あしたの幸福

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 135
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652204177

作品紹介・あらすじ

父の死を受け、親戚の家に世話になりたくない雨音は、ふりきった選択をする。それは幼い頃に家を出た産みの母に保護者になってもらうこと。「利用」「生きる術」とわりきり、自分の居場所を守ろうとする彼女がさわる幸せとは?

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの立場や思いを考えると辛いけれど、お互い一緒にいることで保たれている。辛いときに一緒にいられる人って、そのあともずっと一緒にいられる、未来につながる人かもしれない。

  • いとうみくさんの本は
    小学校高学年の女子にファンが多く、
    図書室にもかなりあるが、これは図書館の
    ヤングアダルトコーナーに置かれていた。
    他人から見ると、ありえない3人の同居、
    抜け落ちた家族の穴を埋めるように、
    どんどんしっくりとなっていく。
    いい人ばかりじゃないところが、好きだった。

  • よかったと薦められて読んでみたら、一気読み。うまくいえないんだけど、ほんとによかった。
    周りからみたら普通でないのかもしれない、かわいそうと思われているのかもしれない。でもそんなの他人が決めることじゃない。雨音と国吉さんとのやり取りも、帆波さんも、廉太郎も、好きだなぁと思った。何が幸せかなんてわからないけど、読んでてあったかい気持ちになった。チェッカーベリーの花言葉、素敵なタイトル。

  • 父が交通事故で亡くなった。
    幼い頃、母は離婚し、父と私を置いて家を出た。
    父には1ヶ月後に結婚を控えた女性がいたが、彼女も一緒に事故に遭い今は入院している。
    おいでと言ってくれる叔母がいるが、引き取る余裕なんてないのはわかっている。
    何よりも、この家に居たい。


    中学生の雨音はどうにも身動きが取れなくなったところを、実の母・国吉さんと暮らすことになる。幼馴染みの蓮太郎のさり気ない気づかいに息をつき、父の彼女だった穂波さんとも新しい関係を結びなおしていく。



    〇ずれたりすれ違っているところもあっても、よい家族なのだなあと思う。国吉さんはADHD の自分を律して、穂波さんはちゃっかり大らかに、雨音ちゃんは真面目に少しずつ柔らかな世界と自分を見つけられるのではないか。
    連太郎くんは、これから学生の時代をしっかり味わって欲しいな。

  • 父をなくした雨音は、父の元妻である国吉さんと暮らすことになる。この人のユニークさがすばらしい。なんでもきっちり決めないと動けないなど一般的には問題があるとされることはあるけど、それでもいいのだ、と思う。新しい家族のかたちを感じさせる。

  • 父子家庭の雨音、中2の夏休みに突然父が死ぬ。1人になった雨音は昔出て行った母と住むことになる。そこに父の再婚相手だった帆波が妊娠もあって三人で住むことになる。実の母の不器用な性格が人間関係の距離感を狂わせ、逆にぎこちなさを修復していく。三人の個性豊かな女性たちの暮らしがとても良い感じだった。
    父はいなくなってしまったけれど、きっとこの先もやっていける、そんな未来を信じる事ができる、そんな素敵な物語。

  • お父さんを突然失くした雨音。
    そこに出現した産みの母「国吉さん」。
    その後一緒に住むことになる父の婚約者帆波さん。
    雨音の親友唯も廉太郎も中2なのに十分大人の考えを身につけている。
    にしても産みの母国吉さんは、絵に描いたような発達障害。けれどもこの先雨音と暮らすことで、生きることが楽になっていくんじゃないかな。
    ついでに父も結構発達障害入っていると思う。相手の気持ちを忖度できないあたり。
    それに比べて、雨音は定型発達ゆえに気を回し過ぎるところがけなげ。
    ついでに、廉太郎のヤングケアラーっぷりにも胸をつかれる。

  • 母を知らず、父とふたり家族の外崎雨音(とざき あまね)、中学2年生

    父が事故であっけなく死んでしまい、父と暮らしていたマンションに住み続けたいと願っていると

    「お困りでしたら、わたしと住みますか?」

    電話してきたのは国吉さん、雨音の実の母だった

    雨音と国吉さんの風変わりな共同生活に、父の婚約者がくわわって……

    《家族? 友達? 恋人?・・・どんな名もつかない間柄がつむぐ糸の行方は》──帯のコピー

    『朔と新』で野間児童文芸賞を受賞した いとうみく の受賞後YA第一作、2021年2月刊

    《人と人との物理的な距離に対する考え方が一変している今、心の「間合い」を描いた物語。》──編集者コメント

    肉親をなくした少女のアンビバレントな心、彼女を思う周囲の人々の関わり方、“欠陥人間”とのコミュニケーションなど描写に深みがあり、人物像がくっきりと浮かび上がってくる

    また
    ・いろんな声や笑い声に混じって、パコンパコンとすのこの上に上履きを落とす音が響いている。
    ・男子数人が上履きの下に雑巾を置いて、長い廊下をスケートのように滑っていた。
    などディテールの描写にリアリティがあり、読みごたえのある作品にしあがっいる

  • 父親が交通事故で亡くなってしまい、ひとりになってしまった雨音。
    今の家に住み続けるために小さい頃に別れた母親に保護者になってもらうことに。
    ちょっと不思議な生活が始まる。
    そこへ父親の婚約者も同居することに。
    別れた母親がいい。
    人がどう思うかではなく、自分がどうしたいかで生きている。
    もちろん他人との軋轢をうむ。
    でもこういう人がいちばん裏表がなく言葉に嘘がないのかもしれない。
    そういう言葉って折れかかった心には逆に優しいのかも。
    廉太郎は国吉さんに救われてのかな、って思った。
    雨音も救われながら、静かに暖かく見守られながら成長していくだろう。
    印象に残ったのは帆波が雨音の父親が事故のとき、お腹の赤ちゃんをかばったのではないか、と言ったとき、国吉さんは危ないと思ったときはとっさに身体が動き隣の人をかばうのではないか、と言った場面だ。
    すごく当然のことを言っているがこの言葉で雨音は救われたのでは、と思う。
    意図した言葉ではないかもしれない。
    でも正直な言葉が雨音の父親への気持ちを守ったのではないかなあ。
    国吉さんはやっぱり雨音の母親だ。
    国吉さんと雨音のこれからが穏やかなものになりますように。

  • 父子家庭の父が亡くなりひとりぼっちになった雨音。
    テーマ的には泣かせにくる系なんだけど、風変わりな実母、国吉さんの登場、そこに父と結婚するはずだった帆波さんまで加わり、なんだか美味しそうな場面もあり、普通じゃないけど、アリ!な暮らしができていく。
    友人の連太郎くんもいいし、するする〜と読んでしまった。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。『糸子の体重計』(童心社)で日本児童文学協会新人賞、『空へ』(小峰書店)で日本児童文芸家協会賞、『朔と新」(講談社)で第58回野間児童文芸賞を受賞。おもな作品に、『かあちゃん取扱説明書』『天使のにもつ』(以上、童心社)、『二日月』(そうえん社)、「車夫」シリーズ(小峰書店)、『ひいな』(小学館)、『トリガー』(ポプラ社)、『あいたの幸福』(静山社)、『つくしちゃんとおねえちゃん』(福音館書店)、『カーネーション』『きみひろくん』(くもん出版)などがある。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2021年 『ぼくんちのねこのはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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