- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750311388
作品紹介・あらすじ
医療や福祉の対象として狭い領域に落し込めるのではなく“障害”を切り口とした社会システム総体の見直しへ。障害者自身の文化,自己決定権など多様な方法論で既存の言説に切り込む“障害学”宣言。
感想・レビュー・書評
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後半、聾文化宣言から始まり、障害が現代社会において障害と定義される理由、その価値観をどのように変えられるのか、変えるということの意味はどういうことなのか、というテーマが語られていて非常に興味深かった
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ルサンチマン:弱者から強者への批判、嫉妬など。これが障害者へ弱者の目線をもつ理由付となっている。一方、別の価値を想像することもある。
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当事者の方は石川准先生の障害者のアイデンティティについて読むとよいと思う。障害者として社会にあることは大変辛いことである。バリアフリーによって同化を促されたり、「障害者なのに頑張っている」を求められ、求めてしまい、過剰適応や過剰な代償行為に明け暮れてしまう危険性が指摘されている。内容は特に古いと感じるところはないが、つまり最近の障害学は勢いが無くなっているという点で残念だ。生存学で最近活躍されている立石真也先生の論文も読める。
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https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB20527875
「障害(disability)」を研究する分野は広い。特別支援教育や医療はもちろんのこと,
心理学,生理学,経済学,政治学など,様々な分野で研究が進められている。
そのなかでも,社会や文化に焦点を当てて研究を進めているのが,
「障害学(Disability Studies)」である。
社会一般では,残念ながら,障害=不適応や悪いもの,としての認識が広く認知されていることが多く,
障害そのものに原因を帰属する傾向が比較的強いかもしれない。
一方で,障害を受容できない社会システムにも課題があり,
結果として,不適応状態が生じていることも事実である。
その不適応がもとになって,社会一般の障害に対する
偏見・差別が生じていることも考慮すべき点である
(逆に,偏見・差別が社会的障壁を生じさせていることも事実であろう)。
つまり,障害特性への焦点化と同時に,社会システムのどの段階(領域)で
不適応が生じているのかを再考し,不適応を生じさせている社会的障壁の存在への焦点化も重要なのである。
紹介する2冊は,「障害学」への入門書として適切であり,障害に対する考え方(障害観)の発想の転換をもたらしてくれる。
様々な考えを通して,ぜひ,多様な価値観を認め合える社会人になってほしいと願い,これら2冊を紹介する。
(推薦者:人間発達文化学類 高橋 純一先生) -
第1章 障害学に向けて(長瀬修)
第2章 障害、テクノロジー、アイデンティティ(石川准)
第3章 自己決定する自立(立岩真也)
第4章 「障害」と出生前診断(玉井真理子)
第5章 優生思想の系譜(市野川容孝)
第6章 ろう文化と障害、障害者(森壮也)
第7章 聾教育における「障害」の構築(金澤貴之)
第8章 異形のパラドックス(倉本智明)
第9章 歴史は創られる(花田春兆)
第10章 障害学から見た精神障害(山田富秋) -
面白かったけど難しかった・・・社会学こわい・・・
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「障害」というもののとらえ方についてさまざまな角度から議論している本.先に断っておくと,誰にでもオススメというわけではない.この手のことに興味がある人なら読んでいて損はない.むしろ読んでいないといけないというくらいの本だと思う.ある概念について,それを取り巻く複数の対立しうる観念が存在したとする.中途半端な議論だと,その観念同士の対立が飲み屋での議論の枠を出ない.この本は飲み屋の議論の枠組みをひらりと飛び越えている.そういう意味でよい本だと思った.ただ,残念なのは対談のようなタイプの議論がなかったこと.きっとそれこそ飲み屋のように収拾がつかなくなるのだろう.
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出版から10年以上経った今でも読めるに値する本ではあるが、
結局は、学問かな。という印象だった。
実践として使えるかっていうと、そうではないというか・・・。 -
大学のときのゼミで扱った本です。
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安易な「同じ人間」論はかえって「平等」へ遠回りになってしまう