はじまりの樹の神話 (こそあどの森の物語)

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 426
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652006160

作品紹介・あらすじ

太古から来た少女をめぐる物語。ふしぎなキツネに導かれ、なぞの少女を助け出したスキッパー。巨きな樹があらわれる夜、『神話』と現実が交差する-。

感想・レビュー・書評

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  • こそあどの森の広場に、ある晩とつぜん巨大な樹があらわれ、ひとの言葉を話す不思議なキツネに導かれたスキッパーはなぞの少女を助けます。太古の神話とこそあどの森が交差する壮大なSFファンタジー。
    緊迫した導入部、少女ハシバミが森の住民と交流し現代の暮らしに慣れていく様子、ホタルギツネとスキッパーとの交流、こころに残る場面や印象的なエピソードが続いて、ふたたび緊張感の高まる結びへ、夢中で読み終えてしまった。
    手と手をふれあわせて感じるあたたかさや気持ち、匂いで呼び覚まされる記憶、五感や霊感を研ぎ澄ませる暮らしかたは好もしく、単純にあこがれてしまうけれど、半端なあこがれだけでは本物の「心の声での交流」なんてとても実現しえない、そのとおりと改めて肝に銘じる。太古から来た少女がなにも知らないと思ったけれど、現代に生きる自分こそ何も知らない、とスキッパーがさとるところも、よかった。

  • 人間は昔、けものと同じように生きてきたんだ。それがあるとき後足で立ちあがり、歩けるようになった。すると前足は手になったんだね。なにかをつかめるようになったのさ、人間はその手でなにを最初につかんだと思う?食べ物かい?火かい?棒や石かい?ちがうね。わたしにはわかる。人間が自分の手で最初ににぎったのは、きっと、別のだれかの手だったんだよ。
    ーバーバさん

    「あなたは逃げたことをずいぶん気にしているけれど、あのとき逃げたから、多くのことを学べたのじゃないの?ときには逃げることも必要なのよ。これからだって、そうよ。逃げてもいいのよ」
    ースミレさん


    こそあどの森シリーズで1番印象的な作品。
    森のみんなもホタルもハシバミもみんなカッコいい。

  • 嵐の夜、スキッパーの住むウニマルに、キツネが訪ねてきた。
    「手を貸してくれ。死にそうな子がいるんだ」と喋った。喋った?驚きつつもキツネについていくと、巨大な木に女の子がくくりつけられていた。
    名前はハシバミ。今よりもずっと昔の時代から来た。リュウの生贄にされていたという。。

    またもこそあどの森の住人の皆で頑張ります。仲良しでいいよね。

    スキッパーの思い出話の中で、バーバさんの話した言葉が素敵です。
    『人間が自分の手で最初ににぎったのは、きっと、別の誰かの手だったんだよ』

  • このシリーズでトップ3に入る面白さ。

  • 他のひともレビューに書かれてたけど、バーバさんとスミレさんの言葉が心に残った。

    凄く秀逸な作品。

  • はじまりの樹の神話 岡田淳 理論社
    こそあどの森の物語6

    壮大なロマンあふれる創世記から現代への物語
    縄文のような自然の中の一員として暮らす
純朴な狩猟採集時代から
    知識という悪魔の所有意識と
天使の補い合う解放意識との両面を相対させることで
    物質と精神・有限と無限・部分と全体などの
    相対関係を通して
自分の心と頭脳を磨き出す暮しへと成長していく

    満ことのない所有欲は競争原理を思い込み
永久の真理を求める解放欲は摩擦の体験を糧とする
    切磋琢磨によって集合意識とつながる成長へと飛躍し
    相乗効果を生み出す

    お互いに
    殺すことと生きること
    奪い合うことと補い合うこと
疑い合うことと信頼し合うこと
    この両面を理解することで
出合いを選択し続けろ冒険と発見の旅をしていく

後ろを振り返れば不安恐怖にまみれ
    その体験も逆手に取って学びへと咀嚼し
    視野を広げることで部分の具体的な情と
全体観の抽象的な愛を兼ね備えた調和へと
成長していく後ろ姿をこの物語に見て
読者となる子供たちは日々出合う判断の土台を
身に着けていけるだろう

勿論大人にとっても
人生という永遠の成長の旅に役立つ物語である

  • みんなと一緒にハラハラして、
    ドキドキして、ほろっとした。

    みんないい人たち。
    しばらく余韻に浸ります。

  • シリーズ6
    珍しくスミレさんが双子に優しかった。
    トワイエさんが活躍してて。
    あと、今回は戦いが出てきた。ビックリした。S10

  • こそあどの森シリーズ、いきなり本書から入ったけれども大変面白かった。
    「はじまりの樹」なので北欧神話が紛れ込んでくるのかと思えば、樹とともにタイムスリップしてきたのは縄文時代を思わせる生活をしていた女の子。
    はじまりの樹とこそあどの森をつなぐ役割をするのは「ホタルキツネ」という特殊な能力を持つキツネで、キツネが神様のお使いをするなんてまさに日本の民話の世界。いろんな世界から持ってきた神話的要素が、こそあどの森の世界で無理なくまとまり、ひとつのユニークな物語として動いているところがスゴイなあと感嘆しきり。

    また、トマトさんやポットさんがハシバミ(タイムスリップしてきた女の子)にかける言葉が、いちいち深いんだな。また、こそあどの森に来たばかりのハシバミが、スキッパーから缶詰の説明を受けるときに「それは誰が作ったのか」とたずね(スキッパーにはそれがわからない)、逆にハシバミは、何を誰がどうやって作ったのかすべて明らかな世界(何しろ典型的な狩猟採集生活)にいたことを知り、スキッパーは感慨を覚えるくだりとか、大人が読むと平易な文章の中に示唆に富む表現がいっぱいあって、こそあどの森は宝の森なんじゃないかと思った次第。

  • 神話の世界がまぎれこんでくる不思議なお話。

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著者プロフィール

岡田 淳(おかだ じゅん)
1947年兵庫県生まれ。神戸大学教育学部美術科在学中の1966年に「星泥棒」を自費出版。西宮市内で小学校の図工教師をつとめながら1979年に『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』(偕成社)を発表。1981年『放課後の時間割』で「日本児童文学者協会新人賞」を受賞。教壇に立ちながら1年に約1タイトルのペースで作品を発表。数々の賞を受賞する。「こそあどの森」シリーズ(理論社)は国際アンデルセン賞オナーリストとなる。アジア各国では翻訳本も出版されている。岡田淳作品で読書嫌いが治った、本好きになったという人は多い。自著の挿絵も手がけている。
代表作に『二分間の冒険』、『選ばなかった冒険―光の石の伝説』など。

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