おとうさんがいっぱい (新・名作の愛蔵版)

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 251
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652005149

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃に読んで自分の中の『こっちの道いったらどうなるんやろ…とか時計の後ろに部屋があったら』とかいうのは、ここから来てたんやな。ってつくづくおもった笑
    ふと思い出したのを機に買ってみて20年越しぐらいに読んだけどふつうに怖かった、だけどやっぱり挿し絵なんかもなつかしいが勝ってた。
    おとうさんが壁の中に入っていく話がすごく印象的で、幼い頃に手にした時は『へぇ』ぐらいにしか感じなかった。それよりも周りで目まぐるしく起きるすべてのことがこの本よりも新鮮で頭に残ってたのかなっておもった。でも何十年経ってもこの本を覚えていたということはやっぱり幼いながらにすごく印象に残る本だったんだろうなとおもった。

  • 児童文学とは思えない、不条理でこわ〜い世界が展開される5篇の短篇集。表題作は、コメディのような筋書きから一転して、このあと、どうなるのだろう?という無限の不安に襲われる結末。子どもが読んだらトラウマになっちゃうかも!? どの物語でも少年たちは、突然、自分の存在が不確かとなり孤独と狂気に陥る。見えないなにかに監視されているような圧迫感、それは底なしの穴に落ちていくような、暗くて恐ろしい悪夢を描いている。日常のどこかに奇妙な扉があると想像すると、とてもこわ〜い。佐々木マキの不穏なイラストも、不気味でこわ〜い。

    個人的には、表題作と最後の話のお父さんが気の毒に思えた。ウィキペディアによると父親の役割とは、「手短に言えば、子どものお腹を食べ物で満たし、子どもの頭を知恵で満たし、子どもの心を愛と勇気で満たすことである」と書いてあるのだけど、そんな〈おとうさんがいっぱい〉であれば、何人いてもいいのになあ。

  • 『おとうさんがいっぱい』
    三田村信行さんが描くSFミステリー小説の短編集。
    やみつきになるような独特な世界観と、何気ない日常がふとしたことで変わってしまうかもしれないという、じわじわした恐怖感が読み手に押し寄せてきます。
    ある日主人公は、自分のお父さんが何人も増えてしまう光景を目の当たりにします。
    それぞれが「自分こそ本当のお父さんだ」と主張をしはじめ、ついに家族を巻き込んで争いを始めます。
    最後には誰が本物のお父さんかを選ぶよう、主人公と母親に選択を迫るのですが‥‥。
    1人のお父さんを決めた後、無事に取り戻した平和な日常。
    しかし、ある日主人公が家に帰ると、もう一人の自分と鉢合わせをすることになります。

    この物語を何度か読むたびに、「選ぶ側から選ばれる側へ回った恐怖」を感じながら、普段ではあり得ないと思うような世界でも、もしかしたら存在するかもしれない‥‥
    そんなことを考えています。
    例えば、同じ時間軸を生きている別世界のわたし。
    例えば、当たり前に帰る場所、それすら自分が思っているだけで、本当は存在しないかもしれない。

    この物語はホラーともとれるし、クスッとさせるような場面もあるので、ブラックジョークのようにもとれます。

    他のお話も、三田村信行さんの描く世界観は、私たちが日々当たり前だと思っている日常を違う視点から見せてくれる、当たり前を当たり前と思わないエッセンスが随所に散りばめられているのです。

    そしてなんといっても、小学3年生の頃、この本の表紙とタイトルに惹かれ手にとった日から、この本は大人になった今でも手放せない一冊になりました。
    価値観は一つではない、そんな私の考え方に大きく影響しています。

  • 子どもの時に読みたかったなぁ

  • 図書館にて。
    この本もツイッターの今まで読んだ中で一番怖かった話のタグにあった本。
    表題作が怖いとツイッターにはあったが、私は『かべは知っていた』が一番怖かった。

  • カズレーザーさんが紹介していた本を図書館で借りてみた。
    世界観がすごい。子どものころよんだら影を落としそうな印象でした。が、本当に子どもが読んだら意外と大丈夫なのかしら。うっすら怖さの残る、読了感でした。

  • 世にも奇妙な物語のような短編5つ。
    子どものころに読んでたらどうだっただろうな。忘れられなくなりそう。読み終わると背筋がぞくっとするようなものばかり。

    「ぼくは5階で」「おとうさんがいっぱい」が特におもしろかった。最後の「かべは知っていた」は、ほかとすこし違って切ない感じ。星新一や乙一、あと村上春樹の短編とも少し似ているかも。読んだあとにいろいろ考えてしまう。

  • 幼少期に読んだ児童書で、両親が実はエイリアンだったという物語を読んだことがあって、いま考えると今の自分の考え方の一部を作ってるなと思うんだけど、この本もその類のトラウマ本になること間違いなしの怖さがある。

    日常のふとしたことがきっかけになって、不思議な世界に閉じ込められてしまう物語ばかり。

    大人が読んでも、ちょっとゾクッとする内容でした。

  • もう少し文章が簡潔だと退屈せずに読めたのかもしれないですが、どれもなんとなく似た感じの題材で少し飽きてしまいました。でも登場するお父さんたちの大人とは思えない取り乱しようや言動はある意味面白い。古い作品なので女性に対する発言や自閉症に関する記述など、今とはだいぶ違うなと感じました。その一方で、家族関係の希薄さは今でもしばしば問題にされることですし、かべの中のお父さんの話などは、親の介護を一人で背負う息子を連想してしまいました。ホラーテイストですが、いろいろ考えさせられる話でもあります。

  • 小学生の時にフォア文庫版を買ってもらって読んだ。『おとうさんがいっぱい』…おもしろそうだなあ、と思って読んだのに、怖ろしさに震えることになった。
    「どこへもゆけない道」と「ぼくは五階で」が特に怖くて印象に残っているのだけど、今読むと「かべは知っていた」がすごくじわじわ来る。

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著者プロフィール

1939年東京都に生まれる。早稲田大学文学部卒業。主な作品に「キャベたまたんてい」シリーズ、「きつねのクリーニングや」シリーズ(いずれも金の星社)「キツネのかぎや」シリーズ、「へんてこ宝さがし」シリーズ(いずれもあかね書房)、「風の陰陽師」シリーズ、「三国志」シリーズ(ポプラ社)などがある。

「2020年 『キャベたまたんてい こふん時代へタイムスリップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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