フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり)

  • 亜紀書房 (2018年9月27日発売)
4.16
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感想 : 154
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本 ・本 (488ページ) / ISBN・EAN: 9784750515649

作品紹介・あらすじ

痛くて、おかしくて、悲しくて、愛しい。



50人のドラマが、あやとりのように絡まり合う。

韓国文学をリードする若手作家による、めくるめく連作短編小説集。



ものがたりの楽しさに満ちた、韓国小説の新シリーズ創刊!

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。
    著者があとがきに書いていますが、
    「主人公がいないと同時に、誰もが主人公である物語」
    と言う、変わった作品。
    50人全員が主人公で、一人ひとりのストーリーは数ページと、ごく短い。
    でも、みんなどこかですれ違っていて、読み進めていくと、
    あれ?この人はあの時の?
    さっき登場した人かな?
    と、あちこちに顔を出す。
    そんな発見も楽しい。

    舞台は韓国の首都圏のどこか、という設定です。
    日本との文化のちがい、社会問題なども、ごく普通の町の人々の生活から知ることができ、興味深かったです。

    • aoi-soraさん
      私も順番待ちだったけど、そんなに多くなかったよ(^^)v
      なおなおさんも是非〜♪

      でもね、読み終えるのに結構時間かかったよ。私はね(^.^...
      私も順番待ちだったけど、そんなに多くなかったよ(^^)v
      なおなおさんも是非〜♪

      でもね、読み終えるのに結構時間かかったよ。私はね(^.^;
      あれ?
      この人、どこに出てきたっけ?
      あ、これ、あの人だったのかー!
      とか、確かめたくて、前のページに戻って確認してたから(笑)
      あーもー、記憶力っ>⁠.⁠<
      2022/12/11
    • なおなおさん
      あおいさん

      なるほどー。
      あの人誰?この人いたっけ?どこにいた?…ってありますよね。
      あと韓国の小説は人物の名前が覚えられなくて。
      私も言...
      あおいさん

      なるほどー。
      あの人誰?この人いたっけ?どこにいた?…ってありますよね。
      あと韓国の小説は人物の名前が覚えられなくて。
      私も言わせて!記憶力っモォ…(。´>д<)ノ)))ペシペシ
      2022/12/11
    • aoi-soraさん
      そうそう
      韓国の人の名前!
      はっきり言って、男か女かも分からず混乱したり(笑)

      とりあえず、予約だね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧
      そうそう
      韓国の人の名前!
      はっきり言って、男か女かも分からず混乱したり(笑)

      とりあえず、予約だね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧
      2022/12/11
  • 物語は韓国の首都圏のどこかにある大学病院にまつわる人々の話を集めたもの
    病院内が舞台ではなく、病院は空港のような一つのハブあり、そこに勤務する人々を含め病院を通過しながらお互いにすれ違い、影響を与え合っている

    そして、主人公はいない
    主人公がいないと同時に、登場人物全員が主人公
    その数「フィフティ・ピープル」50人!
    実際は51人だそうです…
    (著者が書きすぎたらしいですw)
    さらに、独立した章を持たずにあっちこちに出入りする人物もいるので、人数は52人、53人…と、数え方によって違ってくるらしいw

    最初は、面白く読んでいましたがさすがに50人オーバーはちょっと多すぎ…w
    半分の25人ぐらいは読んだかな(^.^;

    残念ながら返却日が来たので一旦図書館に返却します
    また借りることがあれば、あなたが何人目かはわかりませんが、「チェ・デファンさん」あなたの章から読み始めますねw

