11の声

  • 理論社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652077313

作品紹介・あらすじ

1920年代、黄金期のアメリカ小さな町で何が起こり、人々は何を考えたのか普通の人々の中に息づくアメリカの良心とは?KKK団員の少年、アフリカ系の少女、ユダヤ系の少女をめぐって北部の小さな町の11人が語る11の声。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカのことをあまり知らないので、登場人物の紹介、訳者の解説を頼りに読みました。

    アフリカ系アメリカ人の少女レアノラと、女性農場経営者のセアラの気持ちに寄り添いやすかったです。

    レアノラがヘレン・ケラー宛に書いた手紙の文面

    「いっそだれも目が見えない方が
     いいのではないでしょうか。
     そしたらだれも、人の肌のことなんて気にしない
     でしょう」

    に考えさせられ、
    ヘレン・ケラーから届いたという「私の住む世界」を読みたくなった。

    そして、殺人事件の容疑者のアリバイを証明できる立場でありながら

    「あたしはしなかった。
     あたしが白人の世界に住む黒人の子でいるってことのツケを
    だれかが払わなくちゃとあたしは思ってたから。
     マーリン(容疑者)が払えばいいんだと思った。」

    というレアノラに、レアノラが心を開いている白人の老人フィールドさんが言った言葉も、その意味するところをよく考えたい。

    「レアノラ、借りを返すのに、人から盗んで返すって法はないよ」



  • 1920年代アメリカ、黄金の20年代。
    11人の老若男女が人種差別加害者・被害者・傍観者として、それぞれ語り進むのだけど、帯にあるように「失われゆく無垢な魂」を持ったユダヤ人少女の視点が、とりわけ良かった。
    年を重ねる事でより生じ易くなる、計算とか悪意とか世間体とか抜きにした、多角面からまだ如何様にも見る事が出来る少女の心。
    人は其処に人がいるから、天使にも悪魔にもなれる。

  • 私はマリーン・ヴァン・トーンハウトの変化が良かったと思いますね。初めは最低の考え方をしています。「オレは、教室の窓を、目いっぱい押し上げて、開いてやった。/レアノラ・セッター{註・表紙の黒人です}の臭いで、臭くてたまらなかったんだ」と。高3にして、KKKの団員。ですが結局彼は、罪人にはならなかった▼伝記キング牧師(偕成社)に依ると、〈クー・クラックス・クランのメンバーたち かれらもふだんの生活では、どこにでもいるふつうの市民とかわりません。教会にかかさず通い、地域社会の指導者であることが多いのです〉と。


    以上読書メーターに投稿したもの。
    ええと、当方現在15歳です。これはフィクションではありますが、間違いない、こんな恐ろしい世界があったんです。で、レアノラ・セッターみたいな、私と同年代の少女がいたはずです。アンネみたいに、矛盾を矛盾と知りながら、非力な自分を呪っていた少年少女が。(アンネ等のユダヤ人迫害は、この時代のあとなんですね。そういうことも、史実に基づいた話ですし、そして巻末に解説もありましたし、すごくわかりやすく読めました。)
    ……とりあえず、感受性がおそらく最もゆたかであろう時期に読めてよかった。KKKはこわいですが、少女であるからこそ、正しさを求め、ただしくないものはヒステリックなほどに凶弾できる。

    これが大人になってから読んだのだったら、どれぐらい、悪いことを悪いと言えたでしょう。まあ、そんな大人にはなりたくないですけど、人間わかりませんからね。KKKみたいな、どうしようもない考え方をしているかもしれない。毒されないよう、昔の教訓を糧に皆が成長できたらいいのにね。

  • カレン・ヘスと伊藤比呂美。いいコンビだ。

  • KKKに侵されていく町を舞台に
    黒人の少女、ユダヤ系の少女、白人の女性、ジャーナリスト、KKKら11人の視点を使って大きなうねりが描かれていく。

    これは面白かった。
    ノンフィクションの力強さを持った児童書。

  • アメリカ黄金の20年代。

    KKK団を取り巻くあいつとあいつとあいつ…たちの声。

  • 児童書コーナーにあった本。
    また読みたい

  • 20年代のアメリカ。ビリー・ジョーの生きた時代よりも少し前の黄金期のアメリカの静かな村で巻き起こるKKK(クー・クラックス・クラン、黒人撲滅運動)事件と、そして人々の声を綴った詩集のような物語。学校の教諭、教会の神父、黒人の少女、ユダヤ人の少女・・11人の村人ごとの気持ちと言葉をそのまま詩にした一冊。

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