元職員による徹底検証 相模原障害者殺傷事件――裁判の記録・被告との対話・関係者の証言

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  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750352015

作品紹介・あらすじ

2016年7月、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が犠牲となった事件から間もなく5年。同園の元職員で、社会思想史の研究者である著者が裁判傍聴記録、被告との接見記録、関係者の証言など膨大な資料から事件を検証し、我々自身の内にも常に存在する「根源悪」を直視する渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 元職員による徹底検証相模原障害者殺傷事件

    優生学、全否定はしないが、ネガティブな捉え方だよなとは思う。
    種の起源を書いたダーウィン、基本性差別主義者であり、人種差別主義者でもあるが、彼の従兄弟フランシスゴルトンと共に、優生学が発生した訳だが、
    ネガティブな差別主義者である、物事の捉え方は常に否定的である。

    ヒトラーは、基本ユダヤ人への恨みはなく、ただどんな経済政策をしても景気が良くならない、
    ならば金持ちから巻き上げよう、しかし、金持ちにも人権はあるし、多くの人に反感を買う可能性がある。
    ならば恨んでいるユダヤ人を狙う、
    その程度の感情であのホロコーストや障害者を虐殺したのではないか、と思うが。
    しかし、ヒトラーはいやらしい男だ、自殺するなんて。
    処刑された戦犯の遺灰は、遺族に渡すことなく房総沖に散布された。
    神格化を防ぐためだ。
    しかし、読み違いがあった気がする。
    ナチスは、ヒトラー個人への崇拝のためユダヤ人虐殺をSSナチス親衛隊や突撃部隊アインザッツグルッペンは行ったが、日本には戦犯個人に対しての崇拝で大東亜戦争を起こしたわけではない。
    あくまで世界恐慌を打破し、余剰気味の人工を減らし一国として成り立たせるため、やむを得ない状況だったと思う。

    ナチスと日本とでは状況が違うのだ。

    一部の人間、選民だけの世界は、とてもつまらない。
    どこかで行き詰まる。飽きてくる。
    価値観は多様。
    障害があっても、必要と思う人が1人でも居れば、社会には必要なのだ。
    多様ではあるが、どこかで皆一つにつながっている。
    人1人生きていくうち、繋がらないで生を終える人間はいない。

  • 検証の方法が、2つある。その2つが急に出てくる印象で、ちょっと読みにくい。裁判の記録や被告の知人等の証言など、事実をまとめたものを前半にして、後半は「法の外」のことや「陳腐な悪」の考察でまとめた方がいいのではないかな。
    筆者の頭の中が整理されないまま、その時思いついた流れのままに本になっている。「分かってもらおう」という風にして書いたのではないだろう。

    アーレントに興味を持ったきっかけになった。

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著者プロフィール

1965年山口県生まれ。専修大学講師(社会学・社会思想史)。博士(政治学)。津久井やまゆり園には2001年~05年に勤務。犠牲者19人の「生きた証」を記録する活動がNHK『ハートネットTV』(2016年12月6日放送)ほか、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌にて紹介される。主要著作に『移動する理論――ルカーチの思想』(御茶の水書房、2011年)、『開けられたパンドラの箱』(共著、創出版、2018年)などがある。
『批評理論と社会理論(叢書アレテイア14)』(共著、御茶の水書房)、『現代思想の海図』(共著、法律文化社、2014年)、「青い芝の会と〈否定的なるもの〉――〈語り得ぬもの〉からの問い」『危機からの脱出』(共著、御茶の水書房、2010年)、「津久井やまゆり園の悲劇――〈内なる優生思想〉に抗して」『現代思想』(第44巻第19号、2016年)、「戦後障害者運動と津久井やまゆり園――施設と地域の〈共生〉の諸相」『専修人文論集』(第103号、2018年)、「根源悪と人間の尊厳――アイヒマン裁判から考える相模原障害者殺傷事件」『専修人文論集』(第105号、2019年)、「法・正義・暴力――法と法外なもの」『社会科学年報』(第54号、2020年)、「津久井やまゆり園事件の『本質』はどこにあるか」『飢餓陣営』(第52号、2020年)ほか多数。

「2021年 『元職員による徹底検証 相模原障害者殺傷事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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