戦略的心理療法―ミルトン・エリクソン心理療法のエッセンス (精神医学選書)

著者 :
制作 : Jay Haley  高石 昇 
  • 黎明書房
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  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784654000845

感想・レビュー・書評

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  • P:241 抜き書き+感想:字1800 付箋数:6
    (対ページ付箋割合:2.49%、付箋毎文字数:300)

    ・情報を提供しないように患者に助言することは(話したくないことは話さなくてもいいと告げること)、話さないことを患者にすすめることになるのではないかとたいていの人は思うかもしれないが、精神科の患者では必ずしもそうでない。患者が自分の問題についての情報を話さない理由はいろいろあるがそのうちのおもな一つはそれが治療者をコントロールするのに有利な条件を与えるからである。精神科の患者は治療者とのあいだにおこる事柄をコントロールしようとする特徴をもち、情報を与えないでおくことによって、ある程度のコントロールを得るわけである。だから治療者が患者にむしろ話さないでおくように指示すると患者のその策動は成功しないことになる。
    >>/> 神田橋の方法は同じことを薦めても、もっと患者にコミットしていた。語りたくない事を、何で語りたくないんでしょうねとその周りを一緒に考えながら周ることで、患者に気づきを起こさせるように志向したから。

    ・エリクソンは、4年間声が出ず、ささやきしかできなかった女性が治療をうけにきたとき、あなたならどんな情報を聴取したいか、ときかれ、
    “短期療法の立場からわたしなら次のいくつかの質問をしてみる。声を出して話をしたいか?それはいつから?そのときはどんなことをしゃべりたいか?”
    これに応えるためには自分自身が治療に参与していなければならないのでこれは大変重要な意味がある。つまり、これで治療の責任に関する負担が彼女自身の方におかれるわけである。
    >>/> 同じ立場に立って話す。上司と部下もそうだなあ。

    ・催眠は症状の除去に使うのではなくて、症状が催眠によって動かされるということを患者に信じさせるために使うべきである。…すぐれた催眠療法家はトランス中に症状をとり除いてもそれをとり去ってしまわないで、むしろその後特別な条件下で症状が再発することを指示する。それによってトランス中にひきおこされた変化が催眠状況以外のところにもひきおこされるわけである。
    >>/> 自分で痛みを和らげるのではないんだね。

    ・治療変化をひきおこすのに何が一番重要かという問に対してエリクソンはそれはちょうど学校で子供を教えるのに似ている、と答えている。子どもに1+1=2であると説明するだけでは十分でなく、チョークをわたして“1”と書き、さらに“1”と、“プラス”と“2”という文字を書かせることが必要であるのと同様に、治療でも患者に問題を説明したり自分で説明させたりするだけでは不十分である。大切なのは患者に何かを実行させるということである。エディプス葛藤をもつ患者では、父親について話をさせるだけでは不十分で、患者に紙片をわたし、その上に“父”ということばを書かせて、くるくるとまるめて紙くずかごに捨てさせる、といった単純な行為が重大な影響をひきおこすことができるのである。
    >>/> 教える時はいつもそうかも。

    ・精神的分析が思考過程や空想過程に強調をおく傾向があることは、フロイトが人間の思考にすっかり虜になっていたことと関係があるようである。われわれは、フロイトの著書を読んで、彼が患者の思考を跡づけていったときのその粘りとたくみさに心をうたれずにはおれない。ここで、フロイトの人格発達の理論や象徴的解釈の仕方について異論を唱えるつもりは毛頭ないが、ただ、人間の心をこのように探究していくことがいったい、治療的変化をひきおこすことと関係があるのだろうか、という疑問を提出してみたいのである。
    >>/> 無関係ではないと思うけれど、でもそれでは半分。

    ・妻に在宅するようにと夫に告げさせた指示は、実は、従来の行動を二重の意味ですすめているわけである。すなわち、夫は彼がひそかにこれまでとっていた行動、すなわち妻に在宅をすすめることを指示され、妻もすでにおこなっていたように在宅することを夫にすすめられた。このような指示の結果生じたことは二人の関係のあり方の変化である。妻はこれまで無力な態度をとっていたが在宅するということに固執することによって彼女からすすんで無力な存在となっていたのである。夫が彼女に在宅を指示することによってふたりの関係をきめるのは誰かという問題が生じてきた。そこで妻はこの状況で彼女が主導権を握る唯一の方法として外出することによって対称的な動きで反応したのである。
    >>/> こう考えると対症療法的だ。反応によって相手をコントロールするという方法にメスを入れていないから。

  •  エリクソンの心理療法におけるエッセンスを土台に、ヘイリーがコミュニケーションについて徹底的に解説した一冊。セラピストとクライエントの間で行われているコミュニケーションのメカニズムを解き明かしている。
     ヘイリーは、家族療法のみならず、精神分析やロジャーズの理論など他の心理療法についても触れている。とにかく具体的なやりとり(行動、言動)に焦点づけて論が展開されているため、これまで精神分析で抽象的に扱われていた技法や治療関係などもたちまち違った景色として映る。
     本書は心理療法というコミュニケーション場面を読み解く上で格好の書といえる。

  • エリクソンの弟子、ヘイリーがベイトソンのダブルバインド理論とエリクソンの症例をもとに組み立てたコミュニケーション理論です。
    エリクソンによる症例の数はそれほど多くないですが、ヘイリーの「上位相補性」「パラドックス」といった概念を使用したエリクソンを含む各種心理療法の分析は強烈です。
    コミュニケーションスキル全般に興味があり、理屈っぽい言い回しにめげずに読める人であれば迷わず一番に奨めたい一冊。
    この本を読んで理解した上で他のエリクソン本を読むと、あなたの目の前に新しい世界が広がっていることに気づけるはずです。
    そして、あなたの目の前で行われている日常のコミュニケーションを見ても、もう以前のような目ではそれを眺められなくなります。
    ついつい、「あ、こいつ策動しやがって」「この立ち回りは上位相補的だな。やるな、おぬし。」なんていう非常に偏ったコミュニケーションの見方をするようになってしまいます。
    それぐらい猛烈に使える概念です。
    個人的にはこの本から一番大きな影響を現在受けています。

  • 心理療法の中に共通するエッセンスは?コミュニケーション理論から論ずる。新たな視点を教えてくれる一冊。

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