前略、離婚を決めました (よりみちパン!セ 47)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652078471

作品紹介・あらすじ

「信頼」と「裏切り」、「エッチ」と「暴力」、「愛情」と「支配」。かつてないリアルなアプローチで、子どもたちにそのすべてを語る、おどろくべき書。

感想・レビュー・書評

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  • 友人からオススメされてお借りした本。
    離婚した理由や自分の考えを、お子さんへ向けて書いた手紙という形式で、一冊の本にまとめられた作品。
    人と繋がりたいという渇望や、上手く行かなかった結婚生活への決別の理由などを、本当に真摯に丁寧に伝えている。後半はDVについて、ジェンダーについても触れられている。

    私も人と繋がれない、繋がりたいとずっと思ってきた人間なので、そこらあたりの記載は胸が締めつけられるような感覚を覚えた。

    結婚制度や戸籍制度など、これまでほとんど真剣に考えたことはなかったが、ちょっと少しずつでも勉強してみたくなりました。

  • p.231
    「本当はこう在りたい」と思う自分を確実に受け止めてくれる、強度のある別の世界や生身の世界の人間、つまり新しいつながりを見つけ出せない限り、知識はただのキレイゴトに過ぎず、「とはいえ現実はしょせんこんなものでしょ……」という絶望的な諦めとともに、人は閉じたままで今いる場所にとどまってしまうのです。

    p.222
    「たとえ親密な関係であろうとも、他者は自分の思いどおりに動かないのが当たり前。だからこそ、自分が望んだとおりに動いてくれたときには、どんな些細なことだも感謝の念が生まれる」。そういう前提がなければ、愛情という名のもとに、相手の言動を際限なく支配し、束縛する暴力が生まれてしまう




    2021/11/17 読了

  • 熊谷さんとのエロスの記述が素晴らしく印象的。

  • フリガナ付きで、子供に向けて書かれているが、内容はシビア。
    発達障害当事者の内面、実情がじわじわ伝わってくる。

  • 静かに、丁寧に、子どもに対して「愛情」や「家族」について語った手紙。
    「ひととつながっている」という感覚がほしいがために、人間はこんなところまでいくのか。ここまでいくと、著者のいろんな境遇がこうさせたんやろうな、と思う。そんな簡単に、どうこういえるような問題ではない。
    でも最終的には、ハッピーな物語で終わってよかった。これからも、すてきな人生を送ってほしい。

  • 人と繋がれない、その感覚は多かれ少なかれ誰もがもつ感覚だと思います。

    しかし筆者は誰よりも強烈に感じ、
    翻弄されてきたようにみえます。

    アスペルガーの診断や
    DVの被害の中で
    子どもを守り育ててきた筆者。

    「私、いい場所にきたなぁ」
    と思えるところへ行きつけたことに
    読んでいるわたしもしみじみと嬉しくなったのです。

  • この本は、我が子にどうして離婚になったかを聞かれたのが切っ掛けで生まれたものらしい。
    そのためか子供に語りかける形式で、主語がお母さんお父さんで語られており、読者である私に色々な意味で戸惑いが起こる。
    覗き見させてもらっているような後ろめたさもあり、誰に対する父母なのか分からなくなり、お婆さんやお爺さんの事なのかと勘違いしたりすることも起こる。
    子供を盾にしている所に弱さを感じしまう。
    それは残念ながら軽々しいタイトルにも現れているようにも思う。
    このタイトルから受ける印象は、誤解されるほどに内容とかけ離れているように思える。
    特に後半での作者自身の深い観察眼による活き方と説明していないように思える。

    前半では人と関われない自分に劣等感を持ちつつ関係を楽しめる自分を夢見てあこがれながら、幼さと過去を守ろうとする消極性から闇に長けた社会に飲み込まれて行く様と、その一歩一歩を反芻することで自分の罪悪感から解放され、離婚を決意させるまでの長い話を語っている。
    最後に差し掛かった「補足メモ」を境に一般向けの記事になり、五章の「エッチと暴力」
    からは、その一言一言を発する視点がガラリと変わる。
    ここでは「エッチ」をお互いによる精神的な感覚を現す言葉として、「セックス」を利己的で肉体的な欲望の表現として使いわけている。
    全身まるごとの集中で一目一目編み出す言葉は、直球でありながら柔らかく包まれて心地いい。
    怖いもの見たさの社会性の中で、エッチは隠された「怖い事」と在るがままでいられる「解放感」の掛け合いによる暴力と調和の紙一重の冒険なのだろう。

    しかし個と個の集いによるエッチには、宛がい扶持の秘密などなく未知を紐解く冒険があるだけで、子作りの交わりとは別のお互いにほぐれて心満ちて行く無限観を体験して恍惚を実感していくことを可能にする事実を語っている。

  • 届いてから、より道パンセ本だったことに気づく。買うことなかったなーと思ったものの、やはりよく練られた文章で読みがいがあった(中学生向けなので半日で完読できる)。「自分の弱さの世界に孤独を閉じ込めるのではなく、弱いままで他者に開かれていく世界にたどりついた気がする」(p.260)。そんな日がわたしにも来るといい。
    DVのくだりが、なんか臭うと思ったら、案の定、信田さよ子が絡んでいた。このギョーカイでは、もはやお約束なのか。

  • </span>&rdquo;</div><div class="quantityDisplay black textSquash" style="display:none;padding-bottom:3px;"><nobr><span class="strong black">欲しい数量&nbsp;

  • どうして、離婚を決めたのか。筆者の子ども達に語られる形式で書かれている。私が子どもだったなら、ここまでさらされてしまってはつらい気もするが、母親が全力でむかってきてくれていることには共感するだろうと思った。次は「くまちゃん」との共著が読んでみたい。

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著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター特任講師

「2023年 『当事者研究の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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