フィンランドの理科教育

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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750326320

作品紹介・あらすじ

フィンランドの小中高校の理科の授業、カリキュラム・教科書、教員養成について学校現場での調査をもとに著す。生物と地理・化学・環境と自然などの授業分析を通して、フィンランドの教育の知識観・学習観・教員養成システムを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/50022

  • 日本では、小学生は「生活科」「理科」を行っているが、フィンランドでは小学校4年次まで「環境と自然の学習」で科学教育を行っている。

    「Luonnonkirja(自然教育)1」
    「森に行こう」というテーマから始まる。
    森に安全に行くための交通標識の意味や、観察に必要な道具、行動の注意、分類箱などが描かれている。
    続いて、図形の基本形を元に身近な植物の葉の形を捉える学習を行い、葉や果実、石、虫など色や形の違いを身近なものと比較し、分類の基本を森に出かけて自ら見つける形で学んでいく。
    次に、
    身近な岩石について学んだ後、私たちの生活に身近なものがどのような自然の材料で作られていくのかを分類を通して学んでいく。さらに水の三態と空気の性質を遊びの中から学んだ後、宇宙の学習に転じる。ここでは日本の中学2年程度の外惑星や内惑星の学習が登場する。
    その後、人の簡単な真価と人種の多様性が記述され、再びフィンランドの潤沢な動植物が紹介されている。
    教科書の配列通りに進めるか否かは教師に任されているが、1年生の段階でおよそここまで学ぶのである。
    私が読んでいる限りは、4年次までは生物が中心。物化は触る程度。5、6年生になって本格的に学び始める印象。

    5、6年生では、理科の授業時間数は日本の方が多いものの、物化に関しては日本もフィンランドも時間数は同じ。
    しかし内容は、5、6年生では、元素の化学記号を理解すること、物質の分離方法を身につけさせる。
    内容としては単純に教科書のページ数を比較しただけでも日本の2倍。
    全てを扱うわけではないこと、どこを選ぶかは教師の裁量だそう。

    学習指導要領には
    「持続的環境を大切にする視点で指導し、子どもたちに自然と人工的環境、自己と他者、人間の多様性、健康と病気について教え理解させるのがこの科目の目標である。」「生徒が持っている知識やスキル、体験から学習を始め、自分の環境や自分自身に関わる物事や、現象を見つけ探求させる。その体験学習から、生徒は自然や環境に親しめるようになるのである」
    教科書はWSOY社の生物分野を中心に紹介する。
    「Luonnonkirja(自然教育)1〜6」 この内容を初等教育6年間で実施することになっていた。実際の教育現場ではそれらを4年間に圧縮し、5年生から中学1年生のものを組み込んで指導していた。
    そのため2004年の学習指導要領改定にはその流れがつながった。

  • フィンランドの理科教育と日本の理科教育についての違い等について書かれた本。教育の方法について考えさせられる。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。協和発酵工業株式会社、公立中学校・高等学校教諭を経て、現在北海道大学大学院教授。教育学博士。専門は理科教育学、教育評価、解剖学(両棲類)。学ぶ意欲の測定と意欲を引き出す授業デザインを研究している。主要論文・著書に「学ぶ意欲を引き出す授業とは何か2——授業評価のフィードバックによる授業改善高等教育ジャーナル、Vol.14」、『学ぶ意欲の処方箋』(東洋館出版社、2002年)他がある。2003年日本理科教育学会賞受賞。趣味は、オーディオのほか、音楽(Classic, Jazz:見る・聴く)、車(元国内A級)。

「2007年 『フィンランドの理科教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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