トンネルに消えた女の怖い話

  • 理論社
3.82
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079744

感想・レビュー・書評

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  • 児童向けホラーの第三弾。寄宿舎へ向かうロバート少年が乗った列車はなぜかトンネルの入り口で停車し、一向に動く気配がなかった。周囲の乗客たちが眠りこける中、「怖い話」を語ってくる白いドレスの美しい女性。個々の物語の恐ろしさもさながら、女性の正体はいったい何なのか、そしてロバートはどうなってしまうのか。読み進むごとにどんどん恐怖が増してくる一冊です。
    お気に入りは「猫背岩」。独特なこの光景が印象的でした。そして結果的には叶ってしまうのね、願いごと。というところも皮肉で何とも恐ろしいです。
    「ささやく男」は嫌だなあ。怖いというより嫌。意外性のある物語で面白いのだけれど……本当に嫌。
    そして最終話「トンネルの入口」が見事でした。そうか、そうくるか。この結末は読んでのお楽しみです。

  • 3作目が一番捻くれて、ゾッとする。語られる人物達の向こう見ずな行動にも苛つきが募る。
    モンタギューおじさんとのリンクがここでも見られて、その辺りにやりとする。
    継母の勘も捨てたもんじゃない。大事にするんだよ!

  • 定期的に読みたくなるくらい面白い。家庭教師の話が一番好き。

  • 図書館にて。
    カテゴリーを娘の好きな本としたけれど、結局娘は読まなかった。
    何かに惹かれて借りたみたいだが、まあそういうこともあるだろう。
    一つ一つの物語が独創的で楽しめた。
    1つ目の「温室」は好きな筒井康隆の作品を思い出した。

  • 児童書の括りだが、怖さは一般小説に引けを取らないほどである。まさに身の毛をよだつほどの怖さとはこういうことなのかと体感させるようだった。美しい白いドレスに隠された怖い話、美しさと純白の清潔さに残酷な話、白いのに血がべっとりと取り憑かれてしまうかのような怖さを感じた。児童書だからライトなホラーかと思わせてしまうが、ガッツリ系のホラーで、ガッツリ系だけど、怖さの段階はバラエティーに富んでいて、そこが飽きさせずに面白い物語だと感じた。

  • ゾクッ…っていうあの感じ。
    得体の知れない何ものかにひきずられるあの感じ。

    それは姿を見せないケモノだったり、実体のない黒い影だったり。
    また、自分にしか見えない人だったり。

    姿を見せないモノについては、これはもう作者の言うがままに、自分なりの想像力で読み進めるしかないのだが、怪奇小説というのはこの想像力にかかっているところが多い。
    それを知って作者は、わざと想像する余白をたっぷり取りながら心理的に状況的に怖い場面を書き込んでゆく。

    で、まんまとゾクッとしてしまう。
    やられた。でも嬉しい。

  • プリーストリーによる「怖い話」第3弾。

    嫌いでたまらない継母との長くて退屈な休暇を終えて、学校へ戻るため一人列車に乗り込んだロバート少年。いつしか眠り込んでふと目を覚ますと、列車はトンネルの手前で止まっており、目の前の座席には白いドレス姿の若くて美しい女性が座っていた・・・・

    ということで、今回の話し手は、この白いドレスの謎めいた女。
    この女性の正体については、割と早い段階で見当がついてしまうのだけれど、お話の怖さの点ではシリーズ中で一番かも。

    お話の登場人物たちに振りかかかる出来事ももちろん怖ろしいのだが、今回はとくに、それぞれの話の主人公の少年・少女たちが抱いている現実への鬱積がすさまじい。
    自分たちの趣味にかまけてばかりの両親へ鬱屈した思いを抱く息子、父親の再婚相手の連れ子を憎む少女、意思に反して連れてこられた寒村での暮らしが嫌でたまらない少年・・・
    聞き手のロバート少年にしてからが、継母を“横取り女”として軽蔑し、彼女への憎しみでいっぱいになっているのだ。

    言ってみれば物語の枠の内も外も負の感情でいっぱいなのだが、そうしたなかで交わされるドレスの女とロバートの会話が興味深い。不満の塊で、どちらかというとものの見方が杓子定規なロバートに対し、女は彼を挑発するかのような発言を繰り返すのだ。

    9つの物語を聞き終えた後、白いドレスの女の正体を知ることとなったロバートは、人生のどのような局面にも女に象徴されるものの影が潜んでいることを悟るのだけれど、二人の間の会話もまた、彼女の前では小手先の理屈は通用しない、ということを示唆しているかのよう。

      Tales of Terror from the Tunnel's Mouth by Chris Priestley

  • モンタギューおじさんの作者のシリーズ3作目。
    ますますこわい!
    「初めて一人旅をすることになった少年。トンネルの手前で止まってしまった列車の客室に乗り合わせたのは、少佐、司教、農夫、そして白いドレスの女。彼女は、列車が動くまでの時間つぶしと言って、怖い話を語りはじめる…。」

    列車 7−30
    温室 31−59
    島 61−103
    新しい家庭教師 105−147
    小さな人たち 149−182
    猫背岩 183−228
    ジェラルド 229−269
    シスター・ヴェロニカ 271−300
    ささやく男 301−337
    壁の割れ目 339−370
    トンネルの入口 371−391

  • コンパートメントに乗り合わせた六人。その内の四人は死んだように眠り込んでおり、起きているのはロバートと名の知らぬ白い服の女性。退屈しのぎにと物語を話し始めた彼女だが、話の内容はどれも不気味で気味が悪い。幽霊の類というよりは怪物、得体の知れない生物、悪魔のような何かというもの出てくる。描写は簡潔で分かりやすく、状況の想像もしやすかった。お気に入りは「新しい家庭教師」先日読んだ「ねじの回転」に望んでいた展開があったのでにんまり。怪物、悪しき妖精、怪人、海から来る奇怪なものなど新鮮でわくわくした。

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