女吸血鬼カーミラ

  • 亜紀書房 (2015年1月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (180ページ) / ISBN・EAN: 9784750514246

作品紹介・あらすじ

少女ローラはオーストリアで、父と人里離れた城でしずかに暮らしている。ある日、突然暴走した馬車が城の前にやってきて横転し、中から気絶した美しい少女が運び出される。少女の母は、急ぎの旅の途中だからと、ローラを父に託し、自分たちの素性を探らないよう念を押して去ってゆく。

その日から少女と共に生活するようになったローラは少女に夢中になるが、いくつかの不思議な点があった。寝る時は部屋に鍵をかけ、部屋に他人が居ることを拒絶する。素性は家柄が良いことと名をカーミラということしか明かさない。たびたびローラを愛撫しながら愛を語るが、そのことばは生死に関わる謎めいた内容。起きてくるのは毎日正午過ぎで、食事はチョコレート1杯だけ。賛美歌に異常な嫌悪感を表す。

やがて、城周辺の村で異変が起きるようになる。何人かの女性が相次ぎ死亡し、熱病の流行が噂される。そして、いつしか、ローラ自身も体調の不良を訴えるようになる…

感想・レビュー・書評

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  • 吸血鬼物が好きで、ドラキュラにも影響が出てる作品らしいので読んでみた。
    少しホラー感があるけど、怖くないかわりに、なんだか妖艶な美しさがあって魅了された。
    でもドラキュラより先に書かれ、影響を与えた割には知名度低いし…

    エンディングなんてカーミラ滅ぼしてハイ終わりって、それでいいの?!カーミラに殺されたとおぼしきスピエルドルフ将軍の養娘は蘇っちゃうんじゃないの?
     カーミラだって最初から吸血鬼だったわけではなく、吸血鬼の犠牲者となったせいで彼女も吸血鬼・加害者になったのだと男爵が言ってるじゃないの。
    少し終わり方に納得がいかなかったし気になる…もう少しエンディングをしっかりして欲しいかなって思った。

  • 本の表紙に惹かれて読みました。
    妖艶な吸血鬼が印象的で終わり方は潔さを感じました。

  • 吸血鬼小説の傑作ということで手に取った。

    カーミラの母親として描かれているのは誰なのか、気になった。

  • 吸血鬼に関する小説を読みたかったので、カーミラ単体での出版は本書しか見つからなかったが、表紙に目を惹かれて購入を決断。見慣れないフォントだが行間も充分にあって読みやすかった。吸血鬼を題材にした小説としてはホラー色が強くなく、少々百合百合しい描写が散見されたが、かなり満足感を覚える内容だった。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 内容はガラスの仮面で知っていたけれど
    ちゃんとは読んだことがなかった作品。

    派手なシーンはないものの
    ひたひたと忍び寄るような怖さ、
    美しいからこその不気味さを感じられた。

    …亜弓さんのカーミラを知っちゃっていたから
    どうにも悪として見れなかったけど笑

  • ・カーミラは、朽ちかけた礼拝堂の墓に眠る美しい女吸血鬼です。百年以上も前に死んだカルンスタイン伯爵夫人が、恐ろしい魔物と化して人々を襲い生き血を吸うのですが、狙った相手に近づいて手中に収めるまでの過程が、恋のプロセスに似ているというのです。

  • 美しい装丁に惹かれた。ヴァンパイアものは漫画や映画に豊富だからこそか、実はこういう古典を読んだことがなかったりする。思いのほか心理学的だったり、新しい発見がある。「カーミラ」と聞くとつい姫川亜弓を思い出しちゃう、ってのが本音なんですけどね。

  • 古典ホラー。このくらい古典だと、刺激が穏やかで、ホラーの苦手な自分でも読める。
    オーストリアの古城に住む貴族、美しい自然、謎めいた美少女との友情。耽美的な雰囲気。
    造本的な観点。本文のフォントがあまり見慣れないものだった。何という名前なのだろう。繊細で古風な印象で、作品のイメージによく合う。

  • ブラムストーカーの吸血鬼ドラキュラに大きな影響を与えたといわれる吸血鬼ものの古典、といううたい文句にひかれて借りてみた本。
    訳者の方がお上品なのか、それとももともとの作者がそういう質の人だったのか、なんか会話の言葉使いとかが妙に読みにくい感じで、あまりどっぷり浸れる雰囲気ではありませんでしたが、途中から徐々に面白くなって最後の方はなかなか楽しめました。
    バンパイアハンターものとかみたいな派手な戦闘シーンなどもなく淡々と進む分、微妙に怖さが引き立つという意味では、私があまり読んだことのない感じだったのも、ちょっと印象深かったかもしれない。
    レ・ファニュ、エドガー・アラン・ポーと並び称される短編の名手、とのこと、ですが。。。どうだろう。

  • カーミラというタイトルから、血まみれのホラーを予想していたが、良い意味で予想を裏切られた。

  • 装丁、フォントといい、雰囲気のある本。
    19世紀に書かれたこの物語は、日本でずいぶん昔に翻訳されて以来、実に57年ぶりに新訳されたのだとか。
    一度は読んでみたいと思っていた本だったので嬉しい。
    (本屋でみつけたときには、見間違いかと二度見したほど)
    肝心な内容の方は、19世紀ヨーロッパの人々は、こんなのが怖かったのかしら?程度のホラー感。
    しかし怖くないかわりに、なんだか妖艶な美しさがどことなく漂っているので良し。
    こういう怪しい美って人を惹きつけるよねー。
    レ・ファニュの他の作品も気になるところ。

  • 言わずと知れた吸血鬼カーミラの新訳です。
    吸血鬼ドラキュラにも影響を与えた名作であり、多くの点で個性が光ります。
    物語は日記調で進み、吸血鬼との掛け合いがまるで少女同士の同性愛のようです。
    しかし、王道の起承転結に則っているため、個性的でありながら古典小説でもあるのです。
    1872年に世に出された「Carmilla」は100年以上経った今でも不朽の、まるで吸血鬼のような一冊です。

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著者プロフィール

東京都生まれ。青山学院大学卒。翻訳家・エッセイスト。訳書に『わし姫物語』(集英社)『女吸血鬼カーミラ』(亜紀書房)他多数。著書に『チップス先生の贈り物・英文学ゆかりの地を訪ねて』(春風社)、編著に『人魚』(シリーズ紙礫3)(皓星社)など。

「2018年 『クロード・モネ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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