暗い時代の人々

著者 :
  • 亜紀書房
3.92
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本棚登録 : 145
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514994

作品紹介・あらすじ

大正末から戦争に向かうあの「暗い時代」を、翔けるように生きた9つの生の軌跡を、評伝の名手が描き出す!

〈満州事変勃発から太平洋戦争終結にいたるまでの、あの「暗い時代」。その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろうか。この本の中でわたしが書いたのは、最も精神の抑圧された、1930年から45年の「暗い時代」に、「精神の自由」を掲げて戦った人々のことである〉(本書まえがきより)

半藤一利さん、中島岳志さん絶賛!!

「ここに描かれている人々は、昭和史の悲劇の中でかがやくほのかな光である。本書は、困難な時代を生きる私たちを照らす灯火となることだろう」(半藤一利)

「時代に毅然と立ち向かった人たちは、いかなる人生を歩んだのか。危うい現代を生きるための必読書!」(中島岳志)

【目次】
第1章 斎藤隆夫 リベラルな保守主義者
第2章 山川菊栄 戦時中、鶉の卵を売って節は売らず
第3章 山本宣治 人生は短く、科学は長い
第4章 竹久夢二 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
第5章 九津見房子 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリスト
第6章 斎藤雷太郎と立野正一 「土曜日」の人々と京都の喫茶店フランソア
第7章 古在由重 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
第8章 西村伊作 終生のわがまま者にしてリベルタン

感想・レビュー・書評

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  • 森まゆみ
    日本版 「 暗い時代の人々 」


    国家の暴力と戦ったリベラルな保守系政治家、社会主義の女性活動家、在野の哲学者らの話。彼らの生き方、国家への発言が 暗い時代の一筋の光となっている

    彼らの共通点は、暴力を用いていない、多くの仲間がいること。軍部暴走や治安維持法によるファシズムを本気で止めようとしていたことがわかる。

    特に 印象に残ったのは 哲学者 古在由重 の言葉「一切の人間性に対する抑圧が〜日本のいたるところに満ち溢れている。わが日本はその幻想においては神国、その現実においては牢獄にほかならぬ」





    戦争への反省
    斎藤隆夫「われわれは過去においてあまりにも弱かった〜われわれの力によって軍国主義を打破できず、ポツダム宣言により初めて打破された」

    山川菊栄「あのころの日本は〜国全体が牢獄のようだった〜安全に暮らすには見ざる、聞かざる、言わざる〜太平洋戦争を防ぐだけの民主的勢力を育てることができなかった」


    斎藤隆夫「戦争は 国家間の生存競争に過ぎない〜聖戦の美名に隠れて実行されたのは 弱肉強食の修羅場〜美名で包み込み現実の矛盾を覆い隠すことが国を滅ぼす悲劇を招く」



  • 良い本だった。頭が下がるところも多く。森さんのスタンスも好き。

  •  正直、名前も知らなかった人が半分くらい。斎藤隆夫や西村伊作のように、すでに評伝を読んでいた人は僅か。
     それにしても、これらの人たちの人生を、一つの本の中で読むと。きっと一人で立つことを目指すべきだと感じる。
     それにしても、反対・阻止だけで語る目標は、未来を運んでこないという指摘は、暗い時代の人々の姿を知ったあとだけに重い。

  • ハンナ・アレントと同タイトルの著作で興味深く拝読しました。九津見房子と西村伊作はあまり知らなかったので勉強になりました。が、記述が総花的で人物紹介の域を出ていないのが残念でした。暗い時代の権力構造に、転向せずどのように、どんな意思を持って抵抗したかにもっと絞りこんでほしかったです。

  • 3.8

  • 森さんならでは。
    現在の状況が大正時代と同じ、と言われ、嫌な時代だな、と思う。繰り返し、大逆事件のことが出てくる。
    怖い世の中だと認識しなければ。

  • 昭和の「暗い時代」に抵抗した人物(斎藤隆夫、山川菊栄、山本宣治、竹久夢二、久津美房子、斎藤雷太郎、立野正一、古在由重、西村伊作)を取り上げて紹介している。それほど名前を知られていない人も多く、はじめての読者にとっては有益だろう。校正が不十分な箇所がいくつか見受けられたのは残念。例えば、ソ連崩壊の年を1993年としている箇所が2箇所など。

  • 今だからこそ、の一冊。

    自分なりにモヤモヤしていた現在の社会状況について、まえがきですっきり言葉に表されていて、頷く。

  • 図書館から借りて2017/07/10に読了。
    雑誌「谷根千」の編集者であった森まゆみさんが、敢えてハンナ・アーレントの著作と同じタイトルを付けて出したこの本は、いま、この時代に書かざるを得なかった心情に溢れている。八つの章を使い、九人の人たちを描いており、中には九津見房子や斎藤雷太郎・立野正一のように、私は初めて名前を知る人たちもあり、私にしては珍しく速読せず、じっくりと読み進んだ。
    わかりやすい文章ではあるが、大正デモクラシー前後の知識がないと著者の意図を汲みきれないところがあるかもしれない。しかし、日本の「暗い時代」はどんなものであったのか、その中でも権力におもねることなく自分を貫き通した(聖人君子ではない)人たちがいたことを、特に若い人たちに知ってもらうには最適な本だと思う。好著であることは間違いない。

  • 朝日新聞 書評 2017年7月9日 立野純二

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著者プロフィール

1954年生まれ。中学生の時に大杉栄や伊藤野枝、林芙美子を知り、アナキズムに関心を持つ。大学卒業後、PR会社、出版社を経て、84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記録を記憶に替えてきた。
その中から『谷中スケッチブック』『不思議の町 根津』(ちくま文庫)が生まれ、その後『鷗外の坂』(中公文庫、芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』(集英社文庫)、『「青鞜」の冒険』(集英社文庫、紫式部文学賞受賞)、『暗い時代の人々』『谷根千のイロハ』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮文庫)などを送り出している。
近著に『海恋紀行』(産業編集センター)、『路上のポルトレ』(羽鳥書店)、『しごと放浪記』(集英社インターナショナル)がある。

「2021年 『聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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