蟹塚縁起

著者 :
  • 理論社
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  • / ISBN・EAN: 9784652040232

感想・レビュー・書評

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  • nejidonさんと地球っこさんのやりとりを見せていただき、是非読んでみたいとネットで探し出し読んだもの。

    nejidonさんの言われるように「f植物園の巣穴」とどこか似た世界観。
    なんとも深い感動が、心の奥に染み渡ります。
    よい作品を読むと、自分の中が何か変わっていく気がします。
    この本に出会えたことに感謝しかありません。

    大人の絵本のように出来ていますが、文章も絵も素晴らしい。
    一つの芸術作品みたいです。

    また改めてnejidonさんと地球っこさんのレビューを読ませていただくと、これがまた素晴らしくって。
    レビューをみて、さらに作品の感動が増しました。

    この本が絶版になっているとは残念でなりません。
    宝物としてずっと置いておきたい一冊になりました。
    あっ でも、読みたい人、読んでもらいたい人等、多くの人に読んでもらおうと思います。

    • 地球っこさん
      いるかさん、こんばんは。

      昨日に引き続き、素敵なレビューに感動しました。
      いるかさんの気持ちが伝わってきます。
      本当に芸術作品のよ...
      いるかさん、こんばんは。

      昨日に引き続き、素敵なレビューに感動しました。
      いるかさんの気持ちが伝わってきます。
      本当に芸術作品のようです。
      みなさんに知っていただきたいですね(*^^*)
      いるかさーん、本当にありがとう!

      2020/11/18
    • いるかさん
      nejidonさん ありがとうございます。

      この本は埋もれさせてはいけない作品だと思います。
      これは全図書館においていただき、できるだけ多...
      nejidonさん ありがとうございます。

      この本は埋もれさせてはいけない作品だと思います。
      これは全図書館においていただき、できるだけ多くの人に読んでいただきたいと思いました。

      梨木ワールド なんと素敵なんでしょう。
      すっかり虜になりました。
      やっぱりノーベル文学賞ですね。。

      大切な一冊になりました。
      ありがとうございました。。
      2020/11/18
    • いるかさん
      地球っこさん ありがとうございます。

      よい本って本当に宝物ですね。
      気に入った本が詰まった本棚を見ているだけで幸せで、これからもできるだけ...
      地球っこさん ありがとうございます。

      よい本って本当に宝物ですね。
      気に入った本が詰まった本棚を見ているだけで幸せで、これからもできるだけ宝物を増やしていきたいと思います。
      そうすることで、自分も何か成長しているように思います。
      私はうまくレビューが書けませんが、これからもレビュー楽しみにしていますね。
      ありがとうございました。
      2020/11/18
  • 同じ梨木さんの『f植物園の園丁』と共通点を感じるとnejidonさんから教えていただきました。

    今、じーんとしてます。
    あぁ、nejidonさん。
    うまく言葉に出来ないのですけど、
    わたしには、『f植物園の園丁』と『蟹塚縁起』の世界は、どこかで繋がってるということが伝わってきました。

    読むことが出来て本当によかったです。
    ありがとうございます。

    蟹が螢となって次々静かに飛び立つ場面は、心が震えました。

    『f植物園の園丁』を読んだときに感じたのは、
    悲しみや憎しみを心の奥底に蓋をして閉じ込めることは、忘れてしまうことではなくて、それは執着して囚われていることじゃないかなということ。
    今回『蟹塚縁起』を読んだことによって、そういう感情を手放せたのなら、きっと自分のことも許せることが出来るんじゃないだろうかと思えたのだ。

    身体がこの世からなくなることと、想いが消えてしまうことは同じではなくて。
    いつかまた会える日まで、こちら側とあちら側でお互いが想いあい、心のうちで語りかけ、そうやってともに過ごせたなら、きっと縁が途切れることはないのだ、そう強く感じ入る。

    ちょっぴり残念だったのは、
    この絵本がわたしの利用する図書館では、書庫に収められていたこと。
    できたら書架に並べていてほしかった。
    さらに欲を言えば『f植物園の園丁』の隣に並べておいてくれたら、もっとよかったのにな。

