さよなら、男社会

著者 :
  • 亜紀書房
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本棚登録 : 339
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516769

作品紹介・あらすじ

「男」をめぐる、いままでにない当事者研究の誕生。

いま大きなムーブメントになっているフェミニズムは女性から男性に対する異議申し立てだ。しかし、女性の切実な声はなかなか届かない。

——そもそも、男性はどうして「そういう」男になってしまうのか。
男性性をこじらせ、女性のみならず自分自身までも抑圧する主体になっていく過程を自らの経験をもとにたどりながら、男性側からフェミニズム問題を考える。
 

感想・レビュー・書評

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  • 「キングコング・セオリー」「さよなら、男社会」書評 権力関係を解明する二つの方法|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14146869

    亜紀書房 - さよなら、男社会
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=993

  • 男性が『男社会』について研究し、言及しているのは、あまりないのではないか。そう『社会』ではない『男社会』だ。
    何が違うのかは、本書を読んで頂くと、ニュアンスが伝わると思うのだが、
    一般的に、男性が『社会』について語る時、それは大前提として『男社会』であるし(自覚の有無は一旦おいておくとして、しかし、無自覚が多いと思う)、フェミニズムについて語る時、それは圧倒的に力を持つもの立場から弱者を語っていると感じる。
    けれども、その大前提がある限り、『社会』はずっと『男社会』なんだよな、とずっとずっと感じてきたので、まずは、こういう本を書いてくれる男性がいるのだな、と言うことに興味を惹かれ、手に取った。

    こういう本を、男性が一人でも多く読んで、一人でも多く、考えるきっかけにしてくれたらなあと願う。おそらく、せっかく居心地よく住んでいる世界に異議を唱えられる、指摘されたくないことを指摘される不快感みたいなものはあるのだろうけど、冷静に読んでもらえたらなあと。
    なぜなら、いくらフェミニストと言われる人たちが、必死に声をあげても、なかなか世の中は変わらないから。これは、性差だけではなく、昨今言われている、ダイバーシティと言うことは、全てそうだと思うのだ。人種差別も宗教もセクシュアリティも。
    マイノリティの声は小さく弱い。だからと言って、声を上げることを辞めたら、無音だから、辞めてはいけないのだけど、マジョリティが本気になって、耳を傾け、声をあげる手助けをしてくれなくては、変わらないから。

    そんな思いとは別に、男性には男性なりの、『男社会』で生きる辛さ、男性性を幼少期から求められていくことの辛さもあるのだな、と改めて気づかされた。と言うことは、やはり教育なのだとなると、これは、男性任せじゃなくて、やはり女性も母親として、息子にどう接していくのか、そこには責任があると感じた。

    この本の内容を、それだけ評価していながら、評価3にしたのは、少し、著者の個人的なところの描写が多いので、そこをもう少し、数々のインタビューをしている著者ならではの切り口で、他の男性にも落とした形での説明に割いてもらえたら良かったのにな、と感じたからなのだが、
    一方で、
    著者の子供時代の親とのやり取りを読むにつけ、私は私で、親に「女の子だから」と言う理由で、言われ続けたことが、苦く思い返され、男女の差はあれ、辛さに共感してしまうのだ。男女関係なく、親には愛されたいし、強くありたいし、本当はありのままの自分を受け入れて欲しいのだな、と。

  • 「話が通じる」という安心感があった。
    息子たちを育てていくうえで覚えておきたいこと、大事にしたいことがたくさん書いてあった。夫には今さら期待しない。これからの時代を生きる人には伝えていかなきゃと思った。

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    "感覚的だと言われる話し方は「時系列に置き直して順序よく話すには膨大すぎて、端的にストーリーとして語ることができないくらいの感情と感覚がそこにある」ことを示唆しているのだと僕は理解している。そして結論が見えないと言われがちな「まとまらない話」というのは、散漫ではなく、「わかりやすい解釈を通じて話すことができない」ことを意味しているのだと思う。だから、何が必要かというと時間だ。耳を傾けるという滞空時間が必要なのだ。男たちはそれが冗長に感じて耐えられない。なぜだろうか。ひょっとしたら自分とは異なる存在のありありとした「他者性」を感じることを回避したいのではないだろうか。"(p.188)



    "男性性は男性だけが備えているものではないし、女性の中にも男性性はある。女性性もまた男性のうちに存在する。ただ、ここでいう男性性が「逞しさ」だとか「論理的」を意味し、女性性は「細やかさ」「感情的」といった、社会の用意したステロタイプである必要はもう本当にない。"(p.158)

  • 著者が考える、「男性性(男とはこうあるべきみたいな考え方)」ってこうやって形成されてしまったんじゃないか。という考察には自分にも思い当たるふしが多すぎてクラクラする。気づいてない振りをしてきた、誤ったというかズレた価値観の上に自分自身を構築してしまったという事実。また、おそらく大多数の男性が同じように間違った男らしさをインプットされて社会を作ってきてしまったということを突きつけられ絶望する。
    多くの男性がこの本に書かれている事に気付き変化して欲しいと思う。
    また、女性も読んで男性の暴力性みたいなものの根っこを知る事で、自身の身を守ることに役立ててほしいと思います。まあ、男性のダメさ加減に呆れてしまうかもしれませんが・・。

  • 男は、男に「男らしさ」を押しつけられながら生きている。男の敵は、男なのだ。読んでいるといろいろと嫌な過去が思い出されてどうしても冷静でいられず、最後まで読み進められなかった。

  • 自分の内面と向き合う!

