言葉の贈り物

著者 :
  • 亜紀書房
4.02
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本棚登録 : 373
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514901

作品紹介・あらすじ

困難を抱えるすべてのひとへ捧げる、24の“言葉の守り札”。

仕事、人生、痛み、喪失、読むことと書くこと、亡き者たちと共に生きること。
日々の営みをめぐって批評家・随想家が紡ぐ、最新書き下ろしエッセイ集!

「どんなに相手を大切に思っても私たちは、いつか別れを経験しなくてはならない。
誰かを愛することは別れを育むことでもある」
読めなくなってもなお本を買い続けた父、自分を厳しく叱った元上司、
思いを言葉にすること、書けない時間を愛しむこと。
本当にだいじなことをそっと語り出す24の「言葉の贈り物」。


ある時期まで、人生は問うだけの厳しい教師のように思われた。
しかし、今は少し違う。分からない、と正直に思いさえすれば、人生は微かな光を照らし出してくれるようにも感じられる。
そして光は、無音の声でこう語りかけるのである。
あまり速く 歩いてはならない。大事なものを見過ごすことになる。
お前が失敗と呼ぶ出来事のなかに人生からの呼びかけが含まれているのを、見過ごすことになる。
(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 言葉というものが教えてくれる癒しの力を感じられる本。
    それには言語としての言葉だけでなく、他に対する願いや祈りのようなものも含まれる。

    こんな言葉を他人に対して使えるような人間でありたいなと思いました。

  • りまのさんが評価が5だったのを見てよんでみました。
    今の生活にも響くし、毎日少しずつ音読して読むようにしました。
    音読することで文からより言葉になっていくようで、大切に読める気がします。

  • こんな質感を持って心をえぐる言葉に触れられることで、
    自分の中の眠っていたコトバが刺激されてきそうだ。

  • 言葉には触れられない
    見ることはできても なぞることしかできない

    なのに形があるようでないから
    簡単に心に触れてしまう

    触れたら 痛みになって
    温もりにさえもなって
    一つの風景でさえ あって

    言葉というものは 一つの星のようだと 思った
    命のようだと 思った

    一つの勇気に変えて 歩いていく
    一つの未来を描いて 生きていく

    その軌跡を 私も 知っていた

    同じ場所で 言葉を見ている人に 会ったことはある
    近づきたいと思った人もいて
    今も追いかけている人も いる
    でも 出会ったこともない そんな人が
    同じ空の下にいるだけで なんだか 勇気をもらえるような 気がした

  • あたたかい言葉が詰まっていた。図書館で借りて読んだけど、改めて購入しました。

  • 購入は数年前のクリスマス。妻へのプレゼントとあわせて自分用に…。
    各章で紹介されている書籍が、参加している古典読書会とも一部かぶるものがあり、興味深かった。

    なお、あとがきに書かれた若松さんの文章書き体験の話につよく共感した。案外、スタートはそんなところにあるのかもしれない。まず心の赴くままにかいてみよ。

  •  人間の偉大さとは、つねに、人間が自分の生を再創造することである。自分に与えられているものをつくり直すこと。自分が仕方なく受け取っているものをも、きたえ直すこと。労働を通じて人間は、自分の自然的な生をつくり出す。(「労働の神秘」『重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイヌ著、田辺保訳)(p.34)

     読むとは、書物という畑から言葉を摘み、食することである。比喩ではない。だから、同じ書物を読んでもそこから得るものは当然違ってくる。私たちは同じ食物を食べても同様にそこから栄養を受け取っているわけではない。またくり返し読むとは、書物という畑に何度も鍬を入れ、耕すのにも似ている。(p.51)

     ある人が、こういう色を染めたいと思って、この草木とこの草木をかけ合わせてみたが、その色にならなかった。本にかいてあるとおりにしたのに、という。
     私は順序が逆だと思う。草木がすでに抱いている色を私たちはいただくのであるから、どんな色が出るか、それは草木まかせである。ただ、私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである。(p.95)

     民藝の精神において、もっとも重要なのは、創造という行為から離れることである。人は、人の力だけでは何も作り出すことはできない。その認識を深めることが民藝の作り手たる者に求められている自覚であり、誇りだった。志村は、色を「出す」、色を「作る」とは、いわない。つねに「色をいただく」という。(p.96)

     信じようとするのは、人間の努力である。努力にはいつか限界がある。一方、信じられていることに気が付くのは発見である。それは人間が造るものではなく、与えられるものなのではないだろうか。(p.123)

  • リルケ、内村鑑三、神谷美恵子。

    若松さんの著書を読むと読みたい本が増える。

    時間をかけてコトバが生まれてくるのを待つ。
    読むことと同じくらい、書くことは大切。

    哲学、思想、文学、宗教、生き方。
    どんなジャンルに分類されるのかわからないけど、若松さんのコトバはいつもモヤモヤを少し晴らしてくれ、肩をポンポンと叩いてくれる。

  • 言葉を軽く扱いすぎる、自分の言葉に責任を持たなさすぎる、と感じることが多い昨今、言葉を大事にしていく大切さをしみじみ感じる。
    それでいて、言葉で語られない、語り得ないことの重要さを常に発しておられる若松さんに、これからも書物を通してついて行きたい。

  • コメント
    「言葉の贈り物」のエッセイ集。
    思いを言葉にする事について、考えてみませんか?

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/599751

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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