    • nejidonさん
      嬉しいなぁ。
      私が読んで感動した本を地球っこさんも読んでくださって、しかも☆五つも下さる。
      なんかね、もう自分がこの本を書いたかのような...
      嬉しいなぁ。
      私が読んで感動した本を地球っこさんも読んでくださって、しかも☆五つも下さる。
      なんかね、もう自分がこの本を書いたかのようなものすごい勘違いしそうです・(笑)
      梨木さんの作品の中では比較的マイナーなものに、こうして日の目をみせてくださって有難いことです。
      重ねて、ありがとうございます!
      2020/11/02
    • 地球っこさん
      nejidonさん、ありがとうございます。

      この絵本、教えてもらうまで全く知りませんでした。
      読むことができて良かった。
      はぁ、生...
      nejidonさん、ありがとうございます。

      この絵本、教えてもらうまで全く知りませんでした。
      読むことができて良かった。
      はぁ、生きてるうちに間に合った!という気持ちです 笑
      2020/11/03
  • 梨木さんの作品を開くのは実に約4年ぶり。
    【ピスタチオ】の満足度が非常に高かったので、余韻に浸っていたというか、小さな旅に出ていたというか。。。
    しかしまぁ、これまたなんと深い読後感だろう。
    絵本仕立ててでありながら、ずーんと濃厚なロマネスクがここにある。

    輪廻転生がベースなので下手するとこちらに戻って来れないかと思いきや、ちゃんと現世での生き方を考えさせる一冊になっている。
    大人向けの絵本ではあるが、中学生くらいからじゅうぶん読める。いや、むしろ読んでもらいたい。
    その年齢なりの「恨み・辛み・憎悪」などの念を抱えて苦しんでいる人には、なんらかの手立てを示すことになるだろう。
    『縁起』という仏教用語の解説は、ひとまず後回しにして。

    主人公の「とうきち」の前世は、無念のうちに非業の死を遂げた武士。
    蟹との出会いや名主との出会いで、その因縁が明かされていく。
    前半、蟹の化身である美しい女が「押しかけ嫁でございます」と言ってやってくるあたりは、聞いたことのあるような昔話風。
    ほっこりした話かと思いそうだが、後半は大きく話が動き、蟹が前世の記憶の案内役をしていく。
    生きているということは、生かされているということ。
    切なく辛い因縁を断ち切らんとして、とうきちが最後に放つ言葉には、魂が浄化されていくような感動がある。
    ああ、この言葉を、せめて前世で亡くなる前に言っていたら・・・と思うが。
    誰しも気がついたときは失ったときなのだ。
    木内達郎氏の重厚な油絵で、挿絵というジャンルを超えて一幅の芸術品のよう。
    闇に浮かび上がる人、月、牛、木々、蛍、戦の場面でさえもひたすら幻想的だ。

    心の中に降り積もる恨みや憎悪などと、どう向き合うのが良いのだろう?
    いくら否定してもふつふつと湧き上がる「悪意」を、人はどう処理して生きているのだろう?
    それに執着することそのものが何より苦しいのに。

    『オマエガ ソノウラミヲ テバナサナイカギリ』

    答えを求める気持ちがもしあるなら、何かしら得られることだろう。
    読後、黄泉の国に置き去りにされないようお気をつけください。

    • 地球っこさん
      nejidonさん、こんばんは。

      今、じーんとしてます。
      うまくこの気持ちがまとめられないので、まだレビューに載せることが出来ません...
      nejidonさん、こんばんは。

      今、じーんとしてます。
      うまくこの気持ちがまとめられないので、まだレビューに載せることが出来ません。
      でも、nejidonさんにはすぐに伝えたくて、コメントさせていただきます。

      あぁ、nejidonさん。
      うまく言葉に出来ないのですけど、
      わたしには、『f植物園の園丁』と『蟹塚縁起』の世界は、どこかで繋がってるということが伝わってきました。

      読むことが出来て本当によかった。
      ありがとうございます。

      螢が次々静かに飛び立つ場面は、心が震えました。

      憎しみや恨みを心の奥底に蓋をして閉じ込めることは、忘れてしまうことではなくて、執着してそして囚われていることだと思います。
      そういう感情を手放すことは、きっと自分のことも許すことになるんじゃないかな。

      身体がこの世からなくなることと、想いが消えてしまうことは同じではなくて、
      いつかまた会える日まで、こちら側とあちら側でお互いが想いあい、心のうちで語りかけ、そうやってともに過ごせたなら、きっと縁が途切れることはないのだと思います。

