- 本 ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750357027
作品紹介・あらすじ
自らも発達障害の当事者であり、自助グループを運営する著者が、当事者間では一般的ながら、支援現場ではまだ浸透していない発達障害者の〈擬態〉について11名にインタビュー。当事者の「生きた声」と「発達障害者の内側から見た体験世界」をリアルに伝える。
感想・レビュー・書評
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快進撃の横道誠さんによる、いろいろな発達障害当事者へのインタビュー集。テーマは「擬態」。今年の初めに外国の方が書いた同じく「発達障害者の擬態」の本を読んだのを思い出したし、少しテーマは離れるけれど、平野啓一郎さんの「分人」という考え方も思い出した。脳を中心とした人間の神経系は、コンピュータのように一律ではないので、文化や社会は多数派に都合の良いように発達してきた側面がある。最近はダイバーシティとかいって、多様性にも目がむき出したけれど、まだまだポーズ、というか商売くささが感じられる。少しでも多くの人が、生きづらさを感じないで暮らせるような社会を目指すことが、今生きる自分の使命なのかな、と考えました。
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発達障害者のうち、(結果として)比較的学歴が高い人が多めのインタビュー集。インタビュー集と書いたが、インタビューしたものを一人の語りとしてまとめているので、インタビュアーの語りは注釈としてそれぞれに付されている。
私が、ASD近似者として強く共感したのが下記。長いが、引用する。書籍137ページより。
"「擬態」って発達障害でない人もしているんじゃないかなと思うところもあります。発達障害の「擬態」とそれ以外の「擬態」の境界は曖昧だと思います。あと、これもロック的な反抗心かもしれませんが、発達界隈には「擬態」の概念を知って、「これぞ私」と熱心に語っている人が多くて、引いちゃったんですよね。また、「HSP」とか「ギフテッド」もそうですけれど、「擬態」も特権意識をくすぐるかもしれないって思ってます。「擬態」は一定程度の知性がないとできないですよね。一定以上のメタ認知能力のある人だけが「擬態」できるはずです。ですから、「じぶんは『擬態』で苦労している」という言説が自慢げで苦手なんです。"
もっとこうすればいい、と言われたくないことに100%同意した著者が4ページ後に、「すふさんになにか創作してもらえたら良いのではと思っている」と言明するのもよく分からず、自分にとっては何かすっきりしない本だった。発達障害にまつわる生き方の記述にすっきりしないのではなく、著者にすっきりしないのが残念でした。カモフラージュという行為について、もう少し分析をくわえてほしかったかな……。 -
493.7
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編者も書いていたが、高学歴の人に偏りがあるのは確かに、と。ただし、当事者の歩みや感じていることを知ることには一定の意味があると思う。
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いかに、発達障がいを抱えている人が擬態して生活している様子がよくわかる。
これは、周囲からはわからない。社会をサバイブするために編み出されたのが擬態で、思っていることとは違う行動をできているのが結構すごいことぢゃないかと思ってしまった。
そして、登場する11人の方が人生を振り返って、どんなふうに頑張っていたのか、ここが特性だったなと振り返って分析しているのが定型発達より鋭い自己分析ができている気がする -
カモフラージュはかなり前から発達界隈で話題になっていて、最近ではカエル亭のイワクラと吉住の番組で風間くんのカモフラージュが取り上げられて話題になった。カモフラージュをどう定義するか、どこからがカモフラージュなのか難しい。「世間に合わせる」という点では、誰もがやっていておかしくない。そこにどれだけのしんどさや生きづらさが付き纏うのかという視点だろうか。
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【学内】
https://mol.medicalonline.jp/library/ebooks/detail/?id=11603
【学外】
https://mol-medicalonline-jp.iuhw.remotexs.co/library/ebooks/detail?id=11603
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