 面白く読ませてまらいました。

  • A瀬川さんがニラハウスを建てた時のあれこれ。

    F森教授の明快な回答が面白い。土地に生えていた木を切るのにためらう施主にむかって「だって家のために木材切ってるじゃない」とか、万事そんな感じ。処分に困った竹の山のくだりなんてもうほんと笑えた。楽しいなあ

  • 屋根に韮(ニラ)の生えた家――?作家・A瀬川原平と建築家F森教授が企んだ面白くて奇抜な家作り。こんな家もいいかも?

  • 独特の脱力系文体が大好き。
    彼のニラハウスができるまでの顛末記です。
    芸術家ならではのこだわりと抜け加減はさすが・・。
    F森教授の豪腕が冴えてます。

  • 屋根にニラしげるニラ・ハウスはいかにしてつくられたのか。脱力系文体で建築の一大冒険を語ります。

  • 今度、我輩は自分の好みに合った家を新築することになった。土地探しの右往左往、長野の山での材木伐り出しに自ら出陣。ぜひ欲しいのは広いアトリエと中庭。が、F森教授は、跳ね橋だの屋根にニラを植えるだのと言い出して…。


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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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