      ちょっぴり残念だったのは、
      この絵本がわたしの利用する図書館では、書庫に収められていたこと。
      できたら書架に並べていてほしかった。
      さらに欲を言えば『f植物園の園 丁』の隣に並べておいてくれたら、もっとよかったのにな。
      2020/11/02
    • nejidonさん
      地球っこさん、なんて素敵!!
      この感想だけでじゅうぶんレビューになってしまいますよ。
      もったいないので、ぜひぜひ(かぶっても構わないから...
      地球っこさん、なんて素敵!!
      この感想だけでじゅうぶんレビューになってしまいますよ。
      もったいないので、ぜひぜひ(かぶっても構わないから)載せてくださいね。
      私の考え方なんてどうでも良いのです。地球っこさんの感じ方が大事です。

      それにしても、ふたつの作品の繋がりを感じて下さってとても嬉しい。
      全然違うじゃないって言われたらどうしようかと思ってました。
      さすがというか、梨木さんじゃないと書けない作品だと思います。
      マイナスの想念に支配されている人はどうすればそれを手放せるか、考える機会をくれる本ですね。
      生きていくうえですごく大事なことなのに、なかなか教えてもらえません。
      そう、自分への執着をなくすにはどうしたら良いかってこと。
      より良く生きることって本当に難しい。。。
      そして、こちら側とあちら側でお互いが思いあい、心のうちで語りかけることが永遠に生きるということなのでしょう。
      これって、日本人ならでは死生観かもしれませんが。

      書庫におさまっていたなんて、ちょっとびっくり(+_+)ただでさえ絶版なのにね。
      ああ、同じ良書を読んでお話出来て、とても良かったです。
      ありがとうございます!

      2020/11/02
    • 地球っこさん
      nejidonさん、ありがとうございます。

      そうですね、勢いのままコメントしちゃいましたが、
      これが今のわたしの気持ちなので、
      そ...
      nejidonさん、ありがとうございます。

      そうですね、勢いのままコメントしちゃいましたが、
      これが今のわたしの気持ちなので、
      それを素直に感想にあげることとします(*^^*)
      ありがとうございました♪



      2020/11/02
  • 絵 木内達朗 助けた蟹が恩返。農民とうきちは,敵の罠にはまり惨殺される前世(武将)記憶が蘇る。因縁相手との対峙。「その恨みを手放さぬ限り」(六部言葉)月光と蛍群の描写が幻想的で美しい。

  • 梨木さんの昔話のような絵本。
    …あなたがその恨みを手放さぬ限り…
    亡くなりその体は朽ち果ててしまっても、人の思いは永遠に残る。
    例え七回生まれ変わったとしても…。

    思いを遂げた蟹達が蛍になって、煌々と照る満月に向かって静かに飛び立つ様はとても幻想的で美しい。
    一匹残らず飛び立って行ってしまった蟹達。
    切なく哀しいような、それでいて温かな気持ちにもなり胸がいっぱいになる。
    木内達朗さんの淡く優しいタッチの絵が梨木さんの物語の世界にピッタリはまってとても素敵だった。

  • フォローしている方々のコメントを読んで。

    しっとりとした絵本でした。

    そういったことで、蟹塚に。

    あなたがその恨みを手放さぬ限り

  • 「これが蟹塚の由来です。」

    情緒ある、どこか懐かしい絵と、梨木さんの静かで、それでいて感情をゆさぶってくる文章と物語が、心に染み入って染み入って、喘いでしまう。
    とても素晴らしい絵本だ。
    簡単に言うと、このおはなしは蟹版鶴の恩返しのようなもので、それをいくえにも発展させ深みを増しに増した、短いながらも読み応えのある、切なくも美しいむかしばなしである。

    物語の主人公は、両親を失くして独り身の男・とうきちである。
    夜、枕の下でざわざわと音がして目が覚めたとうきちは、不思議な蟹の行列を見る。
    その行列を見る前の昼、とうきちは名主の息子が沢蟹を無惨に殺して遊んでいるのを見かけやめさせたのだが、名主の息子は自分の残酷な行いを伏せ、蟹を奪われたと父親に言いつけ、怒った名主が報復に来たことを思い出した。
    まさかこの蟹たちは名主の家に行くのでは……

