- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750515106
作品紹介・あらすじ
世界最高峰の舞台、UFCを産み落とした「禁断の果実」。
歴史的一戦の裏側に迫る米国発のノンフィクション!!
なぜ、アリはレスラーと戦ったのか?
なぜ、米国マット界は団結したのか?
なぜ、シュートマッチになったのか?
なぜ、猪木は勝てなかったのか?
なぜ、MMAはその後繁栄したのか?
柳澤健氏推薦!!
「1976年のモハメド・アリ」とも言うべき作品だと思う。
感想・レビュー・書評
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「総合格闘技の源流」と称される伝説の異種格闘技戦。
1976年6月26日。
日本武道館。
モハメド・アリ対アントニオ猪木。
現役のプロボクシング世界ヘビー級チャンピオンと、新日本プロレスのトップレスラーNWF世界ヘビー級チャンピオンとの対決は、15回フルラウンドのドローに終わる。
「世紀の凡戦」--当時のマスコミは酷評した。
アリが一発パンチを入れることができれば、そこで試合は終わる。
猪木が関節を一本取れば、そこで試合は終わる。
がんじがらめのルールの中、猪木は仰向けの状態から、アリの両足へキックを叩き込み続ける。
「立って来い! 臆病者! お前はガールだ!」
ボクサーが受けることのないキックに耐え、アリは猪木を挑発し続けて、そのキックに耐え続ける。
ボクシングの歴史。
プロレスリングの歴史。
格闘技の歴史。
アメリカの総合格闘技ジャーナリストによる、世紀の一戦に迫っていく一書。
ただひとつ残念なのは、アントニオ猪木の証言が得られていないことだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モハメド・アリVSアントニオ猪木の試合は当時は酷評されたが、総合格闘技の隆盛や観客側の格闘技観の成熟と共に徐々に再評価され始め、今では意義のある試合だったとみる向きもある…日本では。
ではアメリカではどうだったのか、という疑問に応えてくれるのが本書。
アリ対猪木戦を点として、そこまでの線をボクシング側とプロレス側両方から追ってるのが興味深かった。
結論から言うと、アントニオ猪木という人の評価をどう見るかでこの試合の評価も分かれるのではないだろうか。
著者はスポーツライターであるから、猪木へ一定の評価はしているが、猪木が纏う日本的な情念や哀愁までは理解し切れないのは当然であるし、評価も辛くなるのだろうなぁという印象。
アリという人物への興味を掻き立てる内容で、猪木戦以外にキンシャサのフォアマン戦やマニラのフレージャー戦を観たくなった。 -
久しぶりに読みごたえのある本だった。バスルッテンの序文から柳澤健の解説の終わりの一行まで一気に読み続けてしまった。ありがとうございました。
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面白かった
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「猪木対アリ」ではなく、「アリ対猪木」。つまり、これはあの一戦をアメリカ側から見た一冊なのだ。
著者はMMA(総合格闘技)の草分け的ジャーナリストで、プロレスの世界の住人ではない。この立場から書く場合、プロレスを上から見下す視点になりがちなところなのだが、この著者は極めて客観的に綴っている。
まず、この一戦に触れる前に、アメリカのボクシング史、力道山に始まる日本のプロレス史、そしてこの2人の格闘家誕生の経緯を、丹念に描いている。この部分を読むだけで、著者がかなり優秀なジャーナリストであることが容易に見て取れる。
この本の最大の読みどころは、アメリカ側の試合の実況を引用しつつ、この一戦に対するアメリカ側の認識が、ラウンドが進むにつれて変わっていったことをつぶさに描いた点だろう。これは、日本では書けない視点だ。著者自身も、この一戦には懐疑的な思いを持っていたであろうが、丁寧な取材に裏打ちされた確信を持って、最後はこの両者にリスペクトを抱くに至っているのがよく分かる。
ところが、である。本書の解説を書いている柳澤健。『1976年のアントニオ猪木』という本でデビュー以来、プロレスに関する本をいくつか出していて、ワタシも『1976年の…』は読んだ。が、これがいけない。この本が出た当時は、長らく触れられていなかったプロレスに関するタブーが、内部告発も含めて世に出始めた頃で、氏のこの本は「ここまで書いていいんなら、自分も出しちゃえ」という軽薄なノリで出しているようにしかワタシには思えなかった。当然のことながら、取材対象であるプロレスに対する視線は上からで、リスペクトは全く感じられなかった。プロレスをこき下ろすこと自体はワタシも抵抗はない(それはそれで面白い)が、もしそうしたいのならもっと正々堂々とやるべきだろう、というのが当時のワタシの感想だ。そして、どうやら、氏のそうした姿勢は今も変わっていないようだ。自分の著作になぞらえて、本書の帯の惹句に「『1976年のモハメド・アリ』とも言うべき作品だと思う」と寄せている。おこがましいにもほどがある。 -
20181010