- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652079591
感想・レビュー・書評
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プリーストリーによる「怖い話」第二弾。
今回の語り手は、嵐の晩にふらりと現われた、いかにも怪しげな風体の船乗りサッカレー。
彼の語る船乗りや船の乗客にまつわるお話は、どれも陰惨で、ゾクゾク度満点。しかも、一つ一つの話に怖さがみっしりつまっていて、より楽しめる。
前作同様、枠物語なのだけれど、静かな余韻を感じさせるような枠の閉じ方も素敵。
イギリスでは昨年10月に、第三弾『Tales of Terror from the Tunnel's Mouth』が出版された模様。
初めて一人旅に出ることになった少年を乗せた汽車が、トンネルの入口で立ち往生。復旧までの間、乗り合わせた謎めいた白衣のご婦人が、少年にお話を聞かせてくれるという設定らしい。
翻訳されるのが、楽しみ楽しみ。
Tales of Terror from the Black Ship by Chris Priestley詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モンタギューおじさんの続編
けど、今回はモンタギューおじさんではなかった。
船乗りのサッカレーという不思議な青年。
聞き手は二人の兄妹。
語り手が船乗りなので船や船乗りに関する話しです。
ただ、ラストと兄妹に関する秘密がしちょっとびっくり。
個人的に「ボートに乗った少年」、「泥」がゾッとする本気で怖い話で、「イレズミ」、「サル」がとラストのどんでん返しでエッ?と驚かされる話しだったかな。 -
うーん…怖かった…。
怖い話を織り交ぜながら、最後にあっと言わされます。
怖くて悲しい。 -
イギリスの船乗りの雰囲気ある怪談話。バッドエンド。
「あわれな船乗りを助けてくれないか」嵐の夜、その男はやってきた。全身ずぶぬれで、まるでたったいま海からあがってきたみたいだ。「恩に着るよ…嵐がおさまるのを待つあいだ、物語を二つ三つ聞かせるというのはどうだ?ただ、おれの話は子どもには残酷すぎるかもしれないが…」。
嵐 7−31
ピロスカ 33−57
ピッチ 59−93
イレズミ 95−120
ボートに乗った少年 121−149
カタツムリ 151−188
泥 189−230
サル 231−275
スクリムシャーの悪魔 277−306
黒い船 307−332
トリカブト 333−351 -
九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1383321 -
危険と隣り合わせの閉鎖空間で過ごす船乗りが話し好きになるのは分かる気がします。元々の体験談がも徐々に誇張され、非日常性を帯び、ポーにも匹敵するような怖い話のできあがり。子供向けとはいえなかなか堪える話もあり、読みながらお菓子を食べていた手が途中で止まりました。
その一方で、主人公兄妹の子供らしさが微笑ましく思えます。突然現れた見知らぬ船乗りを留守番中の家にあげる優しさを持ちながら、妹や家を守るため警戒も怠らない兄。持ち前の人懐っこさで来客のお相手を務め、話をせがむ妹。二人が子供らしい振る舞いをするとサッカレーさんが嬉しそうにするのは恐らく…という想像は、元恋人の名前と「黒い船」で確信に変わります。改めて人間関係を考えてみると、兄がサッカレーさんに抱いていた無自覚の反発や、妹の好意の寄せ方もなんとも可愛らしい。
最後まで読み終わると、また細部に施された仕掛けに気づきます。悲しいけれど幸せも感じられる温かいラストシーンでした。 -
なになに!この流れ。
短編に少しずつ顛末のヒントを残す感じがたまらない!挿し絵にもそそられる~!
やっぱりイギリスって物語の宝庫。
映画化するならこんな作品を選ぶべきだ!!