ルリユールおじさん

著者 :
  • 理論社
4.34
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本棚登録 : 982
レビュー : 208
  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652040508

作品紹介・あらすじ

パリの路地裏に、ひっそりと息づいていた手の記憶。本造りの職人から少女へ、かけがえのないおくりもの。

感想・レビュー・書評

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  • 最初にページをめくって現れたのは、見開きの「パリの街の朝」の水墨画。
    うわ~、なんていい感じ!
    これからどんな一日が待っているのか、思わず胸がときめく。

    右のページには、老人が植木に水をあげている姿が小さく描かれている。
    人はこの老人だけ、と思いきや、
    左のページには、よーく見ないと見逃がしそうな小さな女の子もいた。

    少し読み進めて気が付いた。
    最初の10ページほどは、同じ時間に別々の場所にいる少女と老人が左と右のページに別れて描かれている。
    そして、少女は探していた老人にやっと出会える。

    あとは、皆さんのレビューのとおりなので多くは語りません。
    あまりにもいい本だったので、お気に入りベスト3を更新してしまいました。

    • nejidonさん
      kazuさん、こんにちは(^^♪
      いつも「いいね」を下さってありがとうございます。
      「ルリユールおじさん」、懐かしいです!
      絵の構図と...
      kazuさん、こんにちは(^^♪
      いつも「いいね」を下さってありがとうございます。
      「ルリユールおじさん」、懐かしいです!
      絵の構図といい色彩といい本の構成といい、何よりお話がとても良いですよね。
      後半の、ルリユールおじさんの手の描写と「ぼうず、いい手を持て」の言葉に
      じーんとしたのを覚えています。
      ブクログのおかげで絵本が、大人の方にも静かに広がっていくのは嬉しいですね。
      2019/12/08
    • Kazuさん
      nejidonさん、10年も前にこの本読まれていたのですね。
      あまりにもたくさんの人がレビューを書いていたのでnejidonさんのレビューに...
      nejidonさん、10年も前にこの本読まれていたのですね。
      あまりにもたくさんの人がレビューを書いていたのでnejidonさんのレビューにたどり着けていませんでした。
      書店や図書館にはよく足を運ぶのですが、絵本のコーナーは素通りしてしまうのでこのような名著に巡り合うチャンスはありませんでした。
      ぼろぼろになってしまった大好きな植物図鑑がただ直るだけでなく、大好きなアカシアのページが表紙となって生まれ変わる。
      「わたしだけの本。」と言って、ソフィーが図鑑を両手で抱きかかえているカットにじーんときました。
      絵本を子供たちだけのものにしておくのは勿体ないですよね。
      2019/12/08
  • ボロボロになっても捨てたくない思い入れの本。こんなふうにまた装丁を新しくして、命を吹き込んでくれるルリユールさんみたいな素敵な手をもつ人に出会えたら、幸せだろうな。

    私も、してもらいたいな。
    どの本がいいかな、、、悩むな。笑

  • 「ルリユール」というのは、このお話に登場する職業。
    出版業と製本業の兼業が法的に禁止されていたフランスならではの職業であるらしく、製本から装丁までの工程を、ひとりでこなします。
    (著者による後書きより)
    今は数少なくなったというその職人の手仕事に魅せられ、パリの街にアパートを借りて工房に通い、手仕事のひとつひとつをスケッチしたという著者の熱意が生んだ作品。
    語り手はソフィーという少女です。

    大切にしていた植物図鑑が壊れてしまいました。
    直してほしくて、ソフィーは街の中を本を抱えて歩きます。
    ルリユールと出会うまでの時間。
    見開きの片側にソフィー。
    もう片側にルリユール。
    やがてふたりは出会います。そこはルリユールの工房。
    思わず微笑みがもれるソフィーの言動と、ルリユールの動き。

    最後は「魔法の手」で、ソフィーの大事な図鑑を甦らせるのですが、そこまでの過程が、この本の醍醐味でしょう。
    代々続くルリユールだったという老人は、ソフィーの図鑑を直す間、父の言葉を思い出します。
    その間描かれる、節くれ立った職人の手。その美しさ。
     […名をのこさなくてもいい。ぼうず、いい手をもて。]
    そう言う父の手を、魔法の手のようだと思いながら眺めていた少年時代。
    老人は自問します。
    「わたしも魔法の手をもてただろうか」

    翌朝見に来たソフィーの目に、美しく装丁された図鑑が飛び込みます。
    これが、読者も思わず声をあげてしまうような出来映え。
    嬉しくて嬉しくて、しっかりと抱きかかえるソフィーの喜びようがたまらなく可愛いですよ。
    そして、最後の1ページでは、目の奥がじわっと熱くなります。
    ひたすら良い仕事を成し遂げようとするルリユールとの出会いが、少女のその後を変えていったのです。

    いせひでこさんの絵も美しく、さらっと描かれた水彩画は、どのページを開いても美しい絵はがきのよう。
    ソフィーの青い服。その表情。街角の樹木。大きなアカシアの木。
    そして、何よりもルリユールの手!
    大人向けの本としても、じゅうぶんに名作と言えるでしょう。

    「本は時代を超えてそのいのちが何度でもよみがえるものだ」と、著者の言葉がありますが、それ以上の物をたくさん含んでいる作品です。
    良い仕事をするとはどういうことだろう。
    そんなことを思いながら、自分の手をしみじみと眺めた私です。

