となりのこども

著者 :
  • 理論社
3.19
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本棚登録 : 86
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652077481

感想・レビュー・書評

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  • 「読み終わった」としたけれど、実は途中で読むのをやめた本。

  • 登場人物や場所が少しづつ絡む短編。
    この作者ははじめて。雑誌の書評を読んで読んでみた。
    最初「緑のカイ」という話を読んで
    うーんあまり好きじゃないかもって思った。
    住宅地の空き家に住んでいる他の人の目には
    見えないカイ。大人だったり子供だったりするカイ。
    子供のころの空想と現実のまじった世界。
    そしてだんだんと現実だけの世界になっていく。
    そういう微妙な年齢を表現した話だったけど。
    なんか好みじゃなかった。でも次の話、また次の話と
    読みすすめていくうちに、どれもとてもぐっと来る話で
    最初で読み止めなくてよかったって思った。

    「あたしは頭がヘンじゃありません」の竹男君がよかった。
    老人ホームに入所してアパートを引き払わないといけない
    身寄りのないおばあちゃんの手作りの人形たちを引き取って
    おばあちゃんからの電話にお人形を擬人化していろいろ
    報告してあげていた。すごいユーモア。
    でも偽善とかそういうのではなく、こどもなりに
    本当に人形が生きているように見えるのかもしれない。
    具体的なことは書いてないけど、でもそう感じる。
    微妙なニュアンスの表現がとてもうまい。

    竹男君のおねえちゃんやおばあちゃんやおかあさんは
    他の短編にも登場していて、この本にひとつの
    味をくわえている。竹男君のおばあちゃんも最高で
    竹男のおかあさんから小言を言われて、頭にきたおばあちゃんは
    子供たちのために栄養を考えたり献立を考えるのを放棄して
    あから順番に毎日夕食を作るよって言う。冷蔵庫には
    「あ」の張り紙。「あ」はアジのフライ。
    次の日は「い」の張り紙。竹男の姉の理沙がいりたまごを
    つくる。そしておばあちゃんは家出。
    温泉いってくるわーって。おもしろい。その感性。

    「ねむの木の下で」の夕子にその妹愛。
    ねこにえさをあげていて偶然知り合った沢田君。
    夕子は小学校高学年くらいなのかな。夕子の沢田君に
    よせる淡い気持ちがよかった。夕子自身にもうまく
    それがどんな気持ちかわからないところが
    またよかった。なんていうか、一人では会いに行けず
    保育園の妹愛を連れて会いに行ったりするところ。
    そして出来事があって、お姉ちゃんをかばう愛の
    かわいらしさ。沢田君の礼儀正しさ。
    おそらく沢田君も小学校高学年くらいなのに
    物事に動じない経験深さ。心地よい話だった。

    「夜の音」圭という小学校6年生の男の子が
    高校生のお兄ちゃんのトラブルを自分なりに
    葛藤しながら見守るところ。自分のことのように
    悶々とする圭のことがすごくよく書かれていた。
    圭のじりじりする気持ちに自分の気持ちも
    シンクロしてお兄ちゃんはどうするんだろうってハラハラした。
    そのお兄ちゃんの1本すじの通ったまっすぐさ。
    お母さんからは駄目な友達と付き合ってるって
    思われているけど、その友達との強い信頼関係。
    そういうのが短編の中にぐぐっと入っていて
    すごくおもしろかった。

    どの短編も秀逸でまた読み返したい。
    なんていうか清涼剤のような話たちだった。

  • こどもの心の影と光。ありふれた日常の中に揺らめく小さなうずきやときめきを切りとる連作集。
    (アマゾンより引用)

  • ご近所同士、微妙につながりのある狭い地域の子供たちを描いた連作短編集だ。
    何というほどのドラマはなく、ただ、子供って確かにこんな感じかもなと思わせる妙なリアリズムを感じた。

  • 懐かしい日を思い出す。日常の空気を感じる。さっぱりしていて読みやすい。

  • 登録していなかったのに気づいて、登録。読んだのは数年前。はじめて読んだ岩瀬さん。
    短篇集なような、そうでないような。ただ日常を描いている、といえばそうなのだけど、うっすら漂う闇の部分に、少しもやっとする。それが通奏低音のようにずっと感じられる。何ともいえない読後。
    つかみきれないまま、読み終えてしまった感じ。また別なときに読んだら、違ったふうに感じられるのかな。

  • p8
    「カイを忘れたのか。
    ほんとに忘れちまったのか」

  • 2/19-2/19

  • 2008.6/19-20
     なつかしい感じ。小学校のときこういうこと考えてたなぁ、みたいな。

  • 分類=日本文学・現代文学・子ども。04年12月。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。
『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞と産経児童出版文化賞、『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』の2作で路傍の石文学賞、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞。そのほかの作品に、『まつりちゃん』『ピース・ヴィレッジ』『地図を広げて』『わたしのあのこあのこのわたし』『ひみつの犬』などがある。

「2023年 『真昼のユウレイたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩瀬成子の作品

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