倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

著者 :
  • 理論社
3.60
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本棚登録 : 639
レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652086155

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台の物語。
    「倒立する塔の殺人」というタイトルのノートに女学生たちが回し書きした小説、その中で事件の真相が明らかになっていく。
    耽美的で女学生たちの密やかな交流、残酷さが描かれている。
    ミステリーYA(ヤングアダルト向け)にしては内容が濃密だった。
    (図書館)

  • 謎解きと乙女な世界と耽美の仕掛けとが撚り合わされて、読む楽しみをじっくり味わえた。随所に差し挟まれる小説や絵画の描写が、皆川先生が読み手を導いているよう。謎解きを終えた少女たちが自分たちの進む道をしっかりと捉えている姿も。

  • 戦争時代の女学生達が主役のミステリ。女学校という場所と戦時下という特殊な時代を、それでも耽美に溢れる内容で綴った、哀しくもあり、美しくもある話でした。最後には現実を生きる者が、少女の時代に幕を下ろし、未来へ向かう姿が印象に残りました。

  • [ 内容 ]
    戦時中のミッションスクール。
    図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。
    蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。
    『倒立する塔の殺人』。
    少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。
    ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。
    手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。
    やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、物語は驚くべき結末を迎える…。
    物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。
    万華鏡のように美しい幻想的な物語。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • YAだからもっと軽いのを想像していたらびっくり!これが児童文学の棚に並んでいたんですよ(しかも青い鳥文庫に挟まれていたりする)。手に取ってよかったです。やっぱり本棚はぐるっと一周しないとどこで出会いが待っているかわからないものだなあ。
    耽美でほわほわっとした女の園が舞台ながらも時代設定や殺人事件が相まって毒も含んだ甘さがあります。

  • 中学?高校?のときだったかな、女学校ものだと思ってたら戦時中の話で、戦時かよ!ってなって返却した本です。どんだけ戦争もの読みたくなかったんだよ。

    んでやっぱりタイトルが目について再び借りてみた。このタイトルは反則だろーわくわくするもん…


    設楽ちゃんこわすぎる…ってなって途中で持ち直してやっぱり最後で震えた。
    あれは彼女の復讐かしら…わざわざ途中で二人に見せて、そのあとつけたして雫石さんにしか見れないようにラッピングするというのは…うん…
    あの文章は雫石さんだけに向けて書かれたものなんだよね。
    彼女が上月お姉様にあそこまで嫌われた理由は、まあ彼女自身のせいでもあるんだけど彼女はそれに気づいてないんだよね。それなら全部雫石さんのせいだと思っても不思議ではないし、手記の中で上月お姉様は設楽ちゃんの早熟さを認めてはいるけどその認められた部分は彼女のものではないから嫉妬しててもおかしくないし、なにより設楽ちゃんは上月お姉様殺害の犯人=雫石さんだと気づいてたわけで、気づいたからあれを書いたわけで…どう考えても復讐じゃんこわい。手紙から「いい気味だわ」って聞こえてくるようで震える。
    でも小説家になるのをやめるって言ってるってことは背負うには重すぎたのかな。

    設楽ちゃんのことしか言ってない。だって怖かったんだもの。書いてたらどんどん好きになってくんだからよけいこわいね。


    読んでて好きだったのは上月お姉様でした。ああいうさばさば系のお姉様素敵。
    というか全体的に百合で百合不足だったからにまにましたよねー!!やっぱり女の子たちというのはすばらしいね!恐ろしくて美しいのだ!!
    あとそういうところにまったく関係しないベー様も素敵です。生きてるって感じで。すきです。



    こういうどんでんがえしミステリは最後にいくにつれてわくわくして楽しい。そこに百合が絡んだのでとても楽しかった。よきかな!



    表紙の三人は小枝ちゃんと上月お姉様と七尾お姉様かな。ベー様のビジュアルが欲しかったー!


