- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750003825
感想・レビュー・書評
-
【推薦文】
2010年12月「東京都青少年の健全な育成に関する条例」可決。
そこには「非実在青少年」の文字はなかったものの、創作・表現を実質的に規制する内容は変わらなかった。
美少女ゲームの作り手で「批評家」の筆者が分かりやすい筆致で、エロとは、オタクとは、表現規制とは、そして「非実在青少年」とは、について語る。
反対派の意見の1つとして一読するのも良いかも。
大阪府では東京都と同等の条例が成立。もはや、遠くの土地の話ではないのです・・・
えっちぃのはいけない・・・とおもいます?
(国際文化学研究科 KY)
【配架場所】
総合・国際文化学図書館 2F 国際文化学図書館学生選書 367-9-K詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーん、評価が難しい一冊。ただ、ポルノ製作者が真っ向から規制論に立ち向かう姿勢には大いに賛同したいと思います。
ポルノ作家から見た性表現と規制に対する反論が主柱になっています。基本的にはポルノの有用性を認める論調なのですが、主観と客観的データが入り混じった部分が多い点は気になりました。まぁ、データの取りようがない事も少なくないので、仕方ないのかもしれません。逆に言うと性に関して客観的でオープンな議論が難しい一つの証拠とも言えそうです。
表現規制反対派は一度読むことをオススメします。賛成派の方も是非読んでみてください。ポルノ規制が何を生むか、規制扇動者の狙いがどこにあるかをしる入り口になると思います。 -
美少女ゲームのシナリオやジュブナイルポルノを手がけている著者が、「非実在青少年」を含む作品の規制に対して反対の立場を主張した本です。
ポルノの悪影響は限定効果にとどまるということは、社会学者の宮台真司がくり返し述べており、本書の主張も基本的にはそうした線に沿ったものになっています。
「男性性」や「女性性」を現実の中で発揮することに挫折した若者にとって、ポルノや美少女ゲームが果たしている機能について、著者独自の見解が示されています。ただ、「男性性」や「女性性」を無用意にDNAなどの生物学的な根拠に結び付ける議論などもあり、これでは参考文献に上げられているフーコーが泣くというものです。
そのほか、東浩紀の「データベース消費」論についての誤解も気になります。著者は、大塚英志の「物語消費」を広げて、他の作品も包摂するような「大きな物語」の中で作品を享受することが「データベース消費」だと解しており、第三世代のオタクは「大きな物語」を参照するような作品の鑑賞をしていないと述べていますが、これは明白な誤りです。作品間のクロス・リファレンスが明示的におこなわれていなかったとしても、「萌え」キャラクターの諸属性が作品を横断する形で規定されており、それに応じた性的な回路を通じたキャラクターの享受が可能ならば、「データベース消費」論の補強でこそあれ、反証にはならないように思います。
著者の「ブラバスター」シリーズは文句なしに名作だと思うので、規制に反対する著者に心情的には賛同したいのですが、何だかなあ、という感じです。