    • 1Q84O1さん
      その通りです!
      韓国人名前覚えれない…(^.^;
      50人もいたら覚えるつもりもないですが…w
      その通りです!
      韓国人名前覚えれない…(^.^;
      50人もいたら覚えるつもりもないですが…w
      2023/06/27
    • mihiroさん
      1Qさ〜ん、こんばんは(*^^*)
      登場人物50人!!笑
      私がこないだ読んだのも登場人物多すぎと思ったけど、軽く超えてきましたね〜笑ꉂꉂ(ᵔ...
      1Qさ〜ん、こんばんは(*^^*)
      登場人物50人!!笑
      私がこないだ読んだのも登場人物多すぎと思ったけど、軽く超えてきましたね〜笑ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
      しかも聞きなれない韓国名だと余計に訳分からなくなりそうかも(^_^;)
      また機会があれば!で次いっちゃいましよ〜♡♡
      2023/06/27
    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん、こんばんはです♪
      そうなんです!50人!w
      そして名前ややこしい〜w
      ひとりひとりの章は短いですが、50人いると全ページ...
      mihiroさーん、こんばんはです♪
      そうなんです!50人!w
      そして名前ややこしい〜w
      ひとりひとりの章は短いですが、50人いると全ページは450ページオーバーだったかな…(^.^;
      (今回は最後まで読んでませんが…)
      さぁ、次行きますよー(`・ω・´)ゞ
      2023/06/27
  • 評判は聞いていたのに、後回しにしてた本。
    早く読めばよかったなと後悔するくらいよかった。

    韓国の出生率は0.8!結婚が遠いものとして捉えられている感じ、すごくよく伝わった。利益だけを求める不正直で杜撰な資本主義の利益優先の企業に所属して生き続けなければならない窮屈さも。
    ごく普通の人たち50人の日常の中で浮き出される韓国社会の抑圧ぶり。その断片が少しずつ集まり、韓国の社会を私たちは肌で感じることができる。
    日本も相当まずいことになっているが、韓国に住むのもなかなかしんどいことだなと感じる。分断されたこと、兵役があること、抑圧された負の歴史があること、家父長制から抜け出せないこと、新自由主義の価値観が極めて強いこと、学歴偏重主義が行き過ぎていること。(後ろ3つは日本も同じ)それらが複雑に絡み合って一人一人が翻弄されて極めて生きにくい世の中を形成している。
    しんどそう。日本よりはるかに。
    その中で、柔らかい心の人たちが傷つきながら、なんとかかんとかやっている。
    「ヒュナム洞書店」の中の人たちもそうだった。

    50人が少しずつ関係しあい、最後のシーンに繋がっていく。上手い手法だと思う。

    何度も泣けた。泣けるたびに、読んでよかったと思った。
    これはよい小説。
    韓国の女性作家は、しんどい状況だからこそか、頑張ってる。

  • YouTubeの『東京の本屋さん』というチャンネルの#木曜日は本曜日という企画で佐久間宣行さんが絶賛していたので、気になって読んでみた。

    韓国のとある大病院を舞台に、そこで働くスタッフや患者、彼らの家族、近隣に住む人々等、総勢51人の登場人物が織りなす群像劇短編集。

    51人もの大人物からなる群像劇なので、主人公としてのストーリーはほんの数ページだが、各章(登場人物同士)が連鎖的に繋がり、別の章では脇役として登場してくる人物もいる為、いろいろな視点からキャラクターを見つめることができる。
    また、2016年に韓国で起きた複数の事件が題材になっており、韓国の時事問題にも触れることができる。

    以下個人的に印象に残ったキャラクター。
    ・ハニョン、ジジ、イサクの交友関係が素敵。
    ・イジンの話(友人の子供の名前が思い出せない)はどこの国もあるあるなんだと思ったし、道中で過去のメッセージを読み返すリアルさにも親近感。
    ・ウソプの話(ソゲッティングの女神の話)についても、婚活事情は韓国も同じなんだなと思った。
    ・ハンナの司書の仕事、いいなと思った。
    ・へリョンのマニュアル好きな性格はすごく共感できた。
    ・ウナムの話とへリョンの話に出て来るソンミのさっぱりしたキャラクターがとても好き。本作の中で1番友達になりたいキャラクター。きっと同じように感じている読者も多いはずなのに、ソンミ視点での物語は無いというところもこの本の面白さだなと思った。

    最後に…
    短編で主人公が変わっていくとはいえ、ミステリーのように伏線回収やどんでん返しといった刺激、ワクワク感がない為、途中でやや失速気味に。最後は気合いでゴール。
    お隣の国でありながら、韓国には一度も行ったことがなく、文化や環境も違う為、なかなか深いところで共感することができなかったのが原因かなと思う。
    ただ、裏を返せば、韓国という国を知るファーストステップとして、本作はかなり馴染みやすい作品だったと思う。(あらゆる時事ネタが広く浅く取り上げられており、かつ短編なので)
    今流行りの韓国文学、気になるという人にはおすすめの一冊。

