エクアドルを知るための60章 (エリア・スタディーズ)

  • 明石書店 (2006年6月10日発売)
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本 ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784750323473

感想・レビュー・書評

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  •  エクアドルが私にとって特別な国なのは、私の作曲した楽曲が唯一、コンサートで演奏された国になったからだ。
     一般論を言うと我々日本人はエクアドルのことをよく知らない。せいぜいガラパゴス諸島やエクアドルのバナナについてちょっと知っている程度だろう。私もそうだった。
     16世紀にスペインに占領されたいきさつは他の南米諸国と共通で、もともとインカ帝国の領土だったペルーとエクアドルがなぜ二つに分かれたのか、私には謎だった。
     しかし、この本によるとエクアドルの教科書には、代々「インカ帝国が侵入し・・・」などと書かれているらしい。インカ帝国がキトあたりまで勢力を伸ばすより先に存在した文化が、エクアドル先住民のアイデンティティと見なされているようだ。
     隣接するペルーには何故か敵対意識があるらしく、20世紀のあいだも国境をめぐって紛争し続けた。
     2001年のデータで、先住民と白人の混血であるメスティソが全人口の77%、白人10%、先住民(インディヘナ)が7%、ムラート3%、黒人2%。アメリカ合衆国ほど多彩ではないが、いまだに「単一民族」を自称する輩が出てくる日本より複合的である。
     多彩さは土地の高度差・気候・海流、そしてそこに棲む生物の多用さに明らかであるようだ。自然が多彩なのは素晴らしい。
     海抜2850メートルもの高さにある首都キトは、そんな高いところに街があるなんて私たちには不思議な感覚であるが、赤道直下にしては涼しくて住みやすいのかもしれない。
     2004年のデータではインターネット利用者は全人口の1.5%くらい。農村部の開発がおそく、文化的な貧富の差が大きいようだ。
     他の南米諸国と同様、軍部が今でもつよく、ポピュリズム政治が大活躍するあたり、「近代化」が遅かった国の宿命なのだろうか?
     エクアドルの軍は一般ホテルの経営とか、いろいろ商業活動もしていて、国民からも概して好かれているとか。いろんな国があるものだ。
     音楽は民族音楽を展開するような方向で、ポピュラーミュージック寄りの音楽が主流のようだ。
     絵画に面白いのがたくさんある。グアヤサミンは表現主義的激烈さだが、私はなかなか好きだ。
    http://www.geocities.jp/artravel_777/web/okiniiri/guayasamin/guayasamin.html

  • 1〜7章・32〜58章まで読んだんだけど、図書館から”返さないともう本借りれなくなる”と言われ、泣く泣く返したの。

    エクアドル行く前までは全く読む気にならなかったのだけど、行ったら田邊さんや和田さんの章とかクエンカとかガラパゴスの章とか・・・

    面白くて勉強になるっていいな!

    また機会を見つけて残り読もーっと。

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著者プロフィール

神奈川大学外国語学部スペイン語学科准教授
専攻:ラテンアメリカ地域研究
【主要著書・訳書】
『ラテンアメリカ・オセアニア』(共著、ミネルヴァ書房、2012年)、『途上国石油産業の政治経済分析』(共著、岩波書店、2010年)、『現代アンデス諸国の政治変動――ガバナビリティの模索』(共著、明石書店、2009年)、『ラテンアメリカ世界のことばと文化』(共著、成文堂、2009年)、『ラテンアメリカ新一次産品輸出経済論』(共著、アジア経済研究所、2007年)、『ラテン・アメリカは警告する――「構造改革」日本の未来』(共著、新評論、2005年)、『グローバル化に抵抗するラテンアメリカの先住民族』(共著、現代企画室、2005年)、『ラテンアメリカ 政治と社会』(共著、新評論、2004年)、『ガラパゴスの呪い――入植者たちの歴史と悲劇』(訳書、図書出版社、1995年)など。

「2012年 『エクアドルを知るための60章【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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