霧の森となぞの声: こそあどの森の物語10 (こそあどの森の物語 10)

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652006733

作品紹介・あらすじ

「声…、だれの?」「だれだか、わかりません…」不思議な歌声が、こそあどの森をながれていく…。この森でもなければ、その森でもない。あの森でもなければ、どの森でもない。こそあどの森、こそあどの森。

感想・レビュー・書評

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  • 森の中からかすかに歌が聞こえます。スキッパーは、その歌を探しているうちに、森の中の大きな穴に落ちてしまいます。ふたごと、子供達を探しにやって来た、大人達まで次々と穴の中へ…。
    穴の中では、心を奪われるような音楽、歌が聞こえ、それぞれが幸せな夢の中に入ってしまい、動けなくなってしまいます。
    一人正気の、トマトさんが、頑張って、皆を穴から引き上げます。
    こそあどの森の物語は、どれも不思議な物語ですが、今回の物語は、特に、住人それぞれが歌に誘われて見たイメージの場面が、不思議に思いました。
    スキッパーが見た火。トワイエさんは、「それはきっと、スキッパーのなかで、そう、かくれて燃えている火、なんでしょうね」といってくれました。
    スキッパーは、自分のなかにかくれているなにかがあるなんて、考えてもみないことでした。
     かくれているといえば、あのふしぎな場所のふしぎな音楽も、いつも見なれた森の奥にかくれていたのです。
    ーーすると、今こうしてながめている森だって、木や草や土、岩のうしろに、べつの世界がかくれているかもしれない。
     そう思う、スキッパーが、魅力的です。


  • こそあどの森最大のピンチです!?

    スキッパーは耳が良すぎるのと大人の言う事は聞きましょうね。ふたごは赤いリボンを取っちゃダメ。(笑)トワイエさんは物知り、そして大活躍。ポットさんはトマトさんが本当に大好きなのね。トマトさんは心も体もふっかふか。こんな人に憧れる。スミレさんは不思議。「美しいものは危険なのよ」なんてちょっと人騒がせ。柵を作るのはやっぱりギーコさん。

    全て自然が起こした事…だったのでしょう。

  • こそあどの森でまた不思議なことが起きるのだけど、いつもは伏線回収ですっきりと終わるのに今回はもやもやする終わり方だった。トマトさんが作る料理や紅茶の描写がとても美味しそうで、読みながらつい紅茶をいれて飲んでしまう。

  • もうすっかり春、そう思っていたある日、冬に逆戻りの寒い風がふきだしました。作家の仕事に行き詰ったトワイエさんは散歩に出かけました。すると、森でスキッパーを見つけました。ぼんやりしているスキッパー。風の音の中から女の人の歌声が聞こえるというじゃありませんか。

    シリーズももう10作目なんですね。しかも2009年に出ているなんて!まだまだ続きが出るんだと思うと嬉しくなりました。
    今回も不思議なお話には違いないんだけど、ちょっとぞくっとするようなお話でした。いつもは冷静なスミレさんがやけに行動的です。今回はトワイエさんが中心になって頑張っていました。
    抽象的で精神世界みたいな話なので、小学生にはあまり引っかからないんじゃないかなーなんて思いました。今の子達はこそあど自体読まないんですけどね。少なくとも私の周りの子は。でも、読み始めるとこの世界観に浸れる子はきっといるはずだと思い、地道にアピール頑張ってます。本を殺すのも私、生かすのも私。そう思っています。

  • こそあどの森の10巻目

    ある日スキッパーが森で微かにうたが聞こえて辿っていくと穴に落ちてしまい...。

  • みんな穴に落ちて、
    戻れなくなってしまって、
    本当にハラハラした。
    トワイエさんは足くじいちゃうし。

    トマトさんがヒーローに見えた!

  • 「美しいものは危険なのよ」
    ースミレさん

    ハラハラしたー!
    大人たちが子どもたちを捜しに行く場面は、頼もしいって思ったが、大人たちもまた一人一人いなくなった時はページもまだ半分あるし、大丈夫かいな!?って不安になった。

  • >ふしぎな歌声をさがして森の奥へ。
    声にひきこまれるように穴に落ちたスキッパー。
    さらに住人たちも…。
    無事戻れるのでしょうか。

    こそあどの森の物語、第10巻。
    今回はトワイエさんが大活躍でした。

    なぞの声の正体が最後まで気になっていましたが、さすが岡田淳さん。
    あ~なるほど・・・と思えるものでした。

    スミレさんの「美しいものは危険なのよ」という言葉が印象的。
    自然は美しいだけじゃなく、時には怖い存在にもなりうるということ。
    畏敬の念を持って接しないといけないと思わされる物語でした。

    同じ音を聞いても皆違う場面を思い浮かべていたというのが面白い。
    スキッパーの中で隠れて燃えている火が一番興味深かったです。

    自分の眺めている世界の後ろに別の世界が隠れているかもしれないと思うと、ちょっとものの見方が変わるような気がします。

  • 独特のスタイルで挿絵が入って
    その世界に入りこんでいける
    このシリーズも10巻になるんですね。
    低学年でも楽しめるし、おすすめです。

    霧の中から、聞こえてくる音楽。
    自分だったら何を見つけるだろう?
    素に帰ったら、何が残るだろう?

  • このシリーズは、思わず顔が緩んでしまうくらいお気に入り。
    ムーミンとかもそうだけど、森とか谷とか村とかある種の閉ざされた空間で、個性豊かな住人達が不思議な出来事に遭遇しつつゆったりした日常を過ごしている話って、読んでてすごく安心する。
    大冒険ってわけじゃない。
    難しいことを描いているわけじゃないのに、心の深いところまで染み込んでいくと言おうか。

    さて10巻。
    不思議な音楽を聞いた時、皆の見たものがホントに皆それぞれで、そこが良いなと思うのだが、ポットさんの反応に一番胸を揺さぶられた。ほんのちょっとの切なさが。
    それに対するトマトさんの対応が…短い一文なのに何でこんなにグッとくるんだろう。

    上手く言葉に出来ない。でもいい。

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著者プロフィール

1947年兵庫県生まれ。神戸大学教育学部美術科在学中の1966年に「星泥棒」を自費出版。西宮市内で小学校教師をつとめながら1979年に『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』(偕成社)を発表。1981年『放課後の時間割』で「日本児童文学者協会新人賞」を受賞。教壇に立ちながら1年に約1タイトルのペースで作品を発表。数々の賞を受賞する。「こそあどの森」シリーズ(理論社)は国際アンデルセン賞オナーリストとなる。アジア各国では翻訳本も出版されている。岡田淳作品で読書嫌いが治った、本好きになったという人は多い。

「2008年 『人類やりなおし装置』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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