  • 予約待ちした図書館本。面白かった。
    50人(正確には51人)全員が主人公で韓国、首都圏のある大学病院にまつわる人々の話を集めたもの。
    あちこちに出入りする人物がいる、ということで最終ページには人名索引があったので、読み始めから軽くメモを取ったのですが、20人でストップ、時間がかかりすぎて。
    しかし、助かった。韓国の方の名前は覚え難くて。

    自分に似たタイプの人はいませんでしたが、
    経営者で自分の名前が気に入らない、と名前を変えたソンミに好意を持つ。子連れのムン・ウナムと結婚し、娘のムン・ヨンニンとは実の母娘の様な関係、縁あった女性に仕事のパートナーにと格好よく誘う。先を見据えることのできるサバサバした女性。何度も登場したのでメモしてて良かった…
    そして、幼いチョン・ダウンくんの話は切ない。

    訳者のあとがきのように、病院内部でなくてコミュニティの中の病院、外から見える病院で繋がる物語が新鮮。
    知り合いのようにも思えてきますが、さすがに、この人数は時間をかけて読みました。
    映像化したら面白そうな予感。

  • この本は、主人公がいない物語。韓国の首都圏のどこかにある大学病院に、なにかしら関わりがある人達、約50人の物語でした。

    それぞれの人物の生きざまが、韓国の世情を表している部分もあり、とても興味深かったです。すべての人が、きっとどこかですれ違っているだろうなという感じも受けました。

    最終章の「そして、みんなが」を読み始めると、思わず声が出てしまうくらい驚きました。今まで読んできた人たちが、一気に繋がり、あの人は、この人は 、と先が気になり、ページをめくるのがすこし怖くもありました。

    あとがきでは、韓国社会の問題点なども詳しくかかれていました。まずは隣国のことをよく知ることから始めるのが、大切だと思いました。私達と変わらない問題もかかえているから、相互理解に役立つと思いました。

    また、この本の一人一人の顔のイラストが違うように、人は生き方も考え方も違います。でも、いざというときに持つ心構えは、同じであってほしいと思いました。そして、忘れずに伝えていくことの必要性を強く感じました。この物語の終わり方が教えてくれたことは、誰もがよく考えなければならないことだと思いました。

    読みごたえがあり、読んでよかったと心から思えた1冊でした。お薦めです。

  • 話題になってたので図書館で借りてやっと読めた。韓国の大病院やその近くに住む人たちの話。
    登場人物が少しずつ絡み合って、韓国の名前にあまり馴染みのない私には、誰がなにやらと少々混乱しつつも楽しく読めた。
    それぞれの話は短く、重い話もあるし、毎回特別な何かが起こるわけではないんだけど、それでもとても良かった。
    ラストはどう終わるんだろうと思ったけど、うまいことまとめられており良かった。
    手元に置いておきたい本かも。

  • 作者であるチョン・セランが日本に来た時に渋谷のスクランブル交差点を上から眺めて、その行き交う様子にインスピレーションを得て、「主人公がいない小説」、「お互いがお互いの人生と交錯している様子を書きたい」と感じて生まれた作品。
    「フィフティ・ピープル」とタイトルにあるが、実際には51人の名前が各章のタイトルになっている。
    その名前の人物は子どもから老人まで、外国人も含め、男女や同性愛者も出てきて、ソウルからは離れた郊外?の大学病院や、映画館が入った商業施設がある街を舞台に短い物語が描かれる。
    そういう意味では短編集と言えるが、読んでいるうちに、名前は語られないが、この章で描かれているこの人物の話は、前の章に出てきたこの人のことではないかとか、章と章が、人と人が、つながっている部分があることがわかってくる。
    終わりの方の章で、まだ若い医師に老年の医師が語る。
    「私たちの仕事は、石を遠くに投げやることだと考えてみましょうよ。
    ソ先生はスタートラインから投げているわけではないんだよ。私の世代や、そして、私たちの中間の世代が投げた石が落ちた地点で、それを拾って投げているんです。
    (中略)
    どんなに若い人にも、次の世代がいるのですから。しょせん私たちは飛び石なんです。だからやれるところまでだけ、やればいいんです。後悔しないように。」

