聖子——新宿の文壇BAR「風紋」の女主人

著者 :
  • 亜紀書房
3.22
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本棚登録 : 58
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750517094

作品紹介・あらすじ

太宰治「メリイクリスマス」のモデルとなる凛とした少女は、生涯かけて人びとに、居心地のよいサロン、帰る場所をひらいた――

文学者、思想家、映画人、出版人たち……どんな人をも受け入れる酒場は、戦後文学史を確かに支えた。林聖子の九三年と「風紋」の六〇年を聞く。



林聖子はアナキストの画家の娘として生まれ、宮嶋資夫、辻潤らを間近に育ち、戦後、太宰治の「メリイクリスマス」のモデルとなり、生き抜くためにバーを切り盛りする。

そのバー「風紋」は多くの文化人、文学者、映画人、出版人を惹きつけた。

誰も特別扱いしない無欲で無私な人柄から生まれたアジール。
檀一雄、竹内好、古田晁、浦山桐郎、粕谷一希、勅使河原宏……綺羅星のごとく集う人々との交友録であり、力強く生きたひとりの女性の人生の記録。



《「風紋」に集った人々》
檀一雄・古田晁・唐木順三・井伏鱒二・吉村昭・木山捷平・竹内好・橋川文三・色川武大・埴谷雄高・中村稔・安田武・北原武夫・辻まこと・鴨居羊子・松山俊太郎・種村季弘・高田宏・粕谷一希・田村隆一・中上健次・洲之内徹・浦山桐郎・大島渚・吉田喜重・勅使河原宏……

感想・レビュー・書評

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  • ◆2人の肉声 華やかな文化史[評]中沢けい(作家)
    聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人 森まゆみ著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/153070

    亜紀書房 - 聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1038

  • 星2か3か迷う。というのは、男の人が好き勝手な生き方をして女性に迷惑かけるのが許されている時代で、でも聖子さんは、画家林倭衛と病身だけど人として魅力のある富子の娘だったお陰でそういう男の人達に可愛がられながら上手く生きてきた女性のように思ってしまったから。妬みなのかな。

    檀一雄の逸話が好き。檀一雄は臓物を買ってきて、聖子さんのお店でタンシチューなんかを作りながらお酒を飲むのが好きで、多分お店のためにやってくれているんだろうけど、ガス台は占拠されるわ、檀一雄が作った料理でお客さんからお金は取れないわで返って赤字、という話。

    あと、最近の自分の中の太宰治のイメージが、『文豪スレイドッグス』と『らんたん』の心中したい悩める男のイメージに固まっていたけど、聖子さんの母富子や、聖子さんとの交流を読むとまた違った面も見えてくる。けど、自分の日記や手紙を勝手に見て小説に書かれてしまうのは嫌だなあ。それが名作であっても。

  • 洋画家・林倭衛の娘として生まれ、伝説の文壇バー「風紋」のママとなった
    林聖子。
    昭和3年生まれの彼女が関わった人々が、そのまま昭和から令和へとつながり
    すさまじい面々。
    この人の伝記をまとめるのは、森まゆみさんしかできないだろうな~
    紙の柱を立てなければ忘れられてしまう・・・というようなことを
    森氏が書かれていたけれど、ほんとうに、その通り。
    時代を生きた人々が忘れられてしまうだけなら、まだしも、
    歪曲されて埋もれてしまうのは、たまらない。
    林氏の人生はもちろんのこと、さすがの森まゆみ氏。

    あ~聖子さんって、義両親と同い年か・・・
    あの二人も健在、一筋縄じゃいかないわけだ。うん。


    追記:
    この本から広がって、多摩川を眺めてきましたw
    →多摩川から~読書と歴史のことなど
    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/aaa356be06cdadec5187fed4b6a8dba9

    さらに追記(4月17日)
    林聖子さんが今年2022年2月23日に、お亡くなりになったことを知りました。
    ご冥福をお祈り申し上げます。

  • うつそみの吾がなが病めばなりはひに 追はるる夫はけふも出でゆく 
      林 富子

     新宿に、伝説的な文壇バー「風紋」があった。ママの名前は林聖子。太宰治の短編「メリイクリスマス」のモデルでもあった。

     聖子は、1928年生まれ。父は、アナキスト大杉栄の肖像「出獄の日のO氏」を描いた画家の林倭衛【しずえ】である。パリを行き来する倭衛に対し、妻の富子は病弱だった。肺を病み、夫とすれ違いの生活を、冒頭のような短歌に託すばかりでもあった。

     やや体調が回復した富子は、夫と別居し、新宿のカフェで働きだした。そこで太宰治や萩原朔太郎らと知り合い、十代の聖子も文人たちと顔なじみになったという。太宰が聖子にうなぎなどをご馳走し、就職の世話もしたというエピソードも興味深い。

     明るく酒の強い太宰が玉川上水で死を遂げたのは、聖子が成人した年だった。太宰のデスマスクを描いた母富子も間もなく亡くなり、そこから聖子の新たな生活が始まった―。

     森まゆみの近刊「聖子」では、前半は両親らとのエピソードが語られ、後半は、太宰治ら作家・出版人・映画関係者・美術家らとの交流が語られている。

     檀一雄、吉村昭、埴谷雄高、勅使河原宏、中上健次…巻末の人物関係図を見るだけで、「風紋」が文化・思想活動の拠点であったことがうかがえる。芸術家同士のケンカも大目に見る聖子の大らかさ、存在感が、〈場〉を育んだのだろう。

     2018年、「風紋」は惜しまれつつ閉店。
    (2021年11月21日掲載)

  • 画家だった父親林倭衛の人生やその周りのアナキストや画家たちのことを追った前半が特に面白い。林聖子さんから見た辻潤やその息子まこと氏の人生などわずかでもこうやって記録が残るのはありがたい。太宰の死の捜索に聖子さんが深くかかわっていたこと、山崎富栄について冷ややかに見ていることも興味深かった。
    二十歳そこそこで両親の葬儀を取り仕切り、経済的に余裕がない中でも一緒に暮らしていた恋人とその女友達の生活まで一手に引き受けたとは、度量が並外れている。太宰に、唯一気のおけない女友達として信頼られていた母親の血だろうか。

  • 登場人物が華々しい。そして、そのみんなから慕われていた様子が感じられて、きっとカッコいい人だったんだろうなぁ。いや、どちらかと言うと、カッコいいというよりは可愛い人だったのかも。そういう人に私もなりたい、と思った。

  • ふむ

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著者プロフィール

1954 年生まれ。大学卒業後、PR 会社、出版社を経て、84 年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記憶を記録に替えてきた。その中から『谷中スケッチブック』『不思議の町 根津』(ちくま文庫)が生まれ、その後『鷗外の坂』(中公文庫、芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』(集英社文庫)、『『青鞜』の冒険』(集英社文庫、紫式部文学賞)、『暗い時代の人々』『聖子』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮文庫)、『路上のポルトレ』(羽鳥書店)などを送り出している。2015 年以降、大病後の健康維持のため京都にしばしば滞在。「谷根千・記憶の蔵」主宰。

「2022年 『京都不案内』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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