震える叫び (Scream!絶叫コレクション)

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 83
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652203804

作品紹介・あらすじ

キーワードは「Scream=叫び」。全米の第一線で活躍するホラー作家ミステリー作家20人が競作したYA向け原書「Scream and Scream again」。バラエティに富んだ20作品を14人の訳者が共訳し、コンパクトに3分冊にして刊行。1冊目は『図書館脱出ゲームシリーズ』のクリス・グラベンスタイン、『サーティーナイン・クルーズ・シリーズ』のピーター・ルランジスなど、7作家による7作。
収録作品
「7つめのルール」レイ・ダニエル
「アイスクリーム・トラック」ベス・ファンタスキー
「悪夢の特急列車」ダニエル・パーマー
「カミカゼ・イグアナ」アリソン・マクマーハン
「ヒトリッコ」ジョセフ・S・ウォーカー
「名もなきの愛国者」クリス・グラベンスタイン
「プラットホーム」ピーター・ルランジス

感想・レビュー・書評

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  • いわゆる、ジュブナイルホラーのアンソロジーなのだが、ネットの地元図書館のサイトで予約した時には、児童書ということに気付かなかった(表紙の、いかにもな骸骨はいったい)。

    読んでみて全然怖くないし、その割に、伏線とオチの付け方は妙にしっかりしてるな、なんて思ってたら、そういうことだったのね。

    ただ、怖くないというのは、あくまで大人の私が、そう思うだけであって、子供心にどう思うかは、何とも言えません。まあ、ホラーだけではなく、少々奇妙だったり、冒険ものだったりの、異世界感が含まれていて、退屈な毎日に飽き飽きした少年少女が、ちょっとした刺激を楽しむ感じといえばいいでしようか。その中には教訓めいた話もあるので、バラエティに富んではいるが、純粋なホラーものとしては、微妙かもしれません。ただ、物語としては、しっかり楽しめるものになっていると思います。

    それから、話題性と言えば、「図書館脱出ゲームシリーズ」の「クリス・グラベンスタイン」と「サーティーナイン・クルーズ・シリーズ」の「ピーター・ルランジス」が作品を提供していることだと思います。

    前者の作品は、実在の人物も登場するサービス精神と、限られた持ち物と学校で習った知識を上手く活用して立ち回る、ドタバタした爽快感がたまらない、アメリカ版のび太の冒険もの。

    後者は、SF要素の強い、あり得なくもないような独自の世界設定や、表裏別々の顔を持つ意味合いに、隠喩めいたものを感じさせられ、更に得体の知れぬラストに、この作品集、唯一の恐怖を感じました。

    ちなみに、この絶叫コレクションシリーズは、あと
    「不気味な叫び」と「消えない叫び」もありますので、興味のある方はどうぞ。


  • ティーン向けホラーアンソロジーだけど、大人にも不気味さはちゃんと味わえた。幼少期に読んだらもっと怖さに浸れたと思う!各タイトル、絶叫始まりの縛りでもあるのかなと思ったけど、『カミカゼ・イグアナ』だけは違ったから勘違いでしたね。他6作品は叫び声からスタートしたけども。

    訳者のまえがきが興味深い。
    p.004「恐怖というのは、考えてみればとても不思議な感情です。怖い思いなんてしないほうがいいに決まっている気がしますが、実際には、恐怖という感情があるからこそ、危険を予知したり、避けたりすることができます。恐怖を感じなければ、平気で高いところから飛び降りたり、暗い夜道を歩いたりしてしまうかもしれませんよね。猿は、一度も見たことがなくても、天敵である蛇を怖がるという説があります。もしかしたら、何かを怖がるというのはとても大切なことなのかもしれません」

    『アイスクリーム・トラック』が一番好きかも。いい感じで大事な部分が隠されている看板がいやらしいな笑 アイスクリームはさぞ高カロリー増し増しで作られていたに違いない…大人より子供の方が肉が柔らかく美味しいかも。脂身少なそうだし。

