池上彰の 君と考える戦争のない未来 (世界をカエル 10代からの羅針盤)

  • 理論社 (2021年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784652203651

作品紹介・あらすじ

池上彰が中高生に向けに書き下ろしたノンフィクション。戦争は暴力である。人はなぜ戦争をするのか? 戦争の変遷、戦争の種類、武器の歴史、戦争のルールや条約の歴史などを丹念に辿る。過去の戦争1つ1つに理由があった、だからしかたがない、と諦めるのではなく、その理由を取り除く方法を考える。人間への信頼や希望、一人一人が考え行動していくヒントに満ちた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログレビューより紐解いた。「戦争のない未来」に向けて具体的な提案があるのかと思ったためである。現代日本人が変に信頼している池上彰さんが、どの様に語るのか聞いてみた。

    中高生向けの本である。前半で近代までの戦争史を概観し、後半で現代史を語っている。かなりやさしい語り口なのは仕方ないけど、結局具体的な提案はなかった。

    本人の心中には具体的な構想があって、それをやさしく語らなければならないために具体的にならなかったのか?おそらくそうではない。「自国ファーストよりも地球ファーストだ」とか「話し合いが重要だ」とか、こんなことは現代小学生でも言いそうなことである。

    ジャーナリストにも責任がある、という。その中身は、「戦場ジャーナリストが自己責任論で責められるべきでない」ということしか言わない。そうじゃない。ジャーナリストは、その体験と世界的視野で、戦争を終わらすための展望を語り、読者はそれを読むべきだ、というべきだった。

    日本政府が政策にしている、核抑止論と核の傘論も、極めて他人事の様な記述しかない。それどころか、池上彰さんはオバマ大統領の広島スピーチを異様なほどに褒めていて、巻末に全文入れている。よく読めばスピーチは、究極の核廃絶(つまり核廃絶の先延ばし)と、核拡散抑止を求めただけであり、従来の政策を踏襲したのに過ぎなかった。

    EUの出現は、ヨーロッパの戦争抑止に貢献していることは語っているが、アジアのASEANの成果には一言も触れていない。

    等々、書き出せば長く長くなる。池上彰を殆ど読んでないし、テレビも観てないので、軽々にいうのは憚れるのであるが、もしかしたら池上彰の立場は「現状追認」か「ほんの少しの改良」なのかもしれない。けれども、それで果たして「戦争のない未来」は実現できると思っているのだろうか?

    せめて高校生は、この本をもっともっと批判的に読んで欲しいと思う。

    • kuma0504さん
      土瓶さん、
      >「戦争は人間だけが起こすもの。だから人間がいなくなれば戦争もなくなる」が正しい気がする。
      それは確かに正しいと、私も思います。...
      土瓶さん、
      >「戦争は人間だけが起こすもの。だから人間がいなくなれば戦争もなくなる」が正しい気がする。
      それは確かに正しいと、私も思います。でも、そうはいかないと思っているから、悩んでいます。

      >「戦争は始めるよりも終わらす方が難しい」
      それも確かに正しいと思います。
      でも、人類史の中で、戦争を発明したのは一年で言えば大晦日の遅くであり、戦争のない圧倒的な歴史を持っているのも事実です。潜在的に私は戦争を終わらす能力を持っていると思うのです。
      2025/09/16
    • yukimisakeさん
      池上さんの本や解説を実は一度も見たことがないんですよね。こんなに有名なのに。
      クマさんと師匠の意見を念頭に置いて一度見てみようかな。
      池上さんの本や解説を実は一度も見たことがないんですよね。こんなに有名なのに。
      クマさんと師匠の意見を念頭に置いて一度見てみようかな。
      2025/09/17
    • kuma0504さん
      池上彰は私は2冊目(^^;)。
      「世界を変えた10冊の本」は純粋解説本だったので、★4です。
      池上彰は私は2冊目(^^;)。
      「世界を変えた10冊の本」は純粋解説本だったので、★4です。
      2025/09/17
  • 『戦争犯罪』とはなにか?
    もともと戦争が犯罪じゃん??
    そんな疑問を持った方は多いのではないでしょうか??今起きていることと一緒に、疑問を解決できました!
    小学生にもおすすめ?

