- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652200650
作品紹介・あらすじ
オホーツク海で蟹をとり、缶詰をつくる蟹工船。そこで働く者たちは、情け知らずな監督のもとで、死者がでるほど過酷な労働を強いられていた。
感想・レビュー・書評
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「航船」でなく「工船」としている点でこの航海は「航海法」のグレーゾーンと認識され、出稼ぎ労働者(船員)たちが人権なしの奴隷のような扱いを受けていたという。そんな悪しき閉じた世界が世界人権宣言が出されて20年近くも経った昭和40年代まであったというのも驚きだ(作品設定では昭和初期となっている)。
人権宣言のような秩序が生まれても、こういう「閉じた世界(権力に一般人が抗えない特別な空間)」にまでルールが浸透するには何十年もの歳月を必要とするのがわかる。でもこのような「秩序の枠組み」は時間はかかれど、ひとりひとりが望む限り着実に浸透していく。そして現代はインターネットも存在する。浸透速度は上がると信じたい。この2点は今後も持ち続けたい希望だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スラよみ!シリーズ3
名作を分かり易く現代語訳
冒頭から印象深い描写に溢れていた。
志賀直哉から学んだというリアリズムを全面に押し出していて面白い。
擬態語と擬声語、比喩が効果的に使われていて自分もプロレタリアの一部になったようだった。
現代では、非正規雇用者が増えている(=十分な保証がされていない人)が増えているため、物語、引いては小林多喜二が生きた時代と少しでも重なる部分があるのかもしれない。と思った。
原文で蟹工船を読んでみたい。
今年の3月までに読む!!
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確か少し前に人気だったなぁ、なんでやったかなと思って初めて読んでみた。結論、2008年頃、労働環境の悪さが問題になって、蟹工船がデモ的に読まれてたのかな…。
蟹工船。ひりつかせる内容だった。というか文体がとてもヒリヒリした。人を人として扱わない労働環境。私なら即死だわ。描写が生々しくて、その場の臭いまで漂ってきそうで、読みながら何度も眉間に皺がよった。
小林多喜二も29歳で拷問で殺されたとか。
そんな時代があったのだよね… -
元の文章もそれほど現代文と変わるところがない近代の小説だが、それでも「現代語訳」されるだけで原文にあったどぎつさが大分薄められた気がする。
好みによるが私はその薄さのおかげで読みやすくなり、物語の全体に目配りしたり、細かな描写に気づくことができるようになった。
巻末の解説も簡潔に小林多喜二の生涯と要点が掴まれていて、いきなり青空文庫へ突撃するよりこれぐらいやさしく噛み砕いてある物の方が飲み込みやすいと思った。プロレタリア文学は往々にして内容が重たいので。 -
もっと早くに読むべきだった。原作でなく現代語訳。原文だったらどんなに衝撃的だろう…と考えてしまうが、現代語訳でも非常に胸に迫ってくる。
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NDC 913.6
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ブラック企業そのものだと思った。
国のためと詭弁を吐き労働者を犠牲にする監督にはヘドが出る。
労働組合というのはやはり必要なのだと思った。
資本主義の最悪な部分が出まくっていた
生々しい描写が多かった -
昔読んだ記憶のある「蟹工船」。
久々に読むと当時とまた違った印象を抱きました。
うちにも祖先に「蟹工船」で北海道に渡った方がいるとかで、他人事ではありません… -
これは昔の話なんだけど、現在のブラック企業にも通ずるようだと思った。