おとうさんがいっぱい (新・名作の愛蔵版)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652005149

感想・レビュー・書評

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  •  いわゆる「不条理モノ」の短編集。
     大人が読んでもそれなりに面白いけど、オチも含めて児童書でこの内容は少々闇が深いかも。評価が分かれるのも仕方ない気がする。

     でも、安心安全健全な児童書に飽きていた生意気盛りの私(当時小4)には、とても面白く感じられた。理不尽なストーリー展開も、釈然としない読後感も、人の存在価値が地に落ちていくようなドライな雰囲気も、どれも衝撃的で新鮮だった。「これこれ! こういう本を読みたかったんだよ!」と私は歓喜に打ち震えた…と言うと大げさだけど、まあ読むべきタイミングで出会い、違う世界の扉を開いてくれた思い入れのある一冊だ。

     芸人のカズレーザーさんもオススメの本として紹介したと知って勇気が出たので、この手の内容を楽しむ子どももいますよ、確かに少し怖いけどホラーやスプラッタではないし、特に悪影響ないですよ大丈夫、たぶん……と小声で言いたい。
     

  • 小学生の頃に読んで自分の中の『こっちの道いったらどうなるんやろ…とか時計の後ろに部屋があったら』とかいうのは、ここから来てたんやな。ってつくづくおもった笑
    ふと思い出したのを機に買ってみて20年越しぐらいに読んだけどふつうに怖かった、だけどやっぱり挿し絵なんかもなつかしいが勝ってた。
    おとうさんが壁の中に入っていく話がすごく印象的で、幼い頃に手にした時は『へぇ』ぐらいにしか感じなかった。それよりも周りで目まぐるしく起きるすべてのことがこの本よりも新鮮で頭に残ってたのかなっておもった。でも何十年経ってもこの本を覚えていたということはやっぱり幼いながらにすごく印象に残る本だったんだろうなとおもった。

  • 「気持ち悪くて嫌だ」と読むのを途中で放棄。
    ブラックユーモアや不条理系は初めて読ませるのでどうかと思ったがまだ駄目でした。星新一から出直します。

  •  以前『遠くまでゆく日』を読んだ時に知って、面白そうな表紙だと思っていました。
     ユーモア調のタイトルと表紙だったので、ユーモアナンセンスの面白い笑える娯楽作品ではないかと想像していたのですが、全く逆でした。これは驚きますよ。

     本作品は一見するとSF・ファンタジー・シュール・前衛的・不条理をまとった空想的な作品だと思えるのですが、一方で、夢野久作が描くような狂気の世界のようにも思えるのです。
     本作品集は、精神病者が語る異常な体験談という風に解釈できないでしょうか。
     メンタルな問題は決して他人事ではなく、いつ自分が直面するかもしれない自分事の問題であります。発狂まではいかなくても神経症やうつ病になることは多いかもしれません。そう考えると、本作品で描かれている物語は決して他人事ではありません。 

     例えば「おとうさんがいっぱい」は、代替可能な部品と化した人間の不安です。
     自分は唯一無二の存在だと思っていたのに、単なるワンオブゼムの存在だったと気付いた時の衝撃!
     そして傍観者の立場から当事者の立場に転換する。これは怖いですよ。

     色々検索して、三田村さんはトラウマになりそうな怖い作品を色々と描かれている方だと知りました。
     そういう方向性では、佐野美津男さんの作品と通じるところがあります。
     三田村信行さんの他の作品も読んでみたいと思いました。
     また、挿絵を描かれている佐々木マキさんの作品も拝読したくなりました。
     色々読んでいると、読みたい本がどんどん広がっていくものです。


    20世紀少年少女SFクラブ
     世界は今でも落とし穴がいっぱい
    【おとうさんがいっぱい】三田村信行
      https://sfklubo.net/kiel_multaj_miaj_patroj_estas/
     https://sfkid.seesaa.net/article/501629261.html

  • ネットでこの本の存在を知る。
    有名なトラウマ児童書らしい。初版は1975年。
    作者名を見れば、次男がよく読んでいた、キャベたまたんていの作者ではないか。
    普通の児童書も手掛けている作家だという点がすでに怖い。

    全部で5話収録。
    三年生くらいなら読めると思うが、まあ、責任はとれません(-_-;)

    まず、表題作を読む。
    うん、やばい。
    この佐々木マキの白目イラストもやばい。
    ほかの短編もどれもやばいし、怖い。
    不条理系が繰り返すだけでなく、どれも増長していく系で先が消えていく読後感。
    星新一に悪意と乾いた視線を足した感じ。
    特にラストの かべは知っていた は印象的。
    (似たような話が岩波少年文庫の金原瑞人翻訳の海外ホラーシリーズにもあったが、三田村版のほうが怖い)
    最後にはなぜか、からりと新しい一歩まで描かれる。
    でもそれがまた不気味なんだよなー。

    しかしこういう怖さって、子供がふと考えていく世界の先にあるもの、でもある。
    そこを面白いと思えるタイプの子には、楽しめるかもしれません。

    怖がりなうちの男児たちには、アフターケアが要りそうな一冊。
    というか、これをかつて読んできた平成キッズも今からでもアフターケアをしたほうがよい一冊ではないのか…? しかし、あのころのテレビやまんががもっと野放図で、この手の感覚にはもっと慣れていたのかもしれない…。

  • 図書館で表紙の楽しげな雰囲気に目を引かれ、気になって検索してレビューを見たところ、数々の方のトラウマ本であることがわかり、気になって借りてみた。
    いずれも、日常から突然奇妙な世界に入ってしまう話。
    表紙の絵はかわいかったのに、中の絵はほぼがらんどうのような白目をしている。そ、その目をやめてくれー!
    「世にも奇妙な物語」のようで、子供の頃に読んだら私もトラウマになったかもしれない。大人になった今、トラウマになるほどにはこわがれなかったのが、ちょっとさびしい。
    作中の「中古」に「ちゅうぶる」とルビが振ってあって間違いかと思ったら以前はそういう読み方もあったそうだ。1970年代の作品だが、文章に全く古く感じるところがないと思ったが、意外なところで歴史を感じて面白かった。

  • こわいなぁこわいなぁ

  • この夏のホラー本
    レビューでトラウマ本らしいということで
    読んでみた。小学生の時に読んだ盗まれた明日を思い出した。家に帰ったら自分とそっくりさんが家族と話していて居場所がなくなっていた。そんな不気味さが詰まった短編集。個人的には僕は5階でとかべは知っていたが印象的だった。

  • トラウマ本でした。
    姉が読書感想文のために借りてきた本ですが、佐々木マキさんの挿絵も合わさって当時小学生の私には怖かったです。

    ちょっとした好奇心が故に、家に帰れなくなったり、
    父親が壁から出られなくなったりと、

    なんて事ない平和な日常が、ちょっとしたきっかけで全て壊れていく怖さは、大人になって改めて読むと、怖さ倍増です。

    ホラーとは違いますが、これが児童書なのか?と疑いたくなる恐怖があります。

    この本を読書感想文に選んだ姉は、
    一体どんな感想文を書いたことやら、、、、。

  • ふむ

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著者プロフィール

1939年東京に生まれる。
早稲田大学文学部卒業。児童文学作家。
主な作品に、「おとうさんがいっぱい」「風を売る男」「ものまね鳥を撃つな」「風の陰陽師」などがある。

「2019年 『漱石と熊楠 同時代を生きた二人の巨人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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