shuwachoさんの感想
2014年10月1日
小学3-4年生夏の図書館ラリーの一冊。 いつもオー・ヘンリとオスカー・ワイルドがごっちゃになってしまう。 このシリーズは挿絵が和田誠なので星新一の空気までまとうよう。 賢者の贈り物 荒野の王子さま お金の神様とキューピッド 鳴らないピアノ 紫色のドレス 平和の衣 騎士道の守り手 選んだ道 久しぶりに読んで訳がこども向けなのか、ちょっとぎこちない? こんなだったかな。 でも、もともとのストーリーが良いのでニヤニヤしながら楽しい時を過ごす。 「荒野の王子さま」は和製なら池波正太郎がしぶく書いてくれるだろうな、なんて。 「お金の神様とキューピッド」はかなり星新一っぽい。 皮肉さに物悲しくなったり、どんでん返しに笑みがでたり。やっぱ、チビちゃんに読ませたかったなー。 彼はタイトルで手にも取らず。残念。
booklog-userさんの感想
2015年1月1日
図書館のクリスマスおすすめ図書にあった。 「ああ子供の頃にこの著者の作品をいくつか読んだな。 ありゃなんだったんだろうな、今読んだら素敵な作品だったりするのかな」などと思って借りてみた。 当時、この作品を読んだ時は、あまりに無意味さに、それで読者にどうしろというのだろう、と困惑したものだった。 なぜかと言うと、要するにばかみたいな話なのに著者が別に誰かや何かをばかにしている素振りはなかったからだ。 かといってなにか自分の能力や世間に対して大きな勘違いや思い違いをしている訳でもなさそうだったからだ。当然ながら媚びてさえもいなかったし、お金のためでもなさそうだった。 では、これはアメリカンジョーク的なものなのだろうか?つまり、下らなさすぎるところを笑う的な何かだろうか? センスがなさすぎるところをセンスなさすぎだろ!と突っ込んで楽しむ的なものなのだろうか? まだ世界の成り立ちを知らない子供はこの本の存在意義と著者の意図をはかりかねていたものだった。 果たして今回も安定の下らなさだった。それで(無駄に作り込んだ導入部だけは私好みだったものの)やっぱり一話読んだところで図書館に返しに行こうと思った。 だがあの頃に決着を付けていなかったことを思い出し、別に付けなければいけないような決着でもないだろうと思いつつ渋々最後まで読む決意をした。今思えばそれは神の見えざる手によって行われたことだったのかも知れない。 いつしか私はこんなにもひどい作品であるにもかかわらず、また著者がそのひどさを解する能力がない故にというわけでもないにもかかわらず、ただ目の前にあるこれが著者に否定も肯定もされずにいる、という妙な特異性に気付いていた。 「結果として」それはやはりアメリカンジョーク的な娯楽に違いなかっただろう。センスのなさにただ突っ込むだけという退廃的な娯楽だ。 この完璧すぎる作品について考えることは私的にメモリの無駄遣いのような気がするのだが、それでもこれが存在を許されているという神秘に神の守備範囲を垣間見てなんとも言えない気分になるのである。
kta0atkさんの感想
2014年1月19日
人生はときに皮肉なものである。 よかれと思って不愉快にさせたり、苦労が違う結果で報われたり。 O・ヘンリーは一般人の哀歓を描く。皮肉たっぷりに描く。 真面目に生きる人の苦労はたいてい報われない。 けれど、真面目に生きる人は情愛や慈しみで報われる。 これがO・ヘンリー作品の魅力のひとつです。 もうひとつの魅力は、あっと驚くドンデン返し、ストーリーテリングの楽しさ。 エンタテイメント性に優れ、かつ ほろっとする。 これこそO・ヘンリーの最大の魅力だと思います。 因みにこの本の挿絵は、星新一作品でもお馴染みの和田誠氏。これも魅力のひとつです。 ・「賢者の贈り物」 クリスマス前夜。妻は夫の宝物の金時計に合う鎖を買うために、自慢の髪を売り、 夫は妻の髪を飾る櫛を買うために、金時計を売ってしまう。 クリスマス当日。二人は温かい気持ちに包まれたのであった。 ・「荒野の王子さま」 父親に売られ石切り場で奴隷のように働く少女。 唯一の支えのグリム童話集も女主人に捨てられ、川に飛び込む手紙を母親に出した。 手紙を乗せた郵便馬車が盗賊に襲われた。偶然少女の手紙を読んだ頭領がとった行動は? ・「お金の神様とキューピッド」 一代で財を築いた父は金で全てが解決すると断言し、息子は真実の愛は買えないと言う。 息子は母の形見の指輪がとりなす縁で偶然、告白するチャンスを得て恋が成就した。 しかし偶然を演出したのはキューピッドではなかったのだ・・・。 ・「鳴らないピアノ」 偏屈で貧しい羊飼いの老父と聡明な娘。老父はなけなしを叩いて娘にピアノを買った。 ピアノ演奏が大好きな娘は狂喜したが、老父は回復の見込みのない肺炎に倒れた。 老父は弾いてくれと頼むが娘は最後まで弾かなかった。老父への愛ゆえのその理由とは…。 ・「紫色のドレス」 素敵な王子様のパーティで着る紫色のドレスのため生活費を切り詰めて貯金するメイダ。 しかし恋敵でもあり友人のトラブルにお金を貸してドレスを買えなくなったが…。 ・「平和の衣」 服装にこだわるニューヨークいちばんの伊達男がある日突然修道僧になってしまった。 連れて帰ろうとする友人達に感謝しつつ、修道院に残ることを告げた彼の真意は…。 ・「騎士道の守り手」 アメリカ南部の銀行の頭取と、頭取一家に60年仕える誠意があり正直な黒人の老人。 妻の他界で酒量が増え業務が滞りがちの頭取は怒り易く、誰も注進できなかった。 ある晩、老人は偶然金庫に忍びこむ頭取を見掛け、ついにお諫めを決心するが…。 ・「選んだ道」 若かりし頃、西か東か迷い西へ向かった男は、アメリカ西部で名うての強盗になっていた。 今日も冷酷さと貪欲さのまじった残忍さでいつわりの友を葬り、自分が生き延びた。 あの時、東へ向かっていたらどんな人生を歩んだろうか?その答えは…。
オー・ヘンリー/1862年、アメリカ・ノースカロライナ州出身。銀行勤務時代に横領罪で有罪判決を受け、服役中から短編小説を書きはじめる。ショートストーリーの名手と呼ばれ、庶民の哀歓を描く作品は時代や国境を越え多くの人々に愛され続けていて、生涯272編の短編作品を残し、これまで映画化された作品も多い。 「2023年 『人生は回転木馬』 で使われていた紹介文から引用しています。」