    @市立図書館

  • イラストややミステリYA! ということで若者を意識してた作品なのだろうけど、皆川作品なので大人でも楽しめる。戦時下から戦後の女子高が舞台とあって、時代や少女ならではの残酷さがピリッと効いたラストが印象的。そして日本の近現代ということで、名前に惑わされる苦痛がなくて読みやすいぞ。

    あらすじ:
    太平洋戦争末期、都立女子高と近隣のミッションスクールでは学徒動員により授業が停止し軍需工場となった学校で作業をしていた。労働者階級の家に育ち上流階級の子女が多い学校になじめない、異分子なのでイブまたは何を考えているか解らないためヌーベーことベー様とあだ名された阿部欣子は家族と家を失い、組んで作業をしている三輪小枝(さえだ)の家へ居候することに。ある日小枝に渡された一冊の本「倒立する塔の殺人」。これを読むことで小枝と交流のあったミッションスクールのお姉さま律子失踪の謎を解いて欲しいと頼む。その本はミッションスクールを舞台にした手書きの推理小説だった。小枝、ミッションスクールの律子と杏子、さらに律子に憧れるジダラックこと設楽久仁子。この四人が紡ぎだした物語の真相は――。

    戦時下の描写が欣子視点で淡々と述べられていくにつけて、強烈な現実感があった。
    昨日まで一緒に働いていたクラスメイトが、翌日には疎開していなくなる、クラスメイトの家族が空襲で亡くなった、自分の家が空爆によって破壊された、父親が戦地で死亡した、学校の半分に爆弾が落ちた……。淡々と語られているからこそ、特別じゃない。この時代の人々が日々こういう現実に直面しているというのが伝わった。暗澹たる戦時下の雰囲気にリアル感があって、ドラマチックに語られるよりも痛い。これは皆川さんによって書かれているからこそっていうのは大きい。彼女自身が生き抜いてきた世界だもの。
    一方、どこの時代でも変わらないような学生社会はこういう時代の中でも、逞しく生きている少女がいることを教えてくれてほっとした。
    ミッションスクールの律子と杏子、都立女子高の小枝の絵画や小説談話、ダンスに興じる描写は戦時下とは思えないほど優雅。がっちりした体形で、労働者階級の娘、欣子の異分子のイブやベー様、いやらしい教師、下卑たタコのゲビダコ、ちょっと思い込みが強いミッションスクールの少女、設楽久仁子の自堕落ことジダラックといったあだ名がささやかれる直截的で残酷な風習は時代を超えて存在する。「ごきげんよう」なんて微笑を交わす少女たちが登場しても、文学や絵画の薀蓄を語る少女が登場しても、考えていることは大差ないなと共感できた。それになんだかあだ名が「ぷ」と噴出してしまいそうなものばかりで楽しい。ここらへんに皆川さんの諧謔味が少し見られる。

    欣子の体型や冷静でしっかりとした考え方は、だからこそ流されず安定感があって、なかなか安心感があった。しかしやはり戦時下を生きた少女とあって、その冷静さはある場面では怖いほどだった。さらに似た境遇にある久仁子もそのある種の冷徹さを抱いている。
    お嬢様の小枝にはない、鋭さ。
    久仁子はともかく欣子ならどんな困難でも立ち向かえるだろうね。

    一方「倒立する塔」という謎の回答はなるほどと思ったけれど、きつねにでも騙された気分かも。まあ美しくしかし毒を隠し持った世界観にはぴったりかも。トリック自体ではなく、作中に登場するリレー小説たる「倒立する塔の殺人」と律子や杏子、小枝の過去、さらに律子失踪後の作中の「現在」たる欣子たちの話が絡まり合っていくのは職人技としか言いようがない。さすが皆川博子!

    しかし女子高の描写には思わず笑ってしまった。
    エスことシスターという特別親しい先輩に導いてもらう制度があるんだって。なんだかどこかのライトノベルみたいじゃない。それに皆川作品特有の、悪趣味で劣悪な環境描写や性描写が少ない。ここらへんが非常に少女小説的で、YA! を意識しているだろうね。

  • 舞台は流麗な装丁からは想像ができないような、戦時中の日本。防空服を身にまとって、軍需工場で働く日々を送る少女たちは、蔓薔薇とともに秘めた思いを物語に織り込んでいく。いつの時代でも女の子は夢想する生き物
    なのかもね。

  • この作者さんの作品は、ジャンルや時代背景や国が違えど、すべての(まだ数冊しか読んでないですけど・・・)作中にどことなく耽美なそして背徳的な雰囲気が漂ってるのがすごいな~と思う。内容は好みがあると思うけど、作中の雰囲気に引き込むのがすごく上手。

    今のところ最近の本しか読んでないから、次は作者さんの若かりし頃の作品が読んでみたいかな。昔からずっとこんな渋い話を書いていたのか気になるので。

  • 空襲警報中、何故彼女はチャペルに居たの?

