現代台湾を知るための60章 エリア・スタディーズ

  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750318226

作品紹介・あらすじ

日本にとって経済パートナーとしても重要な位置を占める台湾。「生きた情報」を基礎に,国際関係,政治,経済,文化といった多方面から台湾の最新の状況を伝える。日台の歴史を踏まえ,新たな関係を築いていきたいと考える人に最適の台湾入門書である。

感想・レビュー・書評

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  • 以下、概要。

    ○台湾の頭上をオランダや、スペイン、清、日本といった国々が通り過ぎていった。

    その中でもやはり一番影響を及ぼしたのが、日本。

    若い人から老人まで結構、親日。

    若い人はハローキティなどの製品から、日本式ラーメンやしゃぶしゃぶが親しまれている。ちなみにお好み焼きは台湾では「東京焼き」として親しまれている。(大阪人が聞いたら怒りそうだけど。)

    つまり、若い人は消費の対象としての親日。

    日本のサブカルチャーが好きなのさ。

    高齢者の人たちは植民地時代の郷愁からの親日。

    ○アジアNIESの中で「四小龍」と呼ばれる台湾・韓国・香港・シンガポールは1980年代から90年代のアジア経済をけん引してきた。

    韓国は日本の半分、台湾は九州サイズ、シンガポールは淡路島程度の国土しか持たない彼らはなぜ発展できたのか。

    国内の需要が小さく、原料にも乏しく、人的資本のみが頼り。

    そんな国々は、労働集約的な少数の製品に特化し、国際競争力をつけることで、世界市場で勝利をおさめた。

    日本・台湾・アメリカで三角貿易の構造をなしている。

    日本から資本材や中間原料を輸入、これを台湾で加工し、付加価値をつけ、アメリカへと輸出する。

    現在では、相手方ブランド(OEM)の関係、つまり台湾が日本ブランドでのハイテク製品製造を請け負う。

    台湾は現在、国民一人当たりのGNPが世界24位。

    先進国クラブのOECDにもオブザーバーとして参加。

    まぁゆくゆくはNIESを卒業して、OECDの仲間入りを果たせたらいいですな。

    ○ アジアのシリコンバレー、台湾。

    台湾はすでにIC産業において60の製品で世界生産高の半分を占め、うち15製品で世界シェア第一位を記録している。

    台湾のIT関連ハード製品の生産高は、アメリカ、日本、中国についで世界第4位。

    しかし、大陸中国ハイテク産業の場合、その多くが台湾企業の対中投資によるので、実質上の世界第3位。

    さらにここ5年間で、年平均10%弱の成長率を記録している。

    台湾は携帯市場でも好況である。

    韓国のN(ネット)世代たちと比べて、台湾の人たちは「E(Eメール)世代」と呼ばれる。

    台湾人はインターネットの利用形態として、Eメールが非常に多く、その数64%にもなる。

    もちろんアジアでは最高の率。

    さらに、台湾人の間でインターネットが普及したのは比較的新しく、4割の人々が利用歴1〜3年以内。

    台湾人は携帯を2台持つのは結構いるらしく、2002年に携帯電話の普及率が100%を超え、世界トップとなった。

    その普及速度はすさまじく、ここ4年間で14倍にもなる。

    普及の秘密は維持費。

    通話料は日本と同じながら、基本料金が安く、一人で複数の番号も持ちやすい。

    しかもPHSにいたっては、基本料金が無料であるため、人によっては、電話をかけるのに、PHS、受信には電波の安定した携帯という風に使い分けている。

    日本でもWILLCOMの台頭でそういう使い方をしてる人は結構いるよね。

    iモードも徐々に浸透しつつあるそうなり。

    ちなみに携帯電話は台湾では、「行動電話」と呼ばれる。

    電子政府としてのサービスも充実しており、台湾は世界118カ国の中でトップを誇るという調査報告もある。

    ○大陸と台湾の両者の規模は、人口比で台湾は大陸のわずか57分の1、GDPは3割ながら、一人当たりのGNPは逆に大陸の16倍というアンバランスさがある。

    まぁ中国は9億人もの農家がいて、その人たちはみんな貧乏だからねぇ。
    あの構造をどうにかしないと、中国もこれ以上の成長は難しいだろうな。

    ○僕の台湾人のイメージ(経験則)としては、

    「ギャンブル好きで、のんびり屋。」

    彼らは、くじなどのギャンブルや、マージャンなどの賭け事がとにかく好き。

    他国だったら、半年で売れるくじの販売量が、台湾だったら2週間で売切れてしまう。

    また、株式市場でも、資産がロトくじ購入に流れ、一時期は平均株価が一割もダウンしている。そんな国ないよ。

    それから、新宿プリンスホテルの近くでマージャンを昼間からあきもせずやっているのも台湾人。観光客だよ?まぁ見に行った僕もよっぽど暇人ですが。

    それから、台湾人の目からみると、自分たちは大陸の中国人よりもむしろ、日本人に近いという。

    だけど、東京ではあんまりおっとりしている人はいないかなぁ。昔の日本の影響を受けているから、おっとりしてるかもね。

    ○ 台湾の英語。

    台北(台湾の首都)や台南では、タクシーの運ちゃんから屋台の定員にいたるまで英会話の研修会を行っている。

    政府は、2007年までに公共案内から政府関連のインターネットサイトにいたるまで、全て英語が付記される予定。

    第2言語も、将来的には英語にするらしい。

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著者プロフィール

東京大学経済学部経済学科卒業。東京大学社会情報研究所に学ぶ。1995年朝日新聞・東亜日報共催戦後50周年記念懸賞論文「日韓交流・未来への提言」で最優秀賞を受賞。総務庁(当時)主催「第21回東南アジア青年の船」日本代表青年。『台湾事始め~ゆとりのくにのキーワード』出版など作家活動のほかラジオ出演や講演活動をおこなう。
「月刊モダネシア」編集長。
[主要著書]『中国東北事始め~ゆたかな大地のキーワード』(凱風社、2007年)、『台湾事始め~ゆとりのくにのキーワード』(凱風社、2006年)、『「アジアン」の世紀 新世代が創る越境文化』(中央公論新社、2004年)、『台湾に行こう!元気になろう!』(PHPエル新書、2004年)、『アジアのツボ 中国・香港・台湾・韓国』(共著、スリーエーネットワーク、2002年)、『熱・情・ソウルのキーワード』(凱風社、2002年)、『新しい台湾 いろいろ事始め』(凱風社、2001年)、『ソウルはもう、お隣気分』(大和出版、1999年)、『銀・粧・刀(ウンジャンド)』(JNPC、1998年)、『10(テン)ミニッツ・トリップ』(JNPC、1998年)、『ダブル』(ベネッセコーポレーション、1997年)、『大人へのメッセージ』(共著、高麗書林、1995年)ほか、韓国でも著書多数。

「2012年 『現代台湾を知るための60章【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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