夜這いの民俗学

著者 :
  • 明石書店
3.39
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本棚登録 : 61
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750305677

作品紹介・あらすじ

戦前の日本のムラで夜這いは一般的に行われていた。柳田民俗学が無視したこの習俗を的確に位置づけ,性の営為のおおらかさを描き,結婚との関係まで説き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 学校の図書館にて読了
    借りたかったけど、恥ずかしかったのでやめた…
    関西弁に慣れていないと読むの難しいだろうなぁ
    次は「差別の民俗学」を読みたい

  • 愉快な本である。日本社会の根源に迫る民俗学を明るく語っている。
    明治以前の日本人の性風俗が、極めて開かれたものであったことはあちこちで語られており、小生も「カムイ伝」(白土三平)・「土佐の一本釣り」(青柳祐介)などのコミックでは知っていた。
    しかし幕末の欧米外交官であったオールコックやハリスなどの「淫猥な悪習」としての記録はあるが、学問的な検証はあまり見たことがない。
    どうも明治以降の日本人は、過去の開けっぴろげな性風俗を認めたくないのではないだろうか。
    もちろん女性の地位が低い社会であるから明るい出来事ばかりとは思えないが、事実を発掘し直視することは基本中の基本である。
    面白く読める民俗学の本として評価できる本であると思えた。

    2017年9月読了。

  • 面白い!1時間ほどで読了してしまったが、非常に興味深い。夜這いのシステムの成り立ちやその崩壊が垣間見える。民俗学というのに、垣間見えるというのは本書が非常に読みにくい為である。。。目が文章を、滑るというか句読点や改行に現代の文章基準ルールを守っていないために読みにくい。だからこそそこらへんの爺さんから話を聞いてるような臨場感があるとも言えるが、、、

  •  結論からいえば夜這いがなくなったのは教育の成果というよりも、社会情勢の変化、生業のあり方の変化による当然の帰結であるわけで。

    P.112
    『(若者たちの夜遊びは、古くは元禄頃から幕府や藩によって禁止令が出されてきて、明治になって弾圧、教化を行っても絶滅することはできなかった。しかし大正中期ごろからだんだんと衰退した)
     これは教育の効果などによるものでなく、農村が次第に資本主義の攻勢に押されて衰亡したためである。つまりムラが半封建的時代の制約から脱し、村落共同体としての結合を緩めるようになってきたのである。わかりやすくいうと、ムラの娘も女工だけでなく、女店員、女給、その他の近代的な職業につくようになり、都市との接触も深くなってくると、ムラの男を嫌うようになった。マチへ出て月給取りの女房になりたい、それが田舎の大部分の娘たちの夢になる。当時の女子教育や女子雑誌、家庭雑誌が異口同音に田舎の娘さんたちよ、都会に憧れ
    てはいけない。都会の男たちはうまいことをいうが信用してはいけない。田舎の、清い空気を存分に吸っている男たちこそ、ほんとうに頼れる人間だし、朝は星をいただき、夕べには月に送られて働く人生こそ、最上の幸福だ、と煽り立てた。
     しかし、結婚すれば田の二町でも三町でもつけてやるというのなら話もわかるが、小作争議の激化を実際に見て、知っているムラの娘たちが、こんな甘いおすすめにひっかかるはずがない。若い衆も近いマチの女給や酌婦をとった、とられたと大喧嘩。もう残っている娘など、国宝、重要文化財で、とても逆立ちしても手に入らない。こういう社会的大変革で、残念ながら娘がいなくなったのでは、夜這いも閉鎖するしかあるまい。僅かに残った娘や嬶(かかあ:人妻)を相手に夜這いといっても、もう盛時に比べれば想像もできないほどおとなしい夜這
    いになってしまった。これで夜這いもめでたく終焉である。』

     夜這いというのはただの自由で奔放な性愛ではなく、ムラやムラの若衆といった組織の管理下にあった(なのでルールを破れば制裁が待っていた)。夜這いをかけられるのはムラ内の男だけだったり、他のムラの男にも開放されていたりといった違いはあるが、それぞれの決まりに従って夜這いは行われてきた。
     それはムラが一つの共同体として存在していたから維持されていたのであって、ムラには田植えや稲刈り、刈り取った稲の脱穀など多くの共同作業があった。その連帯を維持するための仕組みとしても機能していたし、辛い農作業で高まる性欲をどうにか処理しなければならないという(はなはだ身勝手な言い分ではあるが)必要性もあった。
     これが貨幣経済、工業の発達によりムラどころかイエすらも解体され、個人で生きられるようになると、もちろん共同体にいいこともあったのだろうがそれ以上に(おそらく特に女性が)不便、不快を感じていたのだろう、急速に個人主義が大勢に受け入れられていき、共同体に支えられていた夜這いシステムも崩壊する。