  • 全てがつながっている。
    そして、歴史は繰り返さないが近似する。
    あの時、に似たフラグは
    そこかしこに立っている気もする。
    絶望的な気分になるけれど。
    きっと、微力ではあっても無力ではない、
    と信じたい。

  • 戦争とは…
    ・暴力の一種
    ・国と国とが軍隊を使って戦うこと
    「戦争は政治的交渉の一部であり、従ってまた、それだけで独自に存在するものではない」カール・フォン・クラウゼヴィッツ『戦争論』
    戦争のカテゴリーではないが、紛争・内戦・クーデター・革命などがある。

    戦争のルール
    ・戦時国際法
    「ジュネーブ条約」(1864)
    「ハーグ陸戦条約」(1899)
    ・攻撃してはいけないもの
    ・「背信行為」の禁止
    ・捕虜を人道的に扱う
    ・「国際刑事裁判所」
    ・中立国の義務

    戦争はどのようにはじまるか
    理由…格差、財産、名誉、権威、領土

    オリンピック中は戦争禁止
    …スポーツで世界平和を。戦争ではなく競い合うスポーツの技を

    戦争が民主主義を生んだ。

    『女の平和』紀元前411 アテネの喜劇・反戦作品

    英雄への憧れ…侵略者か英雄か

    宗教戦争
    …十字軍運動
    イスラム世界では「赤十字」の「十字」にも反発し、「赤新月」が使われている。
    …三十年戦争
    カトリックとプロテスタント

    日本の戦争
    …白村江の戦い、元寇、朝鮮出兵、開国、富国強兵、日露戦争、日清戦争、三国干渉。

    第一次世界大戦
    民族主義…同じ人種で同じ言葉を話し、同じ文化を持って、自分たちは同じ仲間だ、と考えている集団(※一般的に)
    毒ガスの使用
    スペイン風邪の流行
    ソ連誕生
    国際連盟

    アジア・太平洋戦争
    関東軍の暴走・満州事変
    「責任を取らせない」←いまだ変わっていない
    満州国
    盧溝橋事件、南京虐殺事件、重慶爆撃、ノモンハン事件
    欧州・第二次世界大戦
    「非国民」←どのように生まれた言葉か。
    日ソ中立条約
    オーストラリアとの戦争
    沖縄戦
    原爆投下
    ポツダム宣言

    平和国家の建設
    国際連合・国連軍

    東西冷戦
    朝鮮戦争
    平和憲法…?
    ベトナム戦争、アフガニスタン侵攻
    冷戦終結、ソ連崩壊

    核開発競争・軍拡競争
    オバマ氏とトランプ氏
    「核兵器禁止条約」日本批准せず

    どうすれば戦争はなくなるのか
    ・人道的介入の是非
    ・PKO
    ・ ノルウェー
    ・非暴力の戦い、不服従の戦い
    ・EU
    ・ アラブの春
    ・民族主義は暴走することもある。国民は政治家が嘘をついたとき、見破ることができるか。
    ・戦争ビジネスの横行
    ・ジャーナリズムの責任

    「私たちの力は微力だが無力ではない」被爆者

    〇日本は歴史をもっと学んだほうがよいのではないか。歴史は私たちの教師だと思う。
    原爆は2度と被爆者があらわれないように学び、自国の戦争は2度と自分たちが愚かな選択をしないために学ぶべきだと思う。憎まれることも、憎むことも辛い。どうぞ、良い未来を選べる世界になりますように。

  • とても分かりやすかった
    戦争を考える導入編として読んでよかった

  • 2021年5月の本なので、ウクライナロシアの問題はまだ入っていませんが、その片鱗はあちこちに見えています。
    そして、今のこの状態を見ると色んなことが虚しくなってしまう。
    でも、その原因はすでにあちこちに出てきていたんだなということも分かりますね。
    過去を知り、これからを知る。
    でも正しい過去を知るのは相当難しいことなのよね。
    誰かの視点からの、誰かにとって正しい歴史。
    古くよりメディアは都合の良いことしか伝えないということもまた、歴史として伝わっていますから。

  • シリーズ世界をカエル、10代からの羅針盤とある。
    話口調でギリシャ時代から現代まで、ピックアップして戦争を平易に説明。戦争について時代順に話すと、そのまま政治史になっていた! 

    すべての外交は、国の利益を考えた交渉です。お互いが利益だけを主張するだけでは、最悪の場合戦争になります。政治家には、一時の熱狂に左右されることなく、国民と国を考えた冷静な判断が求められます。そうしたことの出来る政治家を選出するのは、私たち国民の責任なのです。さらに、すべての国民が満足する政策はありません。選ばれた政治家がどこを向いて、何をしようとしているのか、選出したあとも、国民は監視し続けなければなりません。そういう責任が国民にはあるのです。


    2021.5初版第1刷 図書館

  • まずは、戦争、の定義から入ってくれるのが、池上さんの凄いとこ!
    戦争と紛争と暴力の違い……。
    言語化できますか?

