あしたの幸福

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652204177

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  • 国吉さんってアスペルガー症候群。優しい。

  • 母を知らず、父とふたり家族の外崎雨音(とざき あまね)、中学2年生

    父が事故であっけなく死んでしまい、父と暮らしていたマンションに住み続けたいと願っていると

    「お困りでしたら、わたしと住みますか?」

    電話してきたのは国吉さん、雨音の実の母だった

    雨音と国吉さんの風変わりな共同生活に、父の婚約者がくわわって……

    《家族? 友達? 恋人?・・・どんな名もつかない間柄がつむぐ糸の行方は》──帯のコピー

    『朔と新』で野間児童文芸賞を受賞した いとうみく の受賞後YA第一作、2021年2月刊

    《人と人との物理的な距離に対する考え方が一変している今、心の「間合い」を描いた物語。》──編集者コメント

    肉親をなくした少女のアンビバレントな心、彼女を思う周囲の人々の関わり方、“欠陥人間”とのコミュニケーションなど描写に深みがあり、人物像がくっきりと浮かび上がってくる

    また
    ・いろんな声や笑い声に混じって、パコンパコンとすのこの上に上履きを落とす音が響いている。
    ・男子数人が上履きの下に雑巾を置いて、長い廊下をスケートのように滑っていた。
    などディテールの描写にリアリティがあり、読みごたえのある作品にしあがっいる

  • キャラクターがとてもはっきりパキッとしてる。これって、綾瀬はるかの義理母ブルース?の原作じゃないの?と思った。

  • 3人で始まった奇妙だけれど、暖かな暮らし。
    それぞれがそれぞれを想い合いながらしあわせのために自分を貫いて、寄り添い合うくらしのかたち。

  • いとうみくの新作?(2021年2月)寄りの作品を読んでみたくて。
    父娘家庭に、新しい母親が来ることになった2週間前、父が交通事故で、あっけなく死ぬ。その後産みの母親国本さんと娘雨音(あまね)は、保護者と保護される必要のある人といった淡白な距離感で同居し始める。
    家の事情を鋭く感じ取ってくれる幼馴染の廉太郎。
    彼も実は親の介護をして友達にそのことを打ち明けられずにいる。
    亡父の恋人帆波さんのお腹に赤ちゃんがいて、一緒に住むことに。大切にしてくれる人がいるのに素直になれない雨音の心を、廉太郎が少しずつほぐす。
    人には得て不得手があって、それを認め、助け合って生きていくなーと実感。親子といっても、尊重ポイントはお互い守りたいよね。

    あしたの幸福=花言葉

  • なかなかいいお話だった。図書館で本と目が合って、気になって、ぐるっと一回りしたあとやっぱり気になって借りてきた本。
    父親と二人暮らしだった中2の外崎雨音。父親が突然の事故死。これだけ聞くと重苦しそうな話のように思える。でも、顔も知らなかった母親と、父と結婚予定だった婚約者と一緒に暮らすようになる。これが意外とうまくいく。「よかったな。ちゃんと外崎のこと大事に思ってくれる人たちがいて」同じこと考えてたよ、廉太郎くん!
    お父さんの死が、雨音に新しい出会いを運んできてくれたんだなあって感じながら読んだ。
    父親の死、発達障害、ヤングケアラー、中学生の恋、色々と盛り込まれているけど押し付けがましくない、さらさらと読める素敵な文章だった。

  • 生みの親の国吉さんが魅力的。
    「欠陥人間」でなんかなく、「ユニークな人」で「面白い人」。多くの人と感じ方や表し方が少し違うだけで、正直で信頼できる人。「修正できることは修正、改善していきます」なんて、多くの大人は子どもに言わない。「守られなければいけないのは、子どもです」って言うところも、熱中症の応急処置もでき、ガス漏れが起きているかもしれないという緊急事態のときに落ち着いて対応できる、頼りになる大人だし、冷やし中華を宣言通り20分で作ることができるのもステキだ。

    「大丈夫?」っていう言葉をかける無意味さや、「困ることがあったら相談するんだぞ」「クラスのみんなも(略)力になってやってもらいたい」というような、道徳の授業や学校や学級目標にありそうな先生たちの薄っぺらい、そして上から目線の言葉を、心のなかで批判し、傷つかないふりをしてかわしていく雨音の姿に、自分はここに出てくる大人と同じことをしていないかとドキリとする。

    なくなった父親・広希の「行ってきますじゃなくて、行ってらっしゃいって言いたいんだよ」っていいセリフだな。

  • 中3女子、記憶にない母、亡くなった父の婚約者

  • ナンテン(の実)の花言葉は
    「幸せ」「私の愛は増すばかり」「よき家庭」
    なんだそう。
    雪うさぎは溶けてしまったけれど、眩しい日を浴びてキラキラのナンテン(幸せや外崎さん(へ)の愛)がそこに残っていたんだね。

  • 父親が亡くなり、産みの母と同居することになった主人公。そして、自分の弟か妹を宿した父の恋人との奇妙な3人(4人暮らし)がはじまる。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞(2013年)、『空へ』で日本児童文芸家協会賞(2015年)、『羊の告解』でうつのみやこども賞(2019年)『朔と新』で野間児童文芸賞(2020年)、『きみひろくん』でひろすけ童話賞(2021年)、『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞(2022年)、『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞(2022年)を受賞。そのほか、『かあちゃん取扱説明書』『二日月』『チキン!』『カーネーション』『ぼくんちのねこのはなし』『よそんちの子』など、話題作を多数発表している。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2022年 『バンピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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