屋久島の環境民俗学 森の開発と神々の闘争

  • 明石書店 (1998年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784750310855

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  • 屋久島について人文科学的に考察した本。屋久島に住む人々や文化を、時代を遡って検証していく。私も数年前に屋久島に行ったことがあるが、屋久島と言われてイメージするのは島の中心にある巨大な縄文杉と世界遺産としての屋久島だろう。確かにその通りで、島の外側は観光客用のホテルや土産店、屋久杉ランドなどがあり、保護区画と市街地とその中間と明確に分かれている。しかし、世界遺産に登録されるまではどうだったのだろうか。本書によると、屋久島の生活はいつの時代も自然と関係しており、土地の特徴から作物は乏しく、屋久杉の加工や観光のための環境開発をしなければ生活できない状態にあったという。また、縄文杉の名前の由来である樹齢7200年も実際は2100年らしく、年齢と名前の一人歩きにより島外の人々に神聖化されているという。屋久島とは何なのか。島に根付く自然と文化はどうなっていくのか、考えさせられる一冊だった。

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著者プロフィール

1949年鹿児島県屋久島生まれ、高校卒業まで屋久島に居住。1978年九州大学大学院教育学研究科博士課程(文化人類学専攻)中退。1978年九州大学教育学部附属比較教育文化研究施設助手。1982年法政大学第一教養部助教授、教授を経て、2000年国際文化学部教授。2020年大阪大学博士(国際公共政策)、法政大学名誉教授。退職後屋久島に帰郷。
主著:『ロロ・キドルの箱──ジャワの性・神話・政治』(風響社、1993年)、『森の開発と神々の闘争──改訂増補版 屋久島の環境民俗学』(明石書店、2010年)、『インドネシアの土地紛争──言挙げする農民たち』(創成社新書、2011年)、編著『グローバリゼーションのなかの文化人類学案内』(明石書店、2003年)、訳書:ベネディクト・アンダーソン『言葉と権力──インドネシアの政治文化探求』(日本エディタースクール出版部、1995年)、アン・ローラ・ストーラー『プランテーションの社会史──デリ、1870–1979』(法政大学出版局、2007年)。

「2021年 『アブラヤシ農園開発と土地紛争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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