    現代の戦争の簡単な歴史から始め、目的の
    “この世から戦争をなくすことができるか”
    にいたるまで、論旨が明快でわかりやすい。

    人間が始めるものなら人間がやめることができるはず!

    という帯の謳い文句と題名は秀逸です。
    本当に
    いまの大人たちが一掃されて、小学校低学年以下の人たちだけの世の中になったときは、もしかして実現するかもしれません。

    学校図書館は買い!!!でしょう。

    2021/06/11 更新

  • 図書館で借りて読んだが、家の本棚に置いておきたくなって購入した。
    繰り返し読みたい。

  • 子どもたちに読ませたい良書。
    世界のなりたちをわかりやすく教えてくれる。
    感覚的には、世界史をひととおりなぞってから読むとわかりやすいかも。

  • ざっと読んだが、戦争のなぜ起こるかより、こういう戦争が起こったんだよ!という歴史を読まされてる感じ。
    むっちゃ暇な時また見てもよいかも。

  • 自国ファーストではなく地球ファーストで考える!

  • 断片的だった過去の歴史が池上さんの話のもと、繋げることができた。宗教のこと、戦争のルールのこと、歴史的協約や、指導者のこと。EUのこと、記憶に新しい同時多発テロのこと。太平洋戦争のこと。ベルリンの壁や朝鮮戦争、湾岸戦争。ノーベル平和賞の効果、そして戦争とビジネス。今も変わらない政府の在り方。巻末にはオバマ大統領の広島平和記念公園における2016年の演説が載せられており、盛り沢山な内容だった。
    歴史はいまも続いている。悲惨な過去の再発、各国で続く惨劇の悪化をさせないよう、自身のできること、まずは自国の代表者をきちんと選ぶこと。そのために、今回のように歴史を知ること、他国の歴史・実情も知ること。誤った選択をしないよう、自身の知識を継続して深めたい。太平洋戦争で日本の占領下にあった地域のホテルの話など、何も知らずに観光で楽しむだけの自身に恥ずかしくもなった。歴史と共に歩むことを心に留め、その地を訪れたい。

    外交は国の利益を考えた交渉であり「友だちだからいいじゃないか」というわけにはいかない。各国の交渉の場で最終的に決定を下すのは、国を代表する政府。政治家は国民によって選ばれている。政治家には冷静な判断が求められ、その政治家を選出するのは私たち国民の責任だ。
    2019年、スウェーデンの高校生の国連温暖化サミットの話。たとえ小さな声でも世界に広がり、世界の人々を動かす。「私たちの力は微力だが無力ではない」微力でも積み重なれば大きな力になる。自分1人がどうこうしても意味がないではなく、1人でも大きな力とななる。

    歴史は続いている。戦争の火種となった資源獲得の問題。その経済重視の姿勢による自然破壊。数々の環境問題。次の世代へ平和で安心・安全な未来を渡すために。人類すべてが滅亡しかねない。
    「自国ファーストではなく地球ファーストの姿勢」。戦争は人が始める、それならば、人間がやめることができる。一人ひとりが自分の問題として考え歩むこと。

    以上、池上彰さんからの学んだ多くのことを忘れずに、私自身、継続して世界に興味を持ち、学び続けたい。そして、冷静な判断ができ、行動に移せる人間になりたい。

  • 歴史は大切ということが分かった。
    知らないと、とんでもない発言をしてしまうこともある。
    戦争には繋がりがあり、長い歴史がある。
    ひとりひとりが、平和を考えること。
    大切な人と生きていきたいよ。

  • 読みやすい文章と興味深い内容で一気読み。

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京科学大学特命教授を務め、現在5つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』(ちくまプリマー新書)、『お金で世界が見えてくる』、『日本の大課題 子どもの貧困』編者、『世界を動かした名演説』パトリック・ハーラン氏との共著(以上ちくま新書)、『なぜ僕らは働くのか――君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』(監修、学研プラス)、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ』(ダイヤモンド社)、『20歳の自分に教えたい経済のきほん』(共著、SB新書)ほか、多数。

「2025年 『池上彰の経済学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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