そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

  • 亜紀書房
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750515441

作品紹介・あらすじ

バージョンアップせよ、これが左派の最新型だ!

日本のリベラル・左派の躓きの石は、「経済」という下部構造の忘却にあった!
アイデンティティ政治を超えて、「経済にデモクラシーを」求めよう。

左派の最優先課題は「経済」である。

「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」
欧州の左派がいまこの前提条件を確立するために動いているのは、経世済民という政治のベーシックに戻り、豊かだったはずの時代の分け前に預かれなかった人々と共に立つことが、トランプや極右政党台頭の時代に対する左派からのたった一つの有効なアンサーであると確信するからだ。
ならば経済のデモクラシー度が欧州国と比べても非常に低い日本には、こうした左派の「気づき」がより切実に必要なはずだ。(ブレイディみかこ/本書より)

感想・レビュー・書評

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  • 経済、つまりどうやって食べていくか、がまず大事なことなのだということを考えさせてくれる。グラスルーツとか地べたというけどさ、理念うんぬんよりもまず食べていく不安をどうするのか。ナチスが支持率では決して高いわけじゃなかったにもかかわらず、強くなったのは、食べていくことへの不安になんとかしてくれるという信頼を勝ち得たからだ、という。そしてそれは現代においても、見られる話でね。

    右とか左とかわかんないけど、面白かったな。自分が右か左かなんて、わかんないし、どうでもいい。ただ、生活していかなくてはいけない以上、いろいろ考えることは必要だよな。

    ふだん見過ごされているような人たちに対して、何を求めているのかを聞いていくことが出発点になるんだ、というのは政治にかぎらず、あらゆる仕事、社会的な存在にとって必要なことだと思った。日本企業の凋落なんて、消費者は何を求めているのか、そこを忘れたからだよね、なんてさ。もちろん、自分自身にも言える話かもしんないんだけど。

  • 超面白い。
    流行った消費社会論が経済の方向に行かずにアイデンティティ論に終始したというのは本当にその通りだと思う。
    まだわからない部分が大きいけども、経済に興味が出てきた。

  • 勉強になった!!!

  • 左派が語るべき経済のあり方を学ぼうとすると期待外れ。そういう話題になると不思議と話がそれて、断片的にしか把握できない。対談本に書いてする必要があったかなーとも思う。対談をもとにもうすこしまとまりのある構成をとれたのではないか。反緊縮ってとこやケインズ的に需要を作り出すべきってあたりかな、せいぜい把握できたのは。需要が不足していたというのはアベノミクスによろしくという本でも学んでいたため、すとんと腹に落ちた。
    左派が経済を語る必要性を啓蒙するための本としては、優れている。左派思想史としても鋭い分析が随所にある見られ、目を開かされる。過去の左派の思想へのツッコミは的確だし、新たな時代の左派像にも共感する。
    地に足つけて金の話をしようや、という当たり前のことに改めて気づかせてくれる良書。

  • 「コービノミクスは単なる社会保障充実政策ではないのです。取り残されている人びとがいないように、みんなで一緒に健康的に成長しましょう、っていう経済政策なのです。でも景気が悪化して雇用が減ると再分配は社会保障的なものになってしまう。労働者たちはそれは望んでないと思います」(p.95)

    「つまり、「緊縮/反緊縮」の対立というのは、基本的には借金問題をどう考えるのか——国の借金は国民の生活を犠牲にしてでも返さなくてはいけないのか? 財政均衡をするために人を殺していくのか?——ということなんです」(p.108)

    「「明確になったのは、経済成長していない国に借金を減らすことはできないということだ。それは機能しない。忘れてはならないのは、ドイツとフランスは一九四五年に巨額の債務を抱えていたが、どちらも完済していないということだ。そしていま、この二国がヨーロッパ南部の国々に借金を返せと言っている。これは歴史の健忘症だ!」」(p.109)

    「成熟社会派の人とというのは、貨幣から自由であるように見えるけど、わたしにはものすごく貨幣にとらわれているように見えます。まさしく貨幣にのみ込まれて、流動性の罠にはまりきっちゃっいるんじゃないでしょうか」(p.277)

  • 《借金を踏み倒せ!》という章にもあるように、根本的に将来世代のことを考えていない全く持ってダメなタイプの本。本書では入念に議論が重ねられた「財政出動」を結局再評価するというスタンスを取っており、左派の書物としては面白いが、主義主張としては甘受し難い。もう少し学術的な内容かと思って期待した読んだ私が馬鹿だった。「取り残されている人びとがいないように、みんなで一緒に健康的に成長しましょう」という観点からコービノミクスを評価しているが、そんな平均化された成長がダメだったことは中国やロシアの共産主義のゆく果てを見れば明らかではないか。

    この本は、要するに自分たちの言葉が何から発されたものであるのか、という観点からの厳粛さがない。本書の「借金なんか踏み倒せ!」という観点から国債を発行することを推奨し、財政出動へと持っていこうとする提言は、自分のいる文化的な土壌や、読んだ書物の数々に対するリスペクトに欠けた、空虚なものに聞こえる。これでは、知識人としての尊厳はかけらもない。左派がこれでは、もはや貨幣は信頼できない。ビットコインなどの実体のない仮想通貨に、人々がすがりつく理由がよくわかる。

    みんなで成長することはできないから、成長できる人から順番に成長しましょうという、鄧小平の方がずっとまともなことを言っている。少なくとも私はそう感じる。

    知識人が返す当てのない借金を始めたら、要注意だということがよくわかる。とりわけ私のような奨学金債務者にとって、借金なんか踏み倒せ! なんてのは、債務のない自由な立ち位置を与えられた彼らにしかできない、羨むべきものだった。

    ただし、本稿にて触れられているブレイディみかこの指摘は興味深いものがある。例えば、「EU離脱の投票で離脱派に投票した人たちは、現状をなんとかしなくてはいけないと思っていたが、決して排他的ではなかった」という点など。話者が各々の専門領域について語っている内容は面白く読める。北田さんは社会学についてはやはり詳しいし、松尾さんもマルクス経済学の人としてみると面白い発言もある。内容は全体としては同意できないけれども。

  • 反緊縮派・マルクス経済学者、松尾匡の対談本

  • 左派による左派を批判する本になります

  • 左派が経済政策を訴えてこなかった現状を理解する上で、とても参考になった。

  •  経済が重要だということはわかった。ヨーロッパの現況もわかった。
     だが、レフト1.0だとか2.0だとかはどうでもいい。オタクの言葉遊びだ。

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著者プロフィール

ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年、『子どもたちの階級闘争ーーブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞受賞。2018年、同作で第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回Yahoo! ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)受賞。著書は他に、『ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)など多数。

「2020年 『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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