    また、過去に旅の六部(おそらく仏教で66箇所の霊場を行脚する僧のことだろう。作中ではりくぶと振り仮名が打ってあった)は、とうきちに、とうきち自身の前世の話をしていた。
    話の最後に六部は、…あなたがその恨みを手放さぬ限り…と謎の言葉も残していった。
    このとうきちの前世の話がどう蟹の話に繋がるのか?
    読みながら疑問に思っていたが、その繋がりが分かった時、大きく心が揺さぶられた。
    そのラストは幻想的で美しく儚く………
    切なさなのか悲しさなのか感動なのか、いろいろな感情がごちゃまぜになって、しんみりと涙をこぼしそうになる。なんとも愛おしい物語。
    業と許し。
    もう、ぜひとも読んでほしい。
    そしてハッピーエンドなので安心してほしい。
    いや、ハッピーエンドという単語だけでは言い表せないのだが。
    声に出して読み上げたくなるような、梨木さんの美しい日本語にも浸ってほしい。

    さて、絵についてだが、油絵なのかな?とても味わいのある、私の大好きなタッチの、美しい絵だ。
    面白いのがその描写。
    物語には冒頭をはじめ、蟹の行列の描写が文に幾度も出てくるのだが、目を凝らして見てみても蟹の行列の絵は一切描かれていない。
    そして人物たちの描写も、はっきりと表情や顔つきを描かず、淡い輪郭で描いている。
    蟹が人間の女の姿になって、とうきちに恩返しにくる場面があるのだが、その女の描写もとてもぼんやりとしている。
    その淡い描き方に、絵本を読んでいながら、蟹の行列はどのようだったのだろうなどと想像力を掻き立てられる。
    その反面、唯一どっしりはっきり描かれる一匹の沢蟹をアップで描いた一枚は、鮮明で力強く、非常に目を引く。惹きつけられる。
    とてもこの物語と相性のいいと言うか、ベストマッチ、な描き方をされているのだ。
    そんな木内さんの絵もぜひ堪能してほしい。

    最後に。
    なぜタイトルが蟹塚縁起なのだろう?と思い、縁起という言葉について調べてみた。(蟹塚については物語を読めばわかるので)
    よく「縁起を担ぐ」などと言うが、縁起はそもそも仏教における真理を表す一つの言葉・因縁生起の略なのだそう。
    そして現在使われるなかで、縁起にはものごとの起こりという意味があるという。
    この物語の「縁起」は、そちらの意味だと思われる。
    蟹塚がなぜ起こったかその由来は。
    長い長い因縁の、始まりと終わりのおはなし。
    この物語はそういうお話なので。
    …改めて素晴らしいタイトルだなぁ。

  • 縁起とは、仏教の考え方で、すべてのものは他のものとの縁によって起こるということであるという。
    物語のあらすじも、この縁起で成り立っている。
    前世で武将であった百姓のとうきちが、名主の息子が沢蟹をいじめているのを見て、助けてやる。それがために名主に恨まれ、とうきちの唯一の財産である牛を獲られてしまう。助けられた沢蟹が牛を取り返しに行くが、沢蟹の微力では大きな牛を取り返すことは及ばない。沢蟹は力尽きて、どんどん死んでいってしまう。その姿を見て、とうきちは、沢蟹達が前世で自分の家来であったことに気づいていく…。
    前世の縁起により、沢蟹達は無常の死を遂げていく。無益な争いと死を止めさせるためには、とうきち自身が、前世で無念の死を遂げたその恨みを手離さなければならない。
    縁とはなにか、許しとはなにか。
    非常に奥深いテーマを持つ作品で、完成度が高く、木内達朗氏の絵も幻想的で美しい。
    ただ、ラストの、とうきちが恨みを手離したことによって沢蟹達が蛍に変わって成就していくシーン、とうきちと名主親子との和解のシーンなどは、まとまりを意識したような展開に思えた。
    あの梨木香歩さんが、このあたり本当に納得して書いたのかな?と疑問を持った。
    それにしても、理論社は本当にグレードの高い児童書を作っていたんだなあと、いまさらながら感心してしまう。
    こんな出版社がつぶれてしまう現実。くやしい。

  • おしゃれなカフェで梨木さんの絵本み〜〜つけた♡人の業、ツルの恩返し...

  • 梨木香歩bot ?@nashiki_bot蟹よ 蟹よ あればかしのことをおまえたちはいつまでも恩に思って、そんな難儀に身を投じていてくれたのかい。そんなことは、しなくていいのだ、しなくていいのだ。おれはこんな小さいおまえたちから、なにを返してもらおうとも思わないよ。 『蟹塚縁起』

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梨木香歩の作品

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