    P.32
    『当時(大正頃まで)、今のような避妊具があったわけでなく、自然と子供が生まれることになる。子供ができたとしても、誰のタネのものかわからず、結婚していても同棲の男との間に出来たものかどうか怪しかったが、生まれた子供はいつの間にかムラのどこかで、生んだ娘の家やタネ主かどうかわからぬ男のところで、育てられていた。大正初めには、東播磨あたりのムラでも、ヒザに子供を乗せたオヤジが、この子の顔、俺にチットモ似とらんだろうと笑わせるものもいた。夜這いが自由なムラでは当たり前のことで、だからといって深刻に考えた
    りするバカはいない。』

     夜這いの結果、多くの私生児が生まれた。当時の人々が誰のタネかもわからない子供を簡単に受け入れていたのは、もちろんおおらかな時代だったという牧歌的な想像もできるが、つまりは子供は安価な労働力であったし、いざとなれば丁稚や娼婦として売ることもできたという理由もおそらくあっただろう。
     こんにちでは子供は家庭の労働力ではないし、もちろん人身売買などできない(少なくとも合法でも一般的でもない)。それどころか引きこもりだの家庭内暴力だのといった「リスク」ばかりが大きくてなかなか楽天的に子供を受け入れられる状況ではない。
     今更少子化が国を滅ぼす、生めよ殖やせよと煽ったところで、大正昭和の女性がマチからムラに戻らなかったように、平成の若者が子を産み育ててくれるわけでもない。社会制度を変える、単純には多くの指摘があるように若者の収入を増やし、それが将来に渡ってある程度期待できる状況を作ることだ。
     日本の本格的な「戦時下」はたかだか数年程度であったから、戦後は比較的速やかに日常へ戻ることができたが、世界の紛争地帯など戦乱が長く続くと、人々の暮らしや精神構造が戦争に特化してしまい、なかなか日常に戻れなくなるという。日本は「不景気」だの「少子化」だのがあまりに長く続きすぎている。
     生殖技術を含む医学は発展を続けており、採取した精子と卵子を母体に戻さず成長させる技術が開発されるのも(倫理の解決を除けば)時間の問題であろう。そうした純試験管ベビーの時代が来るのか、それとも性交(人工授精はこちらに含めてもよかろう)による生殖を維持できるのか、それとも、という分岐点に来ているような気がする。

     夜這いには若者への性教育という一面もあり、成人式の後には年上の異性をたずねて筆下ろし、水揚げするという風習もあった(フンドシ祝い、コシマキ祝い)。これによって実体験としての性を知ることができた。現在の知識偏重の性教育などは無意味だと著者は指摘している。
     民俗学の大家といわれる柳田国男が無視し続けたのがこの性習俗であって、柳田と後継者のそうした姿勢が一夫一婦制、処女童貞を崇拝する純潔、清純主義という「みせかけの理念」で日本人を振り回すことになったとかなり強い調子で指弾している。
     不特定多数との性交は衛生上良くないし、妊娠などのリスクはほとんどが女性に押し付けられるため、夜這いが完全無欠の風習だったわけではないのだが、それでもこれらの性習慣が担ってきたものも間違いなくあり、それを現代の感覚に添った形で補完するにはどのようにすべきか、よくよく考える必要があるのではなかろうか。

  • 興味深くもあったけれど、少し期待した内容と違ったかな。
    実に堂々と自身の経験や周囲で取り沙汰された性文化を臆することもなく書面にしている。普通、使うのに躊躇する性器の名称もまったく遠慮がない。やや、そうしたことが上品さを欠いて毒々しくもある。それは読書することのひとつの“道”みたいなものにはずれてくるような気もする。

  • かつて日本には夜這いの文化があった。でもそれ以上の情報は与えてくれない。昔の日本が性についてわりと開放的であったことは比較的知られているが、その理由やメリット・デメリットについてまであまり言及されておらず、「こういうことがあったって聞いたよ」というレベルの話をえんえんと繰り返すだけで説得力がない。もう少し目からウロコ的なものを期待していたのだけど、残念。

  • 2010.04.17.読了

  • 目から鱗とはこのことだ

  • 「夜這い」を文化の一つと捉え、学問としてまとめたのは凄いと思う。やっぱり民俗学はフィールドワークあってこそだとも痛感できる。民俗学に興味ある方にオススメ。

  • 夜這いって言葉は知っていて、なんとなくどんなものかは知っているけど、元々の「夜這い」って何だろうと不思議に思って読んだ一冊。娯楽と性教育を兼ねていた行為だったとはね。数十年前まで日本で行われていたのに全然私は知らなかった。日本の教育ってこういう所を隠しちゃってやだな。

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著者プロフィール

1909-2000。民俗学者。主著に『夜這いの民俗学』『差別の民俗学』など。

「2017年 『性・差別・民俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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