「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史

著者 :
  • 亜紀書房
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750511153

感想・レビュー・書評

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  • 2009~10年に行われた著者の講演のアンソロジー。中世から近代まで、思想史とくに儒教という切り口で日本史を読み解いている。

    印象的なのは近世と近代の連続を儒教思想という側面でみるところ。思想史ではこの連続性が近年いっそう強調されているような気がしている。しかし身分制の解体など社会の変化はあったわけで、思想的な連続面と社会的な断絶面の関係をどのように理解するかがポイントなのではないかという気がしている。

    もうひとつ印象的だったのは、日本でキリスト教を受容したのが、「儒教的な理想主義に憧れている人」だという指摘(p.30)。日本において、儒教は「一般教養」で、生活習慣や国の形態には影響を及ぼしていなかったという(27頁)。だから、文明開化で儒教からキリスト教にシフトしやすい。逆に仏教は日本の場合生活習慣に深く根ざしているから、明治になっても生き残る。

    たしか丑木幸男は、武士がキリスト教を受け入れたのは、倒幕によるアイデンティティ・クライシスによると説明していたような気がするのだけど、本書では違った説明になっていて、興味深かった。個人的には、この本の説明のほうがありそうな気はする。

  •  中学生のころは、歴史は真実だと思って疑わなかった。しかし、高校では、歴史についてただ覚えればいいのは今だけだ、なんて言われてた気がする。そして、30代半ばの今、近代史をもう一度見直してみようと思った。そしてこの本に出会った。
     日本の中だけではなく、東アジアの一部として捉えると、見方が変わってくる、なぜこのことに気付かなかったのだろう。著者の話がすべて真実とは思わなかったが、常識だと思っていたことがもう一度仮説に戻り、著者の提示した新たな仮説が真実のように思えてくる。いろいろなことを、自分なりに再考してみようと強く思った。

  • 東アジアという視野から日本を俯瞰すると,国家という枠組みでは捉えきれない地域的繋がりが見えてくる。
    本書は,その繋がりを各時代の政治・文化・経済など各分野からの事例を挙げながら述べている。近年の研究成果も織り交ぜているので,その点でも参考になる本。

  • 歴史を見る視点は、解釈によって大きく変わる。
    当たり前の事実ですが、小島先生には様々な事例からわかりやすく痛感させられました。
    一部の書評に幕末引用がありますが、この著書の日本史ポイントは室町時代です。
    しかし、足利義満以来の仕組みが21世紀も続いていると知れば決して遠い昔の話しではない気がします。


    政治的混迷の歴史は、日本では数百年前から日常茶飯事であった。
    今の政治状況にゴタゴタ言う方は一読をオススメします。

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著者プロフィール

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。

「2021年 『東アジアの尊厳概念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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