マチズモの人類史 家父長制から「新しい男性性」へ

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  • 本 ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750357102

作品紹介・あらすじ

男らしさとはつねに、歴史の産物にすぎない。革新的な歴史叙述で知られるフランスの歴史学者が旧石器時代からの歴史をたどりつつ、男性性がいかに構築されてきたかを時代ごとに検証。時代遅れの家父長制に訣別し、男性のフェミニズム参画を説く最重要書。

感想・レビュー・書評

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  • 女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > イヴァン・ジャブロンカ著  村上 良太 訳『マチズモの人類史――家父長制から「新しい男性性」へ』   ◆赤瀬智彦(明石書店編集部) | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
    https://wan.or.jp/article/show/11189

    男がフェミニズムに参加することが必要だ――イヴァン・ジャブロンカ著『マチズモの人類史』|じんぶん堂(2024.04.10)
    https://book.asahi.com/jinbun/article/15223503

    What Do Men Want? by Nina Power; A History of Masculinity by Ivan Jablonka – reviews | Society books | The Guardian
    https://www.theguardian.com/books/2022/feb/28/what-do-men-want-by-nina-power-a-history-of-masculinity-by-ivan-jablonka-reviews

    終了した催し
    イヴァン・ジャブロンカ 『私にはいなかった祖父母の歴史』を語る | 関西日仏学館 Institut français du Kansai(2019-06-27)
    https://www.institutfrancais.jp/kansai/agenda/jablonka/

    マチズモの人類史 - 株式会社 明石書店
    https://www.akashi.co.jp/book/b644154.html

  • いやー、分厚かったし堅い言葉も出てきたけど、読んでよかった。そしてほんとマチズモ終わらせたいねえ~
    本書はフランスの歴史学者が2019年に刊行したものが訳されて日本では2023年に発売された。男女の不公平が社会に軋轢と不幸を生み、それは男性優位の家父長制社会を覆すことだと語っている。今までのフェミニズム文脈やジェンダー学でも指摘されてきたことではあるけど、何が新しいかというと、じゃあ「男らしさ」とは何かを歴史的な観点から検証し、そこに生まれた男の支配の力学と病理を追求しているところだと思う
    「男らしく」が具体的にどんなことかを言われたことはないのに気がついたら「男らしさ」で身を染めている。こういった勇ましい男性性は生物学的なものではなく文化的な属性であり「ジェンダー」とされる男性性のひとつの種類である。
    この本の著者であるジャブロンカは男性性には複数あるが今まで問題となっているのは支配する男性性だとしている。この支配する男性性は女性だけではなく、支配する男性性以外の男性性を持つ男性をも制圧しており、幸せになれない男性も多いと指摘している。
    この支配する男性性こそが家父長制の岩盤となっているものであり、これが歴史を経て社会の産業構造や環境意識が変わったことによって維持できなくなっているという。こういった社会の変容に逆らうために様々な病理現象を起こしているのたと説いていた。現在本邦だけではなく他の海外の国でも一部家父長制をよしとする傾向をもつ政党や人物が力を持つなどしているが(右傾化もこのひとつだと思われる)、この説を読んでバックラッシュが激しくなっていることが理解できた。この本が本邦で刊行されたのは2023年だが訳者がウクライナやパレスチナでの戦争や虐殺もこの病理化のひとつだろうと述べている
    一番私がこの本のなかで感銘を受けたのは、自らも特権をもつ白人男性でアカデミアに身を置き、異性愛者として結婚して子どもがいる著者のイヴァン・ジャブロンカが男性たちへ向けたメッセージだった。
    『私は活動家ではないし、ダマスカスに赴く聖パウロのような伝導者でもないが、しかし、「いいやつ」になろうとしているのだ。』
    何か特別な大きな啓蒙活動をしたり志の高い聖人君子ではなくていい、ただ「いいやつ」にならないか?という著者からのメッセージは、男性だけではなく今まさに激化するトランスフォーブやいまだ終わり飲み得ないガザの虐殺など人権的な問題に共通するスタンスである。「いいやつ」になろうというのは気軽で気さくで思いやりを表出するにはぴったりで、このスタンスに出会えただけでも400ページ超えを読んだかいがあった

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/716598

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11580808

  • 出版社(明石書店)のページ
    https://www.akashi.co.jp/book/b644154.html
    内容紹介、目次、書評紹介

    前田健太郎による書評「朝日新聞」20240608
    https://digital.asahi.com/articles/DA3S15953783.html?iref=pc_ss_date_article

    小倉孝誠による書評「日本経済新聞」20240518
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD18B8B0Y4A410C2000000/

  • 非常に面白かった。フェミニズムについてはあまり理論を意識してこなかったので勉強になる。無意識に支配する男性性を学んでしまったところもあるのでそこは振る舞いを注意していきたい。

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著者プロフィール

フランスの歴史学者(ソルボンヌ・パリ・ノール大学)、作家。アラン・コルバンに学び、フランス革命後の孤児の実態や家族の病理の解明に取り組んできた。知識人向けのオンライン媒体「La Vie des Idées」の編集長もつとめる。著書に『私にはいなかった祖父母の歴史』(田所光男訳、名古屋大学出版会、2017年。アカデミー・フランセーズ・ギゾー賞、歴史書元老院賞、オーギュスタン・ティエリ賞受賞)、『歴史は現代文学である――社会科学のためのマニフェスト』(真野倫平訳、名古屋大学出版会、2018年)、『歴史家と少女殺人事件――レティシアの物語』(同上、2020年。メディシス賞、ル・モンド文学賞受賞)などがある。

「2024年 『マチズモの人類史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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