  • 気に入った一冊の本をとても大事にする少女と、真摯に誇り高く親から受け継ぐ業を成していくおじさん。この2人の噛み合わない会話が流れる工房の空気感がたまらなく愛しく感じられます。相手の話を聞いていないようで、実はしっかり心に染み込んでいるんだろうな。コピーのように全く元通りの形にせず、依頼者を理解した、たった一冊の本が出来上がった時は震えました。

  • 先に読んだ「サエズリ図書館のワルツさん2」で主軸だった、図書修復家の(おじいさんの)お話だったので、このタイミングで読めたことに運命を感じる。
    透明水彩で描かれるいせひでこさんの絵は、ラフでありながら緻密だから、物語そっちのけで、この絵の"なにが"そうなのだろうか、とつい見入ってしまった。(ので、初見の今は、物語の詳細を覚えていなくてすみません・・・。近々もう一度読もうと思っています)

    好きな色や質感の表紙を選び、本を綴りなおす。
    「本はそうやって新しいいのちを生きる」
    なんて素敵なことばだろうか。

    ソフィーの大好きなアカシアのページをルリユールおじさんは綴じなおさなかった。その段階でわたしには先は読めたけれど、それでも。
    金箔で名を型押ししてもらい「わたしだけの本!」と抱きしめるソフィー。あぁ、その気持ち、すごくよく解るよ!嬉しいよね!って、わたしもとても嬉しくなった。

    そして、その本をたからものに彼女が進んだ先に、
    あの大きなアカシアの枝が揺れているんだね。

  • 大切にしていた植物図鑑が壊れてしまった。少女ソフィーは本を直してもらうため、パリの一角に居る”ルリユール”という製本職人のもとを訪ねる。

    この本に出会って”ルリユール”という言葉が職業を指すことを知りました。本を直す過程に好奇心が抑えられないソフィーと、そんな少女に少し翻弄されながらも丁寧に仕事に向かうルリユールおじさんの2人の掛け合いに癒されます。

    淡い色で優しく描かれた1枚1枚の絵も必見。
    本を慈しむ全ての人に読んでほしい1冊。

  • 製本が好きなのと、いせさんの絵が好きなので、久しぶりに読んだ。
    スケッチ感と色の重なりや透明感がとても奇麗で、文章も絵に添えられているように簡素でありながらもちゃんと世界観や物語が表現されていて素敵だった。
    ルリユールおじさんの「わたしも魔法の手をもてただろうか」という言葉がとても心に残った。
    いつかフランスに行って本物の職人さんを見てみたいと改めて思った。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「本物の職人さんを見てみたい」
      良いですね、そう言うツアーがあれば行ってみたいな(大勢で押し掛けたら邪魔でしょうから却下)。。。
      いせひでこ...
      「本物の職人さんを見てみたい」
      良いですね、そう言うツアーがあれば行ってみたいな(大勢で押し掛けたら邪魔でしょうから却下)。。。
      いせひでこの絵本は、失われて欲しくない世界を繋ぎ止めるような話で、どれも好きです。。。
      2013/03/19
  • 絵本なのですが、対象年齢はいくつからなのか、と思う絵本です。
    中の絵も綺麗ですし、よくよく注意深く見てみると
    少女と老人がどういう位置でいるのか、というのが分かります。

    大事な本を直してもらおう、と思う子供が、今どれだけいるでしょうか?
    もちろんお気に入りの本は大事にするでしょうし
    どれだけぼろぼろになっても読むかと思います。
    けれど、その心を持ったまま、大きくなった子供は
    どこにどれだけいるでしょうか?
    『大人』になっている自分にも、言える事ですがw

    このまま大きくなってね、という気持ちもありますし
    こうなって欲しいな、という願望もあります。
    内容が理解できない年だとしても、いつか分かってくれるかもしれません。
    そういう意味では、最初から読み聞かせたい絵本です。

  • いせひでこさんを知るきっかけ本!
    少女が、愛読書の植物図鑑を直してもらうため、"ルリユール"を探すお話。
    ルリユールとは、本を修理するフランスの職業のことです。
    絵もお話も可愛いので、購入したいぐらい大好きです!
    …お金さえあればorz

    他にもいせひでこさんの作品は素敵な作品ばかりですが、一番はこの絵本ですね☆

  • まず、絵が素晴らしい。動きや温度を感じる。冷たい北風が吹く街並み。左ページから歩いてくるルリユールおじさんと右のページから走ってくる女の子。絵本の良さを最大限に引き出している作品。言葉は少なく、透明感のある色彩が読み手の気持ちもピュアにしていく。おじさんの話をきいているのかいないのか分からないような女の子との会話がとてもいい。手の描写にも魅せられます。「手」はこんなに語るものなのか。本を受け取った後の女の子の絵も好き。めっくって覗き込んで抱きしめて・・・。ラストも感動。

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著者プロフィール

1949年北海道生まれ。東京藝術大学卒業。
『マキちゃんの絵日記』で野間児童文型新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。
このほか、おもな作品に『まつり』『大きな木のような人』『あの路』(文・山本けんぞう)(いずれも講談社)、『1000の風1000のチェロ』『チェロの木』(ともに偕成社)、『わたしの木こころの木』(平凡社)など。
また長田弘の詩集『最初の質問』『風のことば 空のことば』(ともに講談社)も手がける。

「2020年 『けんちゃんのもみの木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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