現代語で読むたけくらべ (現代語で読む名作シリーズ 2)

  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079973

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第2巻は、樋口一葉の『たけくらべ』と『にごりえ』。
    どっちも初読だったが、素晴らしい作品だった。
    第1巻の森鴎外同様、やっぱり、いつの時代も変わりません。

    >たけくらべ
    よく、「日本のロミ&ジュリ」と言われているので、そういう悲恋かと思ったら、ちょっと違った。
    わがままツンデレお嬢様と草食系男子の、「♪好きだよと言えずに初恋は~」な、甘酸っぱい思春期の初恋物語でした。
    なので、最初は「面白くないな」と思いながら読んでいたけれど、終盤で一気に持っていかれた。
    解説を読んで、より人物関係や世界観が理解出来ると、胸きゅん(笑)。

    >にごりえ
    いわゆる、「自分探し」に苦悩する女たちの物語。
    遊郭から離れたいけど離れられない女と、その遊女に旦那が肩入れし過ぎたため、すべてを失った女――どっちにも共感できる。
    ラストはしっかり書いて欲しいタイプとしては(作者がどう考えて作品を終わらせたか分かるから)、あのようなにごり具合は、読者の想像力を上手に引き出すので、とてもいい。
    最近の作品には、ない感じ。その文章力に感動。

  • 儚い恋愛物語。
    誰が視点なのか時折分からなくなりますが、
    巻末の解説が分かりやすくて参考になりました。

  • 日本文学には、百年以上も読み継がれている名作がある。名作の本当の面白さをことばの壁をこえて体験できるよう、読みやすい現代語を使って、原文の意味をできる限りそのままに、作品を甦らせるシリーズ。

    「舞台は、吉原遊郭近くの下町。龍華寺の息子・信如と、大黒屋の娘・美登利は同級生だが、二人の仲を友人にからかわれ、恥ずかしくて口も利けずにいる。あるとき、喧嘩の巻き添えになった美登利は、乱暴者に味方している信如が許せない。二人は、本心を語り合えないまま、やがて成長し、それぞれの道へ進んでいく。思春期の若者たちの姿を描く表題作「たけくらべ」の他に、「にごりえ」を収録。」

  • 樋口一葉の代表作「たけくらべ」と「にごりえ」を収録。
    非常に読みやすい文体だった。
    ただ、描写がわかりやすい現代の作品とは異なり、読み手が解釈して補完しないとキャラクターの心情等がわかりにくい部分が多く時代は感じた。そういうところが面白さなのだとは思うけど、それでも心情の機微みたいなものが直接は描写されずに語りやお話が進んでいくので、当時に生まれていたら自分はさぞ生きにくいだろうという気持ちにもなった。
    ただ、キャラクターが感じたり思ったりしていることはなんとなく思い当たる節もあり、時代が変わっても人間が感じることはあまり変わらないんだなとも思った。

  • たけくらべ。
    にごりえ。

  • 現代語訳された『たけくらべ』と『にごりえ』。そして樋口一葉に関する解説。

    ---------------------------------------

    『たけくらべ』
    花魁の姉を持つ美登利と、僧侶の息子、真如。お互いに意識し合うが、本当の気持ちを言うことのない二人。
    美登利の身体は大人の女性になり、真如は出家して僧侶の学校に入る。二人はそれぞれの道へ進む。

    『にごりえ』
    人気者の酌婦、お力は悩んでいる。盛り場で男たちの酌をする一生でいいのだろうか、と。
    源七はお力にハマった挙句、仕事も財産も失った。妻と子には貧乏暮らしをさせ、お力を鬼と呼ぶ妻に腹を立てた源七は「出ていけ」と吐き捨てる。
    棺に入れられた、源七とお力。心中したのか、無理心中だったのか。誰にもわからない。

    ---------------------------------------

    美登利のお姉さんの職業、花魁は高級ソープ嬢で、お力の職業、酌婦はキャバクラ嬢という認識でいいのかな。
    国語や日本史の授業だとどうやって説明するんだろう。中高生にソープについて教えるわけにもいかないだろうし。気になるところだ。

    思春期の成就しない恋愛が『たけくらべ』、妻子もいるけどキャバクラのお姉さんに本気で入れ込んですべてを失った挙句、お姉さんを道ずれに心中する話が『にごりえ』。
    どちらもうまくいかない恋愛の話だけど、後味はまったく違う。
    まあ、『にごりえ』の源七とお力はお互い好き同士で、同意の結果、心中したのかもしれないけど。

    心中するときってどんな気持ちなんだろう。
    苦しいのか嬉しいのか、興奮しているのか冷静なのか。不謹慎だけど、すこし憧れてしまうな。

  • 表題の「たけくらべ」と「にごりえ」の2作品が収録されている。
    「たけくらべ」は子供たちの成長と淡い恋を描いた作品。花魁の妹と僧侶の息子という組み合わせにもう切ない予感がするし、それぞれの不器用さがいじらしい。格子門越しの場面は名シーンだと思う。
    「にごりえ」は女を売りにする酌婦と、そんな酌婦に入れ込んで財産を失った夫とその妻を描いている。これは酌婦と妻のどちらにも共感できて切なかった。
    どちらもラストが印象深く、読後に余韻が残る。巻末の訳者による解説もとても良かった。

  • あんまりパッとしない話だけど、一応読んだ。

  • すげーよ、樋口一葉すげーよ。
    女性の社会進出だったり、遊郭を通した女性観だったり、はたまた子どもの青春だったり、とにかくテーマはたけくらべ、にごりえ共に大体同じ方向に向かっている。今でいうフェミニスト。なんだけど、フェミニストでは全くない。この人は自分というものを極力排除しきって小説を書いているような印象を受けた。主観が見えにくい。淡々と語られる物語と、季節感豊かな描写、脈略が皮一枚でつながっているような絶妙なバランスの場面展開など。うわー美しい。鮮やかというかなんというか。枕草子に似通った魅力を持っていると感じた。

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著者プロフィール

1872年、東京に生まれる。本名なつ。92年、20歳で小説『闇桜』を発表。以降、96年に24歳で
亡くなるまで、『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの名作を書いた。

「2016年 『漫画版【文語】たけくらべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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