    三浦しをん『本屋さんで待ちあわせ』にて紹介されていたので、手にとって読んでみた。
    戦時中のミッション系女学校で流行っている小説の回し書き。この作品は少女たちの視点の手記とノートに書かれた小説「倒立する塔の殺人」によって語られている。
    戦争という私には馴染みのない非日常かつ理不尽が背景にしっかりと刻みついているが、少女たちの他者への感情は少なからず心当たりがあるものだ。
    この本、図書館の児童書に分類されていたことに驚いた。早すぎる本なんてない、と作中にあったので否定はしないが、個人的にこれは10代で読んで、成人してから読み直すのがオススメかもしれない。

  • この作者さんの作品は、ジャンルや時代背景や国が違えど、すべての(まだ数冊しか読んでないですけど・・・)作中にどことなく耽美なそして背徳的な雰囲気が漂ってるのがすごいな〜と思う。内容は好みがあると思うけど、作中の雰囲気に引き込むのがすごく上手。

    今のところ最近の本しか読んでないから、次は作者さんの若かりし頃の作品が読んでみたいかな。昔からずっとこんな渋い話を書いていたのか気になるので。

  • 途中まで語り手が誰やら、物語の構造がどうなっているやら分からず、でも耽美な雰囲気に惹かれ読み進め、中盤から最後は一気読み。若いうちに読みたい良質のミステリでした。
    お姉さま、ミッションスクール、尖塔、菫の花束、物語の回し書き…。
    「あなた、お兄様のお写真をもってらして?」な独特の口調がいい。
    途中、1行、ぞっと怖い箇所があるのもいい。
    少女の残酷さもいいし、ラストのたくましさもいい。

  • タイトルがステキ!題名で手に取った本のひとつ。
    美しい装丁のノートに物語を書き綴る少女という設定にも惹かれた。
    読み出すと、女学院という独特の雰囲気と、それぞれの少女たちの内面が知りたくて止まらなくなった。私にとっては戦中・戦後の東京やミッションスクールはファンタジーのように想像するしかないものなので、余計に幻想的に思えたのかもしれないけれど。

  • 戦時中とその後のミッションスクールが舞台。謎解きが甘かったりそもそもそこはどうだろう、って思うあたりは読み終わるころには割とどうでもよくなりました。それくらい雰囲気に飲まれた。あ、でも作中作のつくりはとても面白い。
    幻想的なのに瑞々しい、毒がある、女の子そのものの話。夜に読んでいて、怖くて眠れなくなってしまった…。

  • 装丁がとても素敵。YA世代を対象とした作品ですが、大人でも十分楽しめました。夢中で読んでいて途中ギョっとしたところがありました。

  • 太平洋戦争下〜戦後にかけとの女学校を舞台にしたミステリー仕立ての作品。美しくも醜い少女の愛情と謎が好きな方は是非。描かれる戦時の女学生の生活は、淡々としているからこそ真に迫る。

  • 戦時中のミッションスクール。
    図書館の本の中にまぎれて、ひっそりと置かれた美しいノート。。
    蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。
    『倒立する塔の殺人』。

    少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。
    ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。
    手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。
    やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、物語は驚くべき結末を迎える・・・。

    物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。
    万華鏡のように美しい幻想的な物語。(表紙見開きより)

    「わたくしは、わたくしを裏切った相手を狂わせるつもりでおります」
    破滅的な恋に狂わされた少女の、いわゆるひとつの復讐譚です。
    ミステリであり、S小説でもある。
    ひとつぶで二度美味しいですね。
    犯人当てが(いい意味で)難航して、ミステリオンリーとしても上質ですよ。
    しかも戦時中というのに、少女たちの優雅さといったら。
    文体も美しくて、うっとりしてしまいます。
    子供向けのミステリーYA!からの出版でしたが、大人が読んでも十分堪能できる作品でした。
    佳嶋さんのイラストも素敵。

