男尊女卑――法の歴史と今後

著者 :
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750352176

作品紹介・あらすじ

「男尊女卑」は、日本の歴史のなかで連綿とつづき、日本文化に根差していた「伝統」だったといえるのか? 「律令」「御成敗式目」「武家諸法度」「明治民法」「現行民法」など、古代・中世・近世・近現代の法を比較・検討し、男尊女卑の実体に迫り、今後を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 男尊女卑について古代から近現代の法を比較・検討し、今後の展望をまとめた一冊です。

  • 表紙に惹かれて読んだ本。表紙のイラストだけでも日本の時代ごとの男女の差が分かる。難しくて普段読む系統からすると専門外で難解なところも多かった。それでも度々表にまとめられて、私の浅い知識の中でも比較的理解できたんじゃないかと思えた。全部理解したとは言えないけれど楽しく読めた。
    仕事柄あらゆる世代(乳児から高齢者)の人の対応に当たるけれど、男尊女卑の考えが滲み出てる人っているんだよね。私が会った、そういう人って「昔は~」なんて言うけれど、この本読ませたい。日本の昔は男尊女卑の考えなんて無かったんだよ~って。

  • 東2法経図・6F開架:367.21A/N52d//K

  •  日本社会を覆う「男尊女卑」思想のルーツを、①財産相続と夫婦財産制、②婚姻・離婚の二つの観点から、古代から現代まで時系列に則して解説する。

     古代の日本には、男尊女卑的な考え方はなかった。八世紀ごろに中国の「律令」というシステムを日本でも導入することになり、男尊女卑的な考えが流入した。その考えは古代後半〜明治頃まで最も色濃く日本社会を覆ったが、第二次世界大戦後、GHQの意向により、男女平等的な思想へと半ば強引に転換することになった。
     ヨーロッパで男女平等に向けた動きが始まったのも同じ頃だが、その各国に比べ、現代の日本は大いに遅れを取っている。筆者はその一因として、日本が「クオータ制」を導入していないことを挙げる。
     「クオータ制」は、1978年に制定されたノルウェーの法が原型となっているシステムで、男女の平等を公的機関に強制するものだ(構成員の性別による比率が40:60以上の差にならないことを求める)。わたしはこのシステムについて全く知らなかった。今はLGBTQの人も多いので、単純に男女の比率を定めるころがどこまで有効な手段となるのかはわからない。けれど、OECD加盟国38ヵ国の中で「クオータ制」を採用していない国は、日本、アメリカ、ニュージーランド、トルコの四カ国のみであることをみると、なぜだろうという疑問が残る。

     現代社会の仕組みや課題を論じている新書というものをあまり読んだことがなく、勝手がわかっていないからかも知れないけれど、ちょっと不思議な本だった。「〜ではあるまいか」「〜と推測できる」などと断言しない形の文末が多かった点、ヨーロッパ各国と日本との比較の章で「このテーマは門外漢なので間違っているかも知れない」という注釈を入れている点、各時代の条文を「男尊女卑的」「男女平等的」と二分化して分析している点(わたしは個人的に、どんな問題であっても、二分化して比較したり論じたりすることに疑問を感じる)など、そこまで確固たる根拠や知識がなくても、本って書けちゃうもんなんだなあなどと生意気ながら感じたりもした。あとやっぱり、ジェンダーの観点で多様化を極める今日の世界で、社会的な平等化への可能性をクオータ制に見出すのは、なかなか難しい気がする。システムで「男女比」についていくら規定したところで、「男性」「女性」という性になんの違和感もなくすんなり当てはまる人ばかりではないから、その規定がどこまで機能するのかは甚だ疑問。

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著者プロフィール

1951年兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部史学科日本史学専攻卒業。日本古代史(家族史)専攻。大阪大学外国語学部、関西大学文学部、神戸学院大学人文学部などの非常勤講師を歴任。著書に『日本古代の王位継承と親族』(岩田書院)、『日本古代の家族・親族』(岩田書院)、『女性と穢れの歴史』(塙書房)、『女帝の古代史』(講談社現代新書)、『理系のための論理が伝わる文章術』(講談社ブルーバックス)などがある。

「2021年 『男尊女卑 法の歴史と今後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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