自殺で遺された人たちのサポートガイド―苦しみを分かち合う癒やしの方法―

  • 明石書店
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本棚登録 : 31
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750326108

作品紹介・あらすじ

家族や恋人といった大切な人を自殺で喪った時、遺された人はどのようなことを経験するか。遺された人々が、互いに苦しみを分かち合って乗り越えようと生み出したサポートグループでの事例を紹介し、今もひとりで苦しむ人たちへメッセージを送る。

感想・レビュー・書評

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  • とても重い話題だが、自分の仕事をやっている以上は絶対に避けては通れない部分でもある。

    サポートグループの重要性・手紙を書くことの意味などなど参考になるところが多かった。そして特に親が自殺した時に子どもにどう伝えるか?の章が個人的には参考になった。

  • 専門書というよりは、
    専門家が書いた、
    多くの人へ伝えたい切実なメッセージで溢れる一冊。

    大切な存在を自殺で亡くし、
    終わらない感情の嵐の最中に在る人にはもちろん、
    特に精神科領域に携わる専門職なら、
    心理士や医師だけでなく、
    すべての人が一読する価値があると思う。
    支援のためにも、
    私達のためにも。



    ☆3つの理由は、
    人間の感情に普遍性を見るところと同じくらい、
    原本が生まれたアメリカの事情が影響されているため、
    日本人の感覚に若干のずれを感じる気がするから。

  • ありそうで、ない種類の本。 でも必要な本だと思いました。 自死によって家族を亡くした遺族にどう接すべきか悩んでいる人にも役に立つと思われます。

  • タイトルの通り、愛する人が自殺をし、取り残された人の苦しみと、その克服法について書かれています。
    私も、かつて敬愛していた人を自死により喪い、かなり時が経った今でもまだそのつらさを忘れられずにいるため、カウンセリングが進んでいるアメリカではどのような対応処置を行っているのかと読んでみました。

    本文中にもあるように、どうしても「サバイバー」と聞くと、自殺未遂を起こして生還した人というイメージを持ってしまいます。
    それはアメリカでも同じようですが、この本では自殺により遺された人たち を、そう称しているとのこと。
    日本語の「遺族」は重いからということで、たしかに遺族という言葉には、親族限定のようなニュアンスも感じます。

    突然の身近な人の死による喪失感。
    さらに、心の闇に気がつかなかったことへの後悔と罪悪感による心の傷。
    遺された人々は、みなその苦しい思いから抜け出せずにいます。
    それはつまり、PTSD(外傷後ストレス障害)とも診断されるとのことです。

    アメリカでは毎年3万件の自殺があり、一件の自殺につき、控えめに見積もっても6人から8人が強い影響を受けるため、少なくとも約25万人のアメリカ人が自殺のサバイバーになるということ。
    またそれは何年も引きずることになるため、自殺の影響に苦しむ人が何百万人もいるとの説明がありました。

    日本の自殺者数も、毎年3万件ほど。人口から比べると、アメリカよりもはるかに深刻な自殺大国です。
    自殺に「なぜ」「どうして」という理屈は、通用しないと述べられています。
    結局自殺に至るまでの理由は、個人個人異なる上に複雑に入り組んでおり、単純に割り出せないとのこと。
    やはりうつ病は大きな原因なっているようです。

    決して残された人たちのせいではない、自分を責めてはいけない、と、強くこの本では語りかけてきます。
    どうしても、「なぜ心の助けに気がつかなかったのか」「自殺を止められなかったのはなぜか」と、いつまでも自分を責め続けてしまうのが残された人々。
    自分のせいではないと言ってもらえることは、どれほど気持ちが楽になることでしょう。

    また、身近な人が自殺をしたことを、罪悪感と羞恥心と恐怖感から周りに打ち明けられずにいる人も大勢いるそうです。
    確かに、聞いた相手の反応を考えるのがおそろしく、なかなか告白できないもの。
    そうして遺族たちは、救われることなく自分で自分を追い詰めていくばかりなのです。