    『悪夢の特急列車』
    母親からは口を酸っぱく「何がなんでも遅刻をするなと」言われている。その理由も文中で明らかになり、過去に一族に呪いを受けているからだと分かる。
    パニックに陥りながらも、なんとかこの状況から脱したいとバックパックからアイテムを駆使しながら乗り切っていくのが見事。主人公が水泳部でゴーグルを所持していたり、バンド組んでいてドラムスティック持ち歩いていたり…と話に合わせてる感じは否めないが、スティックで座席を叩き兵隊達の動きを誘導していたのは面白かった。

    『カミカゼ・イグアナ』
    少女とイグアナの友好的な部分も含めて好きだった。人語が理解できる特殊なイグアナだったのかな。それも他のイグアナたちのリーダーみたいな?プールで指揮してた感じあったし、長みある。「アップ・ステージ」のようなアンガスと主人公の終わり方も好感度もてる。友情ではないけど、少し分かり合えた気持ちになれる感じ。

    『ヒトリッコ』
    入れ替わりって怖いよね。自分と同じ姿で現れて、抗わなければ奪われていく。ソイツが飽きたら家族はポイで、次の獲物を探しに戻ってくる。その間、自分は消えるのを待つだけ。怖い…「アス」を思い出した。あれも怖かった…

  • 児童向けホラーアンソロジー。子供向けだし楽しく読める……けれど、けっこう怖いのもあるかな。
    ジョセフ・S・ウォーカー「ヒトリッコ」はおそらく、子供の頃に読んでいたらトラウマ級になる恐ろしさだったのではないでしょうか。とって替わられる恐怖、そして最も頼るべき親にすら助けてもらえない恐怖。なかなかシャレにならない怖さです。
    ダニエル・パーマー「悪夢の特急列車」が好き。これ、怖くもあるけれどそれ以上に楽しいんですよね。とんでもないものが次々に登場して、それと戦う主人公。さらになぜそんな呪いが降りかかってしまったのか、という因縁話の部分も好きです。

  • ホラー。短編集。アンソロジー。
    表紙とタイトルに釣られて読んだけど、想像以上に子供向けだった。
    全体的には物足りなく、☆2くらいの評価だが、ピーター・ルランジス「プラットホーム」だけはかなり好み。
    この一冊のなかでは難しめで、結末に一番怖さを感じた。

  • 933-S
    リクエスト図書展示コーナー

  • 西洋の恐怖はわかること
    日本の恐怖はわからないこと

  • ふぇありぃてるメンバーのSGさんが勉強している翻訳教室仲間で出版されたちょっと怖い短編集。
    子供が活躍するホラー短編。
    ひやひや、ドキドキ、ゾクゾク、キャー!
    でも、最後はホッ。

  • 2020年8月新着図書

  • ホラー短編集。
    が、勇気と知恵のある子どもたちが主人公なので、運命を切りひらくぞ。

    「7つめのルール」レイ・ダニエル
    ホラーハウスには、たよりになるむすこと行こう

    「アイスクリーム・トラック」ベス・ファンタスキー
    アイ・スクリーム♪ユー・スクリーム♪
    きゃーーーーーー!!!

    「悪夢の特急列車」ダニエル・パーマー
    遅刻・ダメ・ぜったい。

    「カミカゼ・イグアナ」アリソン・マクマーハン
    やられたら、やり返す。倍返しで済むと思うなよ?

    「ヒトリッコ」ジョセフィーヌ・S ・ウォーカー
    チェンジリング。男の子は、その後どうしたのだろう。

    「名も無き愛国者」クリス・グラベンスタイン
    歴オタ・パラダイス!…と、思ったのになあ。
    「イギリスからの独立宣言だって規則違反です。」のパワー。校則なんて、みみっちいこと言ってる場合じゃないよね。

    「プラットホーム」ピーター・ルランジス
    戻れたのか、戻れなかったのか。

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著者プロフィール

東京都生まれ。翻訳家。「BOOKMARK」編集人。白百合女子大学・フェリス女学院大学講師。
児童書・YA作品を中心に翻訳を手がける。主な訳書に『龍のすむ家』『エヴリデイ』『オリシャ戦記』など。

「2023年 『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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