ルリユールおじさん

著者 :
  • 理論社
4.35
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本棚登録 : 1159
感想 : 222
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  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652040508

感想・レビュー・書評

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  • 修復され、じょうぶに装丁されるたびに、
    本は、またあたらしいいのちを生きる。

    わたしも魔法の手をもてただろうか。




    私はこの春、講談社から出版された方を読んだのだけれど、2006年に理論社さんから既に発行されていたんですよね。
    その時なんとなく気になったのに、そのままスル―してしまっていました。
    当時の私のバカバカバカ!

    でも今回「あの時気になってた絵本!!」と、速攻で図書館予約に走った私はほめてあげたい。
    えらいぞー、私。

    中身はね、ほんっとーーーーに素晴らしい。
    バカみたいに〈素晴らしい〉の一言しか出てこない。
    ページをめくったその瞬間、目の前にパリの一画が浮かび上がってくるの。
    昔のパリの映画で見たまんまの街並みが。
    そして主人公のソフィーと共に、その街を歩き回り・・・。
    素敵な魔法使いに出会う。
    ごつごつして節くれだった魔法の手を持つ、ユリユールおじさんに・・・。

    ここから先が気になった方は、ぜひご自分の目でご覧になってください。
    特に後半、ページとページの間の余白が絶妙で、本当に本当に美しいのです。
    めったに☆5つ出さないワタクシ一押しの、一生大事にしたいと思えるような本です(読んだ後、速攻で本屋に買いに走りました)。
    手元に置いて、何かの折に何度も大事にページをめくって。
    本が好きでよかったと、何度でも繰り返し幸福なため息をつくような・・・。

    そんな一冊。

  • 大好きな「木」の大切な図鑑が壊れてしまった。その本を直したい一心でたどり着いたルリユールおじさんの工房。魔法の手をもつことを目指していたルリユールおじさんの手によって図鑑が生まれ変わる。そう、まるで魔法のように。年老いたルリユールおじさんに図鑑を直してもらった少女はやがて植物学者になる。

    いせ ひでこさんの素敵な水彩画が描き出すパリの町並み。図鑑の持ち主の少女ソフィーと製本職人のルリユールおじさんのやりとり。どのページを開いても人と人の温かいつながりや作者「本」への思いが溢れ出てくる。

    作者は最後に書いている。
    「本は時代を超えてそのいのちが何度でもよみがえるものだと。」

    大人も子どもも、一人でじっくりと味わって欲しい絵本です。

  • パリに住む少女が大切にしていた植物図鑑がある日バラバラになってしまいます。
    どうしても自分の図鑑を直したいと思った少女はルリユール(本造りの職人)を訪ねることにします。
    ルリユールの老人と少女が出会うまでページの半分ずつでお互いの時間が流れていくのがいいです。
    バラバラになった図鑑が様々な工程を経て新しい命を与えられ、よみがえっていく様子が描かれます。
    ちゃんと少女のお気に入りのページや好みの色を配慮して作るのもさすがです。
    結末も素敵であたたかい気持ちになれる絵本。
    「もう一度つなげる」という意味もあるルリユール、素晴らしい職業だと思います。

  • これはよい絵本だなぁ…
    素晴らしいなぁ…最後は涙が出たよ。
    パリ好きな人、本好きな人、読むべし!
    物を大事にするってのは、環境保護とか道徳心とかそういうことじゃなくて、人の心が通ってるから、人の道に沿っているから、素晴らしいんだよね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人の道に沿っているから」
      経済的じゃないために忘れ去られてしまいそうになっている。残念ですよね。
      「人の道に沿っているから」
      経済的じゃないために忘れ去られてしまいそうになっている。残念ですよね。
      2013/05/02
  • 再読。
    やはり好き。

    昔ながらの本造りの工程は見ているだけでどきどきする。
    最後の一枚の絵が本当にいい。

    本という物体がモノから大きな意味を持つ存在へ変わる。
    それを実感させてくれる。
    書物とは紙の束では絶対にないのだ。

  • これだけ愛される本は、幸せだと思う。
    これだけ愛せる本に出逢えた彼女は、幸せだと思う。

  • パリの路地裏にいる本造りの職人「ルリユール」。
    少女ソフィーは、大切にしていた植物図鑑をルリユールのおじさんに直してもらう。
    素直であどけない少女の言葉としぐさ。
    そして、本を丁寧に修理していくルリユールおじさんと少女のやりとりが温かい気持ちにさせてくれます。
    本を修理していく過程がわかりやすく説明されていて、
    本を大切に思う気持ちが自然にはぐくまれます。
    ぜひ小学生の子どもたちにも読んでほしい一冊。

  • 本のお医者さん、ルリユール。この本を通じて、「ルリユール」という仕事のことを知り、一冊の本を愛しむということについてとても考えさせられた。絵から、文の行間から滲み出るたくさんの「想い」。伝統を受け継ぐ職人の存在の尊さ。言葉ではうまく表せないかわりに、読み終えてぶわっと涙があふれた。名をのこさなくてもいい。「ぼうず、いい手をもて。」ルリユールおじさんが、師匠でもあった父から言われたこの言葉に、しみじみします。

  • 大切にしていた植物図鑑が壊れてしまった少女は、直してくれる人がいると聞いてルリユール(製本職人)のもとを訪れる。本への愛情、仕事の誇りを描いた絵本。

    56pあります。文が短くそれほど長大に感じませんが、パリの風景や、ルリユールおじさんの仕事場を眺めているだけで時間が過ぎていきます。

    ソフィーのためのたった1冊の本に生まれ変わらせるストーリーが好きで、さらにその1冊が永いことソフィーと共にあって、ソフィーが植物学者になっているというのも良いです。大事な図鑑を相棒に、ソフィーもまた自分の仕事に誇りをもって日々を過ごすのだろうな。


  •  本の作られる過程にも物語がある。

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著者プロフィール

[著者紹介]いせひでこ(伊勢英子)
画家、絵本作家。1949年生まれ。13歳まで北海道で育つ。東京藝術大学卒業。創作童話『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞を受賞。絵本の代表作に『ルリユールおじさん』『1000の風 1000のチェロ』『絵描き』『大きな木のような人』『あの路』『木のあかちゃんズ』『最初の質問』『チェロの木』『幼い子は微笑む』『ねえ、しってる?』『けんちゃんのもみの木』『たぬき』など、単行本・エッセイに『旅する絵描き』『七つめの絵の具』『わたしの木、こころの木』『こぶしのなかの宇宙』『猫だもの』『見えない蝶をさがして』『風のことば 空のことば』など多数。


「2022年 『愛蔵版 グレイがまってるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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