    遺された人々のほとんどが、その原因を知ろうとすることにやっきになるといいます。
    確かに、なぜ命を絶ったのか、今となっては本人から教えてもらえないまでも、なんとか原因を知りたいところ。
    ただ、自殺はきちんと他人が説明できるものではないし、そもそも原因が分かったところで、その人はもう戻ってこないため、早くその段階から抜け出せと著者は呼びかけています。

    残酷なようですが、ここから一歩踏み出さないことには、いつまでもその場にうずくまって悲しんでいるだけだという意見には、たしかに説得力があります。
    人に言えずに隠したままの気持ちも、「その感情はほぼ例外なく大勢のサバイバーが経験してきたことなので、臆さず言葉にしていくべきだ」と、立ち上がりを求めています。
    たしかに、ほかの人も同じ感情をもてあまして苦しんでいると思うだけで、自分は一人きりではないという安心が芽生えてくるものです。

    「悲しむことと愛することは違う」という一文が、心に残りました。
    死を悼むことが個人への愛の証明と勘違いしてはいけないとのことです。
    つい喪に服している時そのままにしていないと、故人への裏切りとならないかと考えがちですが、相手のことを悲しみだけでなく、喜びと共に思い出すべきだとする意見は、とても心強く感じました。

    自殺は、周囲の人々に、はかりしれないダメージを与えます。
    もしかすると、今後もっと身近な人が、そういった決着のつけ方をとるかもしれません。
    その時に耐えられる自信は、正直ありません。
    自殺をする人は、周りにまで気を配る余裕などもう無いとは思いますが、遺された愛する人々の人生が、自分の死によって変わってしまうことに気がついてくれるだけでも、自殺率は多少なりとも減りそうな気がします。

    ただ、自分を責め過ぎても詮無いことだし、喪失感にとらわれ過ぎて不幸になってはいけないと呼びかけ続けるこの本は、とても力強く、気持ちの転換ができそうです。
    なかなか簡単に決着がつかない、愛する人との別れ。
    そこに縛られ過ぎて、自分が塞ぎこんでいると、それだけで別の身近な人々が不幸になってしまうという負の連鎖も免れません。
    なんとか意識的に、前向きに生きる日々を取り戻すことが大事ですし、できる範囲でそうしたサポートを周りが行うのも有用だと感じました。

    読んでいろいろとクリアになった実りある本でしたが、遺族を「サバイバー」と呼ぶ表現は、全編を通じてどうしても慣れることができず、ずっと違和感を感じました。
    このあたりの研究が日本でも盛んになれば、日本人の感情によりしっくりくる言葉が出てくるかもしれません。
    それを期待しようと思います。

    フィクションですが、『ノルウェイの森』は、サバイバーたちの苦しみやもがき、絶望感がよく描写された小説だったなあと思い出しました。

  • 自殺で誰かを亡くした人が自分の人生を生きられるようにと、とにかくそれだけを考えて書かれた本。
    だから死なれた人には本当に必要な本だと思う。

    私は死ぬほう(というより「子供」)に感情移入してしまうから少し割り切れないものがあったけれど。
    自殺大国なのにこの手の本や試みがほとんどない日本の遅れが際立つ。

    詳しい感想⇒http://melancholidea.seesaa.net/article/64519792.html

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著者プロフィール

アン・スモーリン(Ann Smolin)は認定臨床ソーシャルワーカー(CSW)。「ウエストチェスター・ユダヤ人コミュニティサービス」の北ウエストチェスター支部責任者を務め、ニューヨーク都市圏で最古のサバイバーのサポートグループを5年前から運営している。ウィスコンシン大学と、ニューヨーク市立大学シティカレッジで学士課程を修了し、イェシヴァ大学でMSW〔ソーシャルワーク修士号〕を取得。アメリカ自殺予防学会会員。ウエストチェスター郡で個人開業している。

「2007年 『自殺で遺された人たち(サバイバー)のサポートガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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