    作者は母国で2014年に起きたセウォル号沈没事件に大きなショックを受けたという。
    事故の原因は規定の何倍もの重量となっている状態で出航したこと、それはそもそも船で運搬しているトラックの貨物の過積載が日常的に行われていたことなども原因となっていたそうだ。
    過去から続く悪しき慣習など、韓国における社会問題を放置してきてしまった事が事故を招いたという悔恨の念が韓国の人たちの間では強いという。
    この51人の物語の中ではセウォル号事件は描かれないが、物語の中で描かれる悲惨な事件や劣悪な職場環境であったり、世代間の軋轢、閉塞感を感じさせる出来事は韓国で起きた事件、事故を暗示しているものが多数あるそうだ。

    しかし、そういう状況にありながらも、誰が投げ落としたかもわからない石を拾って、今より先へ投げようとする人と人との薄いながらも確かなつながりをチョン・セランさんは描きたかったのではないだろうか。
    そういう意味ではこの物語は群像劇でもあり、この51人の中に、いやタイトルにはなっていないが、この物語の中に描かれた51プラス・アルファの人たちの中に、読者が自分を見つけて欲しいと思っているのだろう。

  • 大都市のベッドタウンだろうか? 
    わりと大きな病院があって、そのとなりには映画館もはいるわりと大きなビルがあって そのまわりに人々が住む街。

    ひとりひとりのお話は短くて でも”小腹を満たす”程度には面白く 一つ読んでは満足し 二つ読んでは続きはこんど ....と、読むのにえらく時間をかけてしまった。

    でも読み終わるとすぐ、もう一度読みたくなる。

    となりの国のものがたり とシリーズにしてあるけれど これは隣人たちの物語。
    普通の人々の生活を ぐるっと見回して 自分も住んでいるかのように感じるそんな街の物語。

    ぱっと見カッコイイ ビルはあっても、一般人の家はイマイチだとか、どうも働きすぎる傾向があるとか、なのに上の人には言いたいことを言いづらいとか、すごく普通、すごくわかる。

    軽い毛布がじんわりと温みをくれるような 当たり前の共感がじわじわ来る よい本でした。

  • 210611*読了

    あまりにもよくて、何度も読み返したいと思えた小説。
    図書館で借りたのだけれど、これは買って手元に置いておきたいと思います。

    50人(51人)が主人公の短編がつまった本。
    ソウル中心部から離れた町の大学病院とその周辺で起こる出来事が書かれています。
    少しずつ物語が繋がっていて、誰もが主人公であり、誰もが登場人物(脇役)になるところがとてもいい。
    これだけたくさんの人のストーリーがあるので、誰かしらには共感できる部分や自分と重なる部分があると思います。
    悩みや生きづらさ、しんどさを誰もが少しは抱えていて、それを抱えながら他者と接し、心を癒したり、前を向いたりできているのだなぁ。

    外国の氏名は得てして覚えにくいので、名前は忘れてしまったのだけれど、私は司書さんから治験の管理の仕事に転職した女性や、文芸学科で教えていて、事故にあってしまった女性に共感を覚えました。

    韓国ならではの文化や、韓国ならではの社会問題を織り込んだお話も多く、知っているようで知らないお隣の国についての知識が増えました。
    最近、韓国のエッセイや小説が書店に並ぶことが増えてきているのもあって、韓国の作家さんの本を読む機会が多くなって嬉しいです。
    新たな出会いを楽しんでいます。

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著者プロフィール

1984年ソウル生まれ。編集者として働いた後、2010年に雑誌『ファンタスティック』に「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を発表してデビュー。13年『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳、クオン)で第7回チャンビ長編小説賞、17年に『フィフティ・ピープル』(斎藤真理子訳、亜紀書房)で第50回韓国日報文学賞を受賞。純文学、SF、ファンタジー、ホラーなどジャンルを超えて多彩な作品を発表し、幅広い世代から愛され続けている。他の小説作品に『保健室のアン・ウニョン先生』(斎藤真理子訳)、『屋上で会いましょう』(すんみ訳)、『声をあげます』(斎藤真理子訳)、『シソンから、』(斎藤真理子訳)、『地球でハナだけ』『八重歯が見たい』(すんみ訳、以上、亜紀書房)などがある。

「2024年 『J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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