  • 実に可愛らしい探偵さんが一人。
    内容についてはもう一度読み返したくなる感じ。お次は浸りたい気分。

  • 昨年の”このミステリーがすごい!”20位にランクインした作品。
    このミスを読んでいた長女が、図書館にあったと言って借りてきてくれた。
    (アニメっぽい表紙にひかれて借りたことがあったらしい。)
    倒立する塔、韻をふんだ不思議なタイトル、
    戦時中のミッションスクールを舞台にした、
    少女たちの書き継いでいった小説と、現実を行ったり来たりする物語。
    何よりびっくりしたのは、作家の皆川博子氏が、70代にしてこんなみずみずしい小説を書いているということ。

    ピアノを弾いて、デュエットしたり、ワルツを自然に踊りだしたり、戦時中の女子校の男っ気のない独特の空気感が、伝わってくる。
    長女は結局、途中までしか読まなかったらしいが、
    ワタシは一気に読破、女性の方が絶対楽しめる小説だった。

  • 2010.04.08 図書館
    書架整理中に見つけて気になったので借りてみた。
    いま1/3くらい読んだかな?
    0410読了
    ミステリーは不慣れなんです。解かれるべき謎を認識しないまま読み進めたので、カタルシスに欠けた。
    225ページ最後の一行にはちょっとぞわっとしたな。

  • 初皆川博子
    私が小学生の頃くらいから本格的にYAというジャンルが出版社で確立
    されるようになった気がする。
    「脱青い鳥文庫」という感覚で受け止めていたのだが
    皆川博子を出してくるとは…理論社に拍手

    80歳くらいの女性がここまで瑞々しい物語を紡げるのかと目を剥いた。
    これを小中学生で読める人は幸せだ。
     
     舞台は戦時中のミッションスクール。少女の手から手へ、書きつづられる
     物語『倒立する塔の殺人』

    最後まで読者を引っ張る作者の筆にただ翻弄される。すごい。

    装丁も大変美しく、最近のYAはレベルが高いことを思い知った。

  • す、すきだ…
    県の図書館の児童図書の方で見つけたんだけど、分類はそっちでいいのか…そうかそうか…

  •  戦時中のミッションスクールの図書館の本の中に紛れ込んでいた1冊の本。蔓薔薇模様の美しい装飾の本には「倒立する塔の殺人」というタイトルだけが書かれていた。少女たちの間で小説が回し書かれ手から手へ、想いが紡がれていく。底知れぬ悪意とともに・・・。
     日本幻想文学の大家、皆川博子の新作。もう御歳77であるのに、この妖しい世界。戦時中の禁欲されたミッションスクールという設定の中で、交換日記のように少女たちの間で手記が交わされ、一つの小説「倒立する塔の殺人」が書き継がれていく。それぞれの思惑が手記の中にひそんでいて、作中作中作のような入り組んだ構成の背景には恐ろしい悪意がある。「聖女の島」ほど怪しい世界ではないが、その動機や交錯する想いはまさに幻想そのもの。本格的な幻想ミステリです。

  • ミッションスクールだけど、戦時中の話なので、みんなたくましい。
    怪しげで淡々としていて、しっかりミステリー。

  • ちょっとまだ内容整理できていませんが、
    結局設楽さんが一番かっこよかった気がする。
    女学校、戦後という設定だけでかなり満足です。
    欲を言えば表面上の綺麗さだけで少女達を描写した部分が目立つので、説得力に欠けるかも。
    もう少し内面に踏み込んだ描写が欲しかった。

  • 戦時中のミッションスクールが舞台のミステリー。装丁も雰囲気があって好き。

  • H21.2.2 読了。ネット書店購入。比較的読みやすかった.

  • 耽美×女学生×百合。んでミステリ。

    装丁買いでしたが、これは当たりでしたオオー。

    「わたくしは、わたくしを裏切った相手を、狂わせるつもりでおります」

    2/81

  • 美人薄命(おいっ)

  • 戦時下の女学校の少女達が過去の手記を謎解いていく、その過程と独特の雰囲気が大好きです。

著者プロフィール

皆川博子(みながわ ひろこ)
1930年旧朝鮮京城生まれ。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁・旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞(長編部門)を、『恋紅』で第95回直木賞を、『開かせていただき光栄です‐DILATED TO MEET YOU‐』で第12回本格ミステリ大賞に輝き、15年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。著作に『倒立する塔の殺人』『クロコダイル路地』『U』など多数。2019年8月7日、『彗星図書館』を刊行。

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