- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652079799
感想・レビュー・書評
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植物と、それを食べることへの視線が真摯で優しい作品が多いけれど、今回もそれが遺憾なく発揮された作品。山菜が美味しそう。
大勢に流されることの安易さと残酷さ、その中で自分の意志を貫くことの難しさと尊さを描いていて、身につまされる部分が大きい。
ただ、これからのことを考える作品だから仕方ないのだろうけど、なんとなく尻切れとんぼ感があるのが残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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perho
本は必要なときに出会えると、誰かが言ってたとおもうけど、この本にはそういうふうに出会いました。
コペルくんみたいに素直に、謙虚に生きていけるよう、がんばろう。
なんとなく、傷つきたくなくて考えるということを避けてきたことが、やさしい言葉でまっすぐ伝わってきて、このままでいていいの?と問いかけられたという気がします。
これから何度も読み返す、大事な本になりそうです。 -
タイトル通りの物語。どう生きるかということが書かれた作品。なんだか小難しいなぁという印象。多感な時期に読むとなんだか影響が大きそう。梨木作品はなんだか文章が硬質な感じがして私は少し苦手かも。2012/583
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まわりの「普通」に流されないで生きていく事
自分を見失わないように
がんばっていた人、がんばっている人がいる
コペルくんのある一日が平凡に過ぎるお話っぽいけど
なかなか印象が強い内容でした
いろんな人が出てきたなぁ
ノボちゃんは、染色をやっている
安定した生活には結びつかないけど
「好きなことやってるんだから、それは覚悟の上さ。精神が安定していることの方が、いいんだ」
コペル君は
いま、僕に必要なのは、気持ちをすっきりさせることじゃない。とにかく、「考え続ける」ことなんだ。
…泣いたらだめだって事。甘い自己憐憫に浸る心地よさなんか、いらない…そんな自分でありたい -
これだったんだ。
そう思った。
どこまで、どれほど日々のなかでとことん突き詰められるか。
見て、聞いて、かならず何かを感じているのに、うやむやに、なんとなくいやだな。これはなんかいいかもしれない。そんな程度で済ませてしまっている。
ユージンは、世間から、現代から半ば切り離した(けれど完全には離れていない)場所で、時間をかけて考えて考えた。
いそがしいから? だからここまで考えられないのだろうか。違う。そこにつぎ込むエネルギーを捻出できない集中力のなさ、真剣味の欠落。考えなければ、巻き込まれる――その不安の欠如。
空気で、雰囲気で伝える――そんな曖昧さに一石どころか巨岩を投じた一作。 -
梨木さんの小説は「西の魔女が死んだ」以来、2冊目です。
この本の主人公は14歳の少年。男の子だけど中学生だし、土と植物に触れる暮らし、手を動かして食べ物を作るところ、など、共通したテイストを感じました。
ただ、こちらのほうが、個を超えている感じ。2011年の4月に刊行されたようですが、今のご時世を予感していたかのように読めました。ふだん気づいてない(または無視してる)心の中のざわざわするものを刺激されて、読後も考え続けてしまいます。 -
男子目線って梨木香歩にとって初めてではないだろうか。植物、動物への造詣はいつも通りだったが、なにか新鮮なものを感じた。権力とは同調圧力を巧みに使う。なにより重要なのは良心の問題とその守り方、発揮の仕方。色々な時事問題はほぼ分かる形だったが、こういう扱い方としては珍しく空振りしていなかったと思う。
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答えが簡単に出ないことってたくさんある。生きるってそういうことの連続、積み重ね。だけど、答えを急かされる。「本当は違うんだけど」と思いつつ、大勢の意見に流される恐ろしさ。そのうちもともとの自分の考えが麻痺してわからなくなってしまう。
ときに唇を噛みしめ、涙を流してごつごつぶつかりながらも一瞬一瞬を一生懸命生きようと寄り添ってくれる(応援してくれる、とは少し違うように思う)本。