閨閥 日本のニュー・エスタブリッシュメント

  • 立風書房 (1987年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784651700144

作品紹介・あらすじ

戦後日本を動かしているエリート56家系!日本の支配者階層-ニュー・エスタブリッシュメント-のつながりの状況、係累の拡がりを家系図を中心に分類し、政界、財界に及ぼす影響力を探る!

感想・レビュー・書評

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  • 副題のごとくおもに明治期以降に興隆した家を述べる。

    現在の我が国の「新支配者階級」はかつての旧華族を中心とする名門家系に、戦後の新興勢力である財界人家系、それに権力者の家系が加わって、新旧の支配者階級が渾然一体となって作りだされた、エリート閨閥、そのもののなかに存在しているのではないか、という。

    戦前、皇室の藩屏だった旧華族は、戦後没落した家系、とだえた家系もあるが、大部分の家系は戦後誕生した、産業資本、金融資本の経営者、あるいは官僚や政治家などの新興勢力のエリート家系とつながりその「閨閥」の中で、新しい養分を吸収しながら、名門家系の”血脈”のリレーは受け継がれている、という。

    56家系を項目にそれぞれ系図がある。系図をみるとそれぞれに○○会社社長、とか聞いたことのある会社の名前が見える。令和の時代、どうなっているのか。

    1987.4.10新装第1刷 1989.1.20新装第3刷 図書館

  • ST14a

  • 佐藤朝泰の「閥」シリーズ第一弾。 かなり以前の本なので最近の有力人物はほとんど登場しない上、半ば没落した人たちが大きく取り扱われたりしています。 なので、戦後史研究用の資料と割り切って利用した方がいいでしょう。
    閨閥とは複合的姻戚関係のこと。 縦の系図で表される男系の親族(門閥など)に対し、婚姻で結ばれた(いわゆる政略結婚)横の親族関係を指します。 繁栄の象徴として誇られることが多い門閥と違い、半ば秘密裏のネットワークである閨閥について当事者は語りたがりません。 婚姻による支配階級の緊密なネットワークは世界中にありますが、特に目立つのがヨーロッパと日本です。
    閨閥が意味を持つ分野は、国によって、時代によってそれぞれ違います。 戦後の日本では、官僚、政治家、財界家系、でした(戦前は華族、高級軍人、政治家、財界家系)。 この本のハイライトであり、類書にない指摘が見られるのは、最終章「諸戸家」です(それ以外は、他の閨閥解説書と似たり寄ったり)。 著者は、著名閨閥の形成過程を、地方豪族と旧華族などの組み合わせで作られることが多いとし、三重から出て名古屋の地方閨閥と一体化し、中央の有力家系とネットワークを張りめぐらせた諸戸家を代表例として取り上げています。諸戸家は日本一の山林王として知られ、初代清六は、明治初期に都心の土地30万坪を買いまくり、渋谷から世田谷まで他人の土地を踏まずに歩いていくことができました。 この章の最後に、「地方豪族をキーステーションにした閨閥の拡がりの相関図表」と題する日本中の閨閥の一覧図が示されていますが、確かに分かりやすく、イメージ的に把握することができて便利です。
    一般に閨閥本は資料の色彩が濃く、結論らしい結論も書かれていないことが多いのですが、せめてこういう図だけでも真似して欲しいところです。
    もう一つのポイントは美智子皇后の実家正田家に、この大閨閥網が連結し、天皇家を取り囲んでいることです。功成り名遂げた人々は最終的に、子息使って、どれだけ天皇家と近い関係になるかを競っているのが、この図からよく分かり、正田家はそのための玄関口として見られていたということでしょう。
    昨今の女系天皇論を声高に主張する人たちの思惑も、この玄関口を思いっきりこじ開けて利用したいというところにあるのかもしれません。

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