  • 読むのにめちゃくちゃ時間がかかった。痛くって。
    感想を書こうとすれば、引用しようとすれば、いろんな観点がありすぎて膨大な量になりそうだ。

    語り口が厳しく痛い。でもそれは、著者自身が自らを断罪していて、血を流しているからのようにみえる。

    序盤の語彙の強い社会への糾弾に怒りを一緒に募らせ、途中著者の歴史に置いてけぼりにされながらも、後半、厳しくも自省し未来を向く著者と苦しいながらも前を向く。なんとも私的な随筆。

    男社会、男性性とは言うけれど、女性だからそれを持たないわけではなく、私も社会で働きながら、尊大さを発動させ、論理で丸めようとして、人の自由を奪うことで自由を獲得した気になると言う男性性を発揮している。

    加えて、生きてきた中で蓄積された私の中の文化が、この社会構造を大いに受け入れて、ドラマや小説や恋愛で、男女の歪な支配関係を悦としてみることもある。侵されているなと、私もこの社会を助長している一員だなと思う。

    男女と分けて生きる意味が、どこにあるのだろうか。女なら全ての男に欲情する、ということでもないのに。

    #さよなら男社会 #尹雄大 #読書記録

    ———————————

    僕たちはいかに分断するかの知識に長けている。男性が女性を差別する。その理由は突き詰めると女性が女性であるからだ。同義反復以上の意味がないとすれば、性別が本質的に問題なのではなく、あなたの中の個人的な事情が差別を必要としている。その憎しみの物語の結末はあなたに何をもたらすのだろう。少なくとも幸福ではないはずだ。

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    「要するに何が言いたいのか」とは「俺のわかるように話せ」にほかならず、今現に話していることを受け取らない、拒絶のメッセージでしかない。
    どうして一方が当然と思っている理解の形にはまらないとコミュニケーションと呼ばれないのか。そのことについて男たちは考えたことがあるだろうか。考えずに済んでいるのは、やはり社会とは「(男)社会」であり、(男)の箇所が見えていないからだ。

    ————————————

    マイノリティは社会に参入し、他者と接する際に緊張感を大いに味わう。果たして自分が受け入れられるかどうかわからないからだ。そうなれば細やかな気遣いだってしようというものだ。
    翻って考えれば、社会は常に自分を受け入れて当然と思わない限りは、あのような尊大さは身につけられないだろう。

  • 「男社会」と書かれているので、男性側の話であることはもちろんなのだが、これは女性も関係する話だなと。そもそも女と男がいるから、男社会も女社会も存在するので、男社会に女が一切関与してないなんてことない。また、男性性というのは身体的な性のことではなく、気持ちの性のことなので、女性にも大いに関係する。というより本書を読んでいると、女性のなかの男性性も無視できない問題だなと感じた。わたし自身も含めて、強くあろう、立派であろう、弱さや脆さは見せられないと強く思い込んでいるのは、本書の視点でいえば“男性性”だ。その視点が自身のなかに存在する限り、わたしは弱いと見える人を攻撃し、差別し続けるだろう。その傾向は年々弱まっているように思えるけれど、読んで共鳴してしまうくらいには、まだわたしには男性性が残っている。

    男性が読むことはもちろん、わたしは女性にこそ読んでほしい内容だと感じた。フェミニストであり、フェミニズムを訴えるからこそ、自分の精神の中身については敏感であるべきだと思う。(〜べきと使うと強い感じがしてしまってよくない……)誰もが自分自身を振り返りながら歩を進める必要があるということ。

  • この本を手に取った理由はとても個人的、かつ偏っていて、それは「男性キャラをマッチョ思考にしたくない」「男らしさ、のようなものからの解放を書くには」というものなんですが、私の目的からするとぴんとこない本でした。

    男性は所属する小さな社会(親、学校、部活など)のありようを肯定することによって社会の一員として認められ、そこでは何もかもが精神論にすり替わっている。
    できないのは努力が足りないから。
    頑張ればできる。女々しい。
    そうして「嫌だと思う」ことを排して脈々と繰り返されている。このあたりはまあ納得できるのですが、その根っこを、第二次大戦時に「死があまりにも近くにあった」からだとするのはどうなんだろうな、と違和感を覚えて、以降はパラ読みになってしまった。

    現状を述べ、その原因と思われる要素を述べてゆくのは無難な書き方だけど、どうにも地に足が着いてないように私には思えた。

  • 文章のリズム的なものが好みと違っていて、なかなか頭に入らず行ったり来たりを繰り返しながら読み進めるも幾度となくハッとする表現があり、読むことを止められずになんとか読了。

    突然読みやすく興味深くなる箇所が数度あり、それは著者本人の実体験を踏まえた場面。一気に理解度が数段上がる感覚を覚えたのでした。

    終盤はこれまでの認識を超えた地点まで話が進みワクワクしっぱなしでした。
    ここで読んだことを自分に落とし込むのは時間がかかるだろうが、しっかり自分と向き合っていきたい。

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著者プロフィール

1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。
政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した体験をもとに身体論を展開している。
主な著書に『異聞風土記』(晶文社)、『モヤモヤの正体』(ミシマ社)、『脇道にそれる』(春秋社)など。

「